樋口英明元裁判長「原発の本質は国防問題。我が国の保守政治家たちは『仮想敵国やテロリストは我が国の原発を狙わない』という、強い信頼感を持っているらしい」~12.15 座談会「すべては未来の子供たちのために」―第1部:「この国の選択と未来」樋口英明 元福井地方裁判所裁判長、河合弘之弁護士、飯田哲也氏ほか 2022.12.15

記事公開日:2022.12.20取材地: 動画
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 2022年12月15日(木)午後5時より福島県喜多方市の喜多方プラザ文化センター 小ホールにて、座談会「すべては未来の子供たちのために」第1部「この国の選択と未来」が開催された。

 樋口英明 元福井地方裁判所裁判長、河合弘之弁護士、認定NPO法人環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也氏が登壇した。

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 司会進行役の会津電力会長 佐藤彌右衛門氏は、「福島原発事故発生時は、次から次へとメルトダウン。先人たちから受け継いだ豊かな土地の全てが終わる寸前だった。最後の最後に決定的なことにならずにここまで来た。運が良かった。絶対壊れないはずだった原子力発電所が、いともたやすく壊れた。

 それ以降、会津電力を作って自然エネルギーで回していこうと思い立った。豊かな水がある。川も湖もある。水力だけでも十分やっていける。電気は買っているが、水道事業は豊かな水で賄える。それと同じように電気も自分たちで賄えるのに、今までその手段を奪われてきた。

 2013年から、太陽光・潮水力・風力・バイオなどエネルギーも自分たちで作って利用してもらおうとしてきた」と、事故からこれまでの経緯を説明した。

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 樋口元裁判長は、「原発の本質は2つだけ。1つ、人が管理し続けなければならない。原発は水と電気を与え続けて原子炉を冷やし続けなければ大事故になる。

 2つ、火力発電所なら火を止めるればいいだけ。檻に入れられたライオンと同じように、一見怖そうだが水や餌を続けなければ死んでしまう。しかし、原発は管理を怠ると檻を破って暴れ出し、誰にも止められなくなる。日本の国さえ滅ぼしかねない。エネルギー問題でもあるし、環境問題でもある。しかし本質は国防問題。短期間の間に国を滅ぼしかねないのは戦争と原発だけ。

 53基も原発を並べておいて『敵基地攻撃能力』? 滑稽だ。我が国の保守政治家たちは『仮想敵国やテロリストは我が国の原発を狙わない』という、強い信頼感を持っているらしい。これはいったい何か? 原発をやめることが防衛の第一歩。そこから始まらないと仕方がない。(中略)

 飛行機を運転している時に燃料漏れが生じた。エンジンを止めましょうという訳には行かないので、近くの飛行場で緊急着陸しなければならない。だがその時、高度計が壊れていることに気付いたので目測で着陸しようとしたが、さらその時、車輪が出ないことに気付いた。このように想定外のことが次々に起こるのが老朽化である」と大変示唆に富んだことを語った。

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 飯田氏は「技術者として最後にやったことは、福島第一原発で津波を浴びた乾式貯蔵キャスクを保全することだった。津波を浴びても停電になっても、中の核のゴミは無事保全できた。

 しかし、福島原発事故以前から、日本では核のゴミの管理はデタラメだった。

 日本で出た核のゴミをフランス・イギリスに送って、『目の前から消えれば何とかなる』」として、戻ってきた処理済み燃料をまた使う。高速増殖炉ができる見込みもないのに、再処理工場を今だに作ろうとしている。再処理工場ができたらできたで、全くムダなプルトニウムが生産されてしまう。

 今現在、福島第一原発事故で発生した除染ゴミの行き場もない。原子炉から取り出そうとしている燃料デブリの行き場もない」と、何から何までデタラメ尽くしの原発行政を強烈に批判した。

■全編動画

  • 日時 2022年12月15日(木)17:00~18:20
  • 場所 喜多方プラザ文化センター 小ホール(福島県喜多方市)
  • 主催 会津エナジー株式会社、会津電力株式会社、Kプロジェクト(詳細)
  • 共催 生活協同組合コープあいづ

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