2022年7月15日午後2時より、原発事故避難者住まいの権利裁判を支援する会の主催によって、衆議院第一議員会館にて、「原発事故避難者住まいの権利裁判追加提訴 715決起集会」が開催された。
2022年3月11日、11名の原発事故避難者(原告)が、彼らを国家公務員宿舎から追い出そうとする福島県の違法行為により受けた精神的苦痛に対する損害賠償を求め、福島県を被告として、東京地方裁判所に集団提訴した。
この原告の人権回復の提訴に対し、福島県は自省するどころか、かねてから求めていた原告らの宿舎からの退去と、家賃2倍相当の損害金の支払いを請求し続けており、退去届の提出を求め続けている。
原告側は「通常の家賃は支払う。懲罰的な家賃2倍相当の損害金請求には応じられない」と表明しているにもかかわらず、福島県は原告たちの通常家賃の受け取りを拒否している。
そればかりか、福島県は原告らを提訴する議案を6月の県議会に提出した。
これを受け、6月29日、(転居した1名を除き)原告全員が、入居中の住居を福島県に明け渡す義務がないこと、そして、原告全員が、無償提供の打ち切られた2017年4月1日以降、当該住宅に居住していたことで、福島県に使用料ないしは損害金を支払う義務がないことの確認を求め、追加提訴を行った。
弁護団の柳原敏夫弁護士は、集会中の弁護団報告で、このたびの裁判提訴の論点について、以下のように述べた。
「被災者を『人権の主体』として捉えた場合、国には義務が発生します。どういう義務かと言うと、『市民・国民の人権を侵害してはならない』という義務です。
(中略)お金の給付・住宅の提供を打ち切る際も、それが人権侵害になるか否かについて、厳しく問われることになる。ですから、この裁判の目的は、国家の義務、そして市民の人権を侵害していないかを問うことです」。
原発事故避難者を宿舎から追い出すにあたり、福島県は、その退去命令の理由と法的根拠などについて、当事者である避難者に対して何の説明も行っていない。
本裁判の第1回法廷は、7月25日(月)13時30分から、東京地裁にて開催される。
決起集会の詳細については、全編動画にてご確認ください。
参考:
- 原発事故避難者住まいの権利裁判追加提訴 715決起集会(衆議院第一議員会館)(レバーネット、2022年7月15日閲覧)