2023年4月19日、午後2時より、東京都千代田区の日比谷コンベンションホールにて、「千葉県原発訴訟の原告と家族を支援する会」の主催により、「原発事故から12年 未だに自宅に戻れない地域・津島訴訟原告団との交流会」が開催された。
交流会では、まず、2011年3月11日の東京電力福島第一原子力発電所事故から12年が経過した今、福島県浪江町津島地区がいかに激しく変貌してしまったのかを訴えるDVD「ふるさと津島」が上映された。
残念ながらこの映像を収録することはできなかったが、浪江町津島地区に暮らす人々が、これまで長きにわたり培ってきた自然、文化、風習、町の映像、そして、そこでの、人々の日々の暮らしの営みがどのように汚され、破壊されたのかを原発事故前後の映像で比較した内容に、あらためて深く激しい衝撃を覚えた。
続いて、昨年9月、津島地区を見学し、放射線量調査を実施した「東京公害患者と家族の会」副会長の大越稔秋氏より、調査結果についての報告があった。空間線量測定が実施された箇所は、復興拠点区域28地点、基幹困難区域は16地点の、計44地点。
報告の詳細については、全編動画を御覧いただきたいが、大越氏によれば、「確かに除染して、(数値は)下がったんだけれど、やっぱり、依然として…、『本当にこれ、除染したのか?』っていうレベルの濃度ですね」とのことであった。
その後、10分の休憩時間をはさんで、「ふるさとを返せ 津島原発訴訟」の原告団の副団長である石井ひろみ氏、そして、津島地区原発事故の完全賠償を求める会・共同代表の馬場績(いさお)氏より、現状についての報告があり、それを受けて、参加者との質疑応答が行われた。
福島県浪江町津島地区は、高濃度の放射能汚染により全域が帰還困難区域とされ、地区住民たちは、ふるさとへいつ帰れるか目途も立たないまま、異郷での避難生活を余儀なくされている。
「原状回復=ふるさとを返せ」、および「損害賠償」を求める裁判の末、2021年7月に下された判決では、被告側に「損害賠償」が認められたものの、賠償額は低い水準に抑えられ、「原状回復」請求は却下された。現在、地区住民は、原審判決の不十分さを克服するために、仙台高裁にて控訴中である。
石井氏は、現状報告の中で、次のように訴えた。
石井氏「地域もコミュニティもバラバラにされ、原発避難民と呼ばれる人々、そして不安を抱えたまま将来を生きる世代を二度と出さないため、ふるさとを取り戻す私たちの闘いを支援して下さい。高裁への公正判決要請署名(※)にもご協力をお願いします」。
- 「ふるさとを返せ 津島原発訴訟」仙台高裁に公正判決を求める署名(PDF 100KB)
現時点での今後の日程は、4月26日 14時30分より、第4回口頭弁論期日、5月25日 10時より、現地進行協議、7月21日 14時30分より、第5回口頭弁論期日、となっている。
詳細については、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。