東日本大震災による東京電力福島第一原発の事故から14年目を迎えた、2025年3月11日午後6時45分頃より、東京都千代田区の東京電力本店前において、138回目の「東電本店合同抗議行動」が行われた。
総勢約213名が参加し、黙祷、スピーチや合唱、音楽演奏、大太鼓のパフォーマンス、そして、東京電力への申し入れ行動などが行われた。
抗議行動の冒頭、この日、午後2時から経産省前での「3・11脱原発・経産省前大集会」を終えて駆けつけた、「経産省前テントひろば」の江田忠雄氏が、主催者あいさつを行った。
江田氏「(前略)14年が経過した今も、経産省前での抗議行動は続いている。今日ここで、皆さんと共に、抗議行動を行なえることを喜びたい。
(中略)私達は、経産省前と東電前、いわば、行政と原発の本家本元の企業である東電、その両方を相手に闘ってきた。今後も、この運動をさらに進めていきたい」
スピーチでは、たんぽぽ舎共同代表の山崎久隆氏が、次のように述べた。
山崎氏「14年前の今日、重大な原発事故を起こした東京電力は、今また、柏崎刈羽原発6号機・7号機の再稼働の準備を進めています。
しかしながら、日本海というのは、能登半島地震でも明らかな通り、今、まさに地震活動が活発化している真っ最中です。
狙いすましたように、地震の、その真上で、原発を動かそうという、この会社のこの感覚が、私にはまったく理解ができません。
さらに近年、新たな知見がいくつも明らかになってきています。
関東大震災において、熱海に、高さ12メートルを超える津波が襲い掛かりました。これは、地元の人達くらいしか、あまり知られていない事実ですけれども、なぜ熱海にそんな高い津波がやってきたのか?
その当時の、関東大震災の海底地形の動きだけでは説明がつかないということで、いろいろ水深調査などを行った結果、地震直後に巨大な地滑りが発生し、それによる津波と地震による津波があわさって、熱海に襲いかかったことが、明らかになりました。関東大震災から100年以上もたって、ようやく、こういう知見が明らかになるのです。
また、能登半島地震においては、能登半島の地震そのものは、半島の北側の活断層が活動した地震であり、その津波は、当然ながら、珠洲(すず)市や輪島市、七尾市を襲ったのですが、それよりも早い時間帯に、実は、富山県富山市、射水(いみず)市を襲った津波がありました。
これによって、家屋に損害が出て、また、家が流される、そういう事態にもなったんですね。
ところが、この津波、どこから起きたのか、しばらくわかりませんでした。なぜならば、震源域はそこよりもはるかに離れた、能登半島の沖合だからです。
その後、富山湾内を調査した結果、富山湾の中には非常に深い谷、海底谷がたくさんあるんですけれども、湾内の谷で地盤崩落が起きていました。海底地滑りです。これによって、射水市や富山市に、3~4メートル級の津波が襲いかかったことが明らかになっています。
さらに、上越市、だんだん近づいてきますね、柏崎市に。上越市においても、3メートル近い津波が発生していましたけれども、この津波もまた、どこから起きたのかはっきりしませんでした。
今、解析が進められていますが、どうやら海底の地形が複雑なので、地震波によって発生した津波がぶつかり合い、その高さが非常に複雑に変化した中の一つが、上越市に襲いかかったというふうに推定されています。
東京電力が柏崎刈羽原発のために用意した津波の想定は、高さがわずかに6メートル。今回、能登半島地震で発生した津波とほぼ同じくらいの、その程度の津波しか想定していません。
ところが、発生する地震の大きさは、マグニチュード7~8.4と、いくつかの地震を想定していますが、最大で8.4という巨大地震も想定しています。
ご存じの通り、能登半島地震はマグニチュード7.6です。その7.6で、6メートルを超える津波が襲った地域があるのに、8.4で、東京電力はそれと同じような津波しか想定していません。これは過小評価です。
また、海底地滑りも、嵩上げとしては0.8メートル(80センチ)しか増えない、などと想定していますが、これも余りにも想定不足です。
要するに、いまだによくわかっていない地震や津波の発生を『まあ、このくらいだろう』という歩留まりをして、たかだか高さ12メートルの防潮堤で守れると、そういう設計をしているのが、東京電力柏崎刈羽原発です。
つい先日、その6号機でボヤが発生しました。そのボヤは、非常用ディーゼル発電機の制御盤から発生しています。
ちょっと前ですが、1ヶ月ほど前、東海第二原発は、中央制御室内の制御棒、原子炉内中性子計測計の基盤から発煙しました。
どちらも、もう老朽化してしまい、電気を通せば回路が火を噴く、そういう状況になっているんです。
このような、原発のメンテナンスさえろくにできない会社が、マグニチュード8を超える地震や高さ12メートルを超えるような津波に襲われる。そういうことを想像すれば、次に福島第一原発級の事故が起きるのは、柏崎刈羽であるというふうに考えるしかありません。
再び、東京電力が原発震災を新潟で起こせば、もう日本はおしまいです。それを止めるために、私達は今、ここに来ています。これからも頑張りましょう」。
- 新潟 柏崎刈羽原発6号機制御盤室から一時煙 東京電力が消火(2025.3.10 NHK)
- 東海第二原発 中央制御室内で火災 すぐ消火 昨年度も火災5件(2025.2.4 NHK)
集会の詳細については、全編動画を御覧いただきたい。