「ウクライナ紛争は、核戦争と背中合わせ。戦略核レベルまでエスカレートすると、その時は日本が狙われる」~岩上安身によるインタビュー第1096回 東アジア共同体研究所・須川清司上級研究員 2022.9.12

記事公開日:2022.9.14取材地: テキスト動画独自
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(取材、文・IWJ編集部)

特集 「ザポリージャ原発をロシアが攻撃」のプロパガンダ|特集 ロシア、ウクライナ侵攻!!
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 9月12日午後6時半より、「日本の防衛はウクライナ紛争を『教訓』とすべき!(2)『敵基地攻撃能力』の保有は愚策!『穴だらけの専守防衛』を鍛えなおすべき!第2回」と題して、岩上安身による東アジア共同体研究所・須川清司上級研究員インタビューをお送りした。

 第1回は、対露制裁がブーメンランとなってインフレが加速し、エネルギー資源が高騰している欧州で、反NATO・反EU、反対露制裁のデモが起きている現状、ナンシー・ペロシ米下院議長訪台後、緊張が高まる台湾海峡と日本の安全保障などについてお話をうかがった。

 9月8日に行われた第1回インタビューは、以下である。

 第2回は冒頭、ザポリージャ原発(ZNPP)の完全停止という最新ニュースを取り上げた。ニュースの詳細については、日刊IWJガイド9月12日号をお読みいただきたい。

 2月24日にウクライナ侵攻していたロシア軍はすぐに、ウクライナ国内の原発を制圧した。現在にいたるまで、ロシア軍は欧州最大の原発であるザポリージャ原発を占拠し続けている。

 ザポリージャ原発をめぐっては、「ロシア軍の砲撃が続いている」というウクライナ側の主張と、「ウクライナ軍が砲撃している」というロシア側の主張が真っ向から対立している。8月23日の国連安保理事会で、ロシアのネベンジャ大使が強くウクライナ軍の仕業だと批判したが、IAEAの報告でも、攻撃主体は明示されなかった。

 ザポリージャ原発の周辺は、年間を通して東西南北の風が吹いている。仮に砲撃によって、チェルノブイリ級のシビア・アクシデントが起これば、ウクライナの領土の半分は汚染される可能性がある。仮に、西から風が吹いていれば、東部ドンバス地域一帯が汚染される可能性があり、北から風が吹いていれば、クリミア半島、アドリア海、黒海が汚染される。

 岩上安身は「戦争で原発への意図的な武力攻撃、これは人類史上初の危機ではないか」と述べた。岩上は攻撃主体についても、ロシア軍が占拠しているザポリージャ原発に、ロシア軍が攻撃をかけるというのは、論理的に理解不能だと指摘した。

 岩上は、元CIA分析官のレイモンド・マクガバン氏が、IAEAが、ウクライナが原発攻撃していると報告できないのは、「国連に対する米国の影響力」が原因だと述べているという『TASS』のニュースを紹介した。

 こちらは本日の日刊ガイドでも詳しくご紹介している。ぜひあわせてお読みいただきたい。

岩上「原発への攻撃というのは『あり得ない』んだと。日本でも福島第一原発の事故以来、戦争を遂行する方向に行こうとする日本が、原発をそのままにしているという状況がおかしいと思い、原子力規制委員会にも、経産省にも、防衛省にも、ありとあらゆる形で問いかけ続けてきたんですけど、この『原発×戦争』というリスクは誰一人考えていない。

 僕が約10年間にわたって、僕だけじゃなくてIWJのメンバーが、ありとあらゆる機会に問いかけてきても、原発を防護しない。防護している様子がないわけです。

 それなのに、(岸田総理は新しい原発の)増設とかを考えているわけですよね。

 でも、(原発への武力攻撃は)もう起きてるわけです、現実に。ドカンドカンと砲撃が来て、メルトダウンが起こるまで、黙っているつもりなのか、わからないですけれども。真剣な関心も足りないし。チェルノブイリ原発の事故が起きた時には、日本まで放射性物質が飛んできたと、真剣に言っていたんですが。

 このニュース、どのように御覧になりますか?」

須川氏「真相は藪の中、といえば藪の中なんですが、常識的に考えると、ロシアが(ザポリージャ原発への砲撃を)やる理由は、なかなか見出しにくいですね。

 メルトダウンまで追い込むのであれば、逆に、今、ロシア語話者の住民のところが被害の中心になるという(可能性がある)。

 仮に電力をウクライナの中でその供給をさせないということが目的なんだとしたら、今、ザポリージャ原発を押さえてるのはロシア側なわけですから、わざわざ砲撃を加えなくてもできそうな気もしますしね。

 一方、(砲撃をしているのが)ウクライナ側であっても、常識的に考えると、ウクライナ政府側がウクライナ人に対する放射能被害を人質に取るような形で、そんな北朝鮮のような瀬戸際戦術をやっているというのも、にわかには信じがた話ではあるんですけれども。

 だけど、誰かが(原発砲撃を)やってるってことですよね」

 須川氏は、日本のメディアも、少なくとも攻撃をしているのが、ロシア側、ウクライナ側の両方ありうるということくらいは報道すべきだと指摘した。2月の侵攻以来、日本のメディアの報道が「ロシアだけが悪い」という「洗脳」になっていると指摘した。

 須川氏は「まったくの推測」としながら、仮に、ウクライナ側がやっているとすれば、その目的は「米国にプレッシャーをかけること」ではないかと指摘した。

■ハイライト

  • 日時 2022年9月12日(月)18:30~
  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)

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