2022年3月23日午前11時30分頃より、東京都千代田区の日比谷図書文化館にて、飯舘村原発被害者訴訟弁護団の主催により、福島第一原発事故をめぐる「飯舘村原発被害者訴訟」損害賠償請求事件 第3回 口頭弁論後の報告集会が行われた。
この口頭弁論期日に、「原発事故後の実像」と題する意見陳述を行った原告の伊藤延由氏は、2010年に飯館村に移住し、農業研修所の管理人をしつつ、除草剤を使わない農作業に従事していたが、原発事故により、一瞬にして生活と故郷を奪われた。
伊藤氏は、原発事故直後から現在まで、専門家の助力を得て放射能測定器を使い、客観・科学的な証拠としてのデータをとり続け、村内の放射能汚染の実態調査を継続しており、意見陳述では、そのデータを使い、飯館村の人々が失った自然や生活について、強く訴えたとのこと。
伊藤氏は報告集会で、一晩中話せるほど言いたいことはたくさんあるとしながら、「11年間、飯館村でお世話になって、色々測ってきた結果の事実なので、粛々と受け止めて欲しい」と語った。
続いて、日本大学生物資源科学部・特任教授であり、飯館村放射能エコロジー研究会共同代表の糸長浩司氏より、「原告宅地放射能調査」についての中間報告が行われた。
糸長氏は、「原告13名のうちの戸建て住宅12戸に関して、現地調査・分析を行った。(中略)全部で151か所の調査地点の34地点で、除染直後よりも線量が上がっていることがわかった」と明らかにした。
また、飯館村原発被害者訴訟弁護団の保田行雄弁護士は、訴訟の現状について、「今は、それぞれの総論を戦わせている段階であり、東京電力と国の責任について立証している。このたびの裁判では、飯館村の村民は福島県内で一番被曝線量が高く、その『被曝の問題』を正面から問うていこうと考えています」と説明した。
また、保田弁護士は「今、国と東電側の主張は『過払い論』に重点が置かれている。つまり、原発被害者に対して、『通常よりも手厚い損害賠償をしてきた』という非常に破廉恥、かつ恥知らずな主張をしており、お金では償えない被害を受けている被害者に対する冒涜とも言える主張をしてきています」と批判した。
さらに「今後、13人の原告一人ひとりの被曝線量の測定値を出して、それが決して看過できるレベルのものではないことを示し、また、各原告のお宅の除染後の線量についても測定しており、除染後にもかかわらず、今なお、高濃度の放射能に汚染されていることを示していく」と、今後の方針を語った。
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