2022年9月2日(金)午前11時より、東京都千代田区の司法記者クラブにて、「311子ども甲状腺がん裁判」第2回口頭弁論期日に関する事前記者会見が行われた。
福島第一原発事故により、大量放出された放射線によって被曝し、甲状腺がんを発症した若者ら6人が、東京電力に損害賠償と救済を求める「311子ども甲状腺がん裁判」は、9月7日に第2回口頭弁論を迎える。
この第2回口頭弁論と同日、新たな原告1名の追加提訴が行われ、これまでの提訴との併合が要請される。原告は計7名(男2名、女5名)となる。
会見では、311子ども甲状腺がん裁判事務局長の北村賢二郎弁護士と、追加提訴する原告担当の熊澤美帆弁護士、追加提訴する原告が登壇した。
はじめに北村弁護士が、第2回弁論当日のスケジュールについて説明した。後述のように支援・報告集会も予定されている。
その後、質疑を挟んで、追加提訴を行う7人目の原告が、思いを語った。事故当時小学校6年生、福島県中通り出身、現在20代の女性である。
女性は、2021年夏に甲状腺がんと診断を受けた。それまで3回の甲状腺県民健康調査では「健康で心配いらない」と診断され、安心していた分、ショックを受けたという。
女性は、手術の遅れで再発や転移の確率が上がると言われ、「早く終わりにしたい」と手術を受けた。「自分は多少の苦痛には耐えられる」との思いもあったとのこと。
しかし「手術は予想以上に辛く、心身ともに疲れきって、しまいには家族に当たるという、最悪なことをしてしまいました」と、この女性は語った。
状況を受け入れられず、殻に閉じこもる中で、311子ども甲状腺裁判のことを聞き、「自分以外にも苦しい思いをしている人達がいる」と知ったとのこと。話を聞いて「『自分が甲状腺がんになってしまったのは何故か』しっかりと向き合いたい」と、参加を決意したのだという。
「私は普段、『笑っていれば何とかなる』という考えなので、明るく喋って何ともない雰囲気を出していますが、心の中は不安だらけです」と、女性は語った。
女性は、無意識に「放射能のことは、自分とは関係のないこと」と思っていたが、10年経って甲状腺がんになった。「10年後、20年後、もしかすると30年後に同じことが繰り返されるのではないか」との思いが消えず、「そうなったら、あの辛かった手術に耐えられない」と考えるのだという。しかし、病気は仕方ないと諦めたくないので、「どんな結果になろうとも原告として最後までやる覚悟を持ってこの裁判に挑みます」と、決意を語った。
なお、9月7日の第2回弁論当日のスケジュールは、以下が予定されている。
12:30 東京地裁前アピール行動(弁護団、支援者)
12:50 地下鉄出口から正門へ入廷行進(原告家族1名と弁護団、支援者)
13:20 傍聴整理券配布
13:40 傍聴券抽選・配布
14:00 口頭弁論(40分ほど)(原告2名が遮蔽内で参加、井戸謙一弁護団長による東電答弁書への反論等、原告6の意見陳述)
14:20 支援・報告集会(日比谷コンベンションホール)
15:00 弁護団記者会見(含む原告6の感想・コメントの紹介)(司法記者クラブ)
会見内容について、詳しくは、全編動画を御覧いただきたい。(原告の音声は変えています)
※本会見の記録動画内で会見内容の情報解禁日が2022年9月7日とアナウンスされているが、その後、311子ども甲状腺がん裁判事務局により9月2日解禁に訂正された。