9月17日の午後3時半頃、レバノンとシリアで、複数のボケベルが爆発しました。ヒズボラのメンバーを対象にしたテロ攻撃と見られています。
17日付『ニューヨーク・タイムズ』によると、レバノンの犠牲者は、日本時間で18日13時の時点で、少女1人を含む11人が死亡、2700人以上が負傷したとされます。
- Pagers Explode Across Lebanon in Apparent Attack on Hezbollah(ニューヨーク・タイムズ、2024年9月18日)
また、シリアでも、同時に、ポケベルが爆発しており、英国に拠点を置く監視団体、シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)によると、シリアでも、少なくとも14人が、ヒズボラに対する攻撃によるポケベルの爆発で負傷しました。
- Pagers Explode Across Lebanon in Apparent Attack on Hezbollah(ニューヨーク・タイムズ、2024年9月17日)
犯人は、イスラエルである可能性がもっとも高いと見られます。
17日の『ニューヨーク・タイムズ』は、「米国とその他の関係者によると、イスラエルは火曜日(17日)、レバノンに輸入された台湾製ポケベルの新しいバッチに爆発物を隠し、ヒズボラに対する作戦を実行した」と報じ、米国政府関係者が、あらかじめ、この作戦の手口まで、知っていたことを示唆しています。
- Israel Planted Explosives in Pagers Sold to Hezbollah, Officials Say(ニューヨーク・タイムズ、2024年9月17日)
18日付の『ロイター』は、「米国防総省のパトリック・ライダー報道官は17日、レバノンで17日に起きた親イラン武装組織ヒズボラ戦闘員の通信機器爆発に米国は関与していないと発表した」と報じ、米国が関与している可能性を否定してみせました。しかし、否定するには米国の軍部や諜報機関、民間軍事会社に至るまで、国内を調査してからでなければ、結論は出せないはずです。
逆に、事前に、イスラエルの作戦についての情報を得ていて、ポケベルが爆発したら、シラをきろうと、あらかじめ予定稿すら作成していたのではないか、とすら思われます。直接、関与していなくても、情報は得ていて、黙認していたことを、認めたようにも受け取れます。
- ヒズボラの通信機器爆発、米は関与していない=国防総省(ロイター、2024年9月18日)
実は、『ミドル・イースト・アイ』が、6月13日時点で、アラブの高官の話として、「米国の特使アモス・ホックスタインは、火曜日(6月11日)にベイルートでレバノンの当局者と会談し、イスラエルがヒズボラに対する限定的な攻撃を準備しており、外交的な解決が見つからない場合、米国がその行動を支持するとの『厳しい』警告を伝えた」と報じているのです。
- US signals to Hezbollah it will back Israeli offensive, as frustration with Gaza ceasefire grows(ミドル・イースト・アイ、2024年6月13日)
6月13日付『ミドル・イースト・アイ』は、米国のアモス・ホックスタイン特使のメッセージをこう伝えています。
「ホックスタイン氏は、ヒズボラへのメッセージとして、米国は同盟国であるイスラエルを完全に支持し、次の5週間で戦闘が止まらない場合、イスラエルの攻撃を公には非難しないだろうとレバノン当局者に警告した」。
次の5週間とは、7月16日頃です。
さらに、9月18日付『タイム・オブ・イスラエル』は、米国が、イスラエルのヒズボラへの大規模攻撃をあらかじめ知っていたことを次のように報じています。
「月曜日(16日)には、バイデン政権の特使アモス・ホックスタインがイスラエルでネタニヤフ首相およびガラント国防相と会談し、ヒズボラに対する大規模な攻撃を行わないよう警告した。
ある米国政府高官によると、ホックスタイン氏は、大規模なIDF(イスラエル国防軍)の攻撃は地域戦争のリスクを高め、北部国境近くから避難した約6万人のイスラエル市民が自宅に戻るための安全を回復することにはならないと主張した」。
- US says it wasn’t involved in or tipped off about Hezbollah pager detonations(タイムズ・オブ・イスラエル、2024年9月18日)
9月17日の『ニューヨーク・タイムズ』と、6月13日付『ミドル・イースト・アイ』、そして、9月18日付『タイム・オブ・イスラエル』を読むと、米国が、この作戦をあらかじめ知っていたのは確実で、作戦の内容まで関与した可能性が浮上します。
ほぼ100%犯人はイスラエルで、共犯者が米国なのです。
被害者は、元米国防副次官のスティーブン・ブライアン氏によると、「少なくとも2800人が負傷し、ヒズボラとイラン関係者8人が死亡、その中にはレバノン駐在イラン大使(モジタバ・アマニ氏)も含まれ、彼も負傷した」といいます。
- Exploding Pagers in Lebanon and Syria(Weapons and Strategy、2024年9月17日)
犠牲者の大半が、レバノンとシリアの一般市民なのです。
元国連主任査察官のスコット・リッター氏は、18日にXにこうポストしています。
「100%テロです。
米国だったら、そのような作戦を実行したかどうか自問自答してみてほしい。
答えはノーです。
それはテロ行為に該当するからです。
イスラエルはテロ国家だ。
テロリストが主導している」
元CIA職員のエドワード・スノーデン氏も、17日のXへのポストで、次のように、テロだと断定しています。
「イスラエルが今やったことは、どのような方法であれ無謀だ。車を運転していた人(これは車が制御不能になる)、買い物をしていた人(レジの列で後ろに並んでいるベビーカーに子供が乗っている)など、数え切れないほどの人々を吹き飛ばしたのだ。テロと区別がつかない」。
さらに、スノーデン氏は、こう警告しています。
※ここから先は【会員版】となります。会員へのご登録はこちらからお願いいたします。ぜひ、新規の会員となって、あるいは休会している方は再開して、御覧になってください!https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php(会員限定・続きを読む https://iwj.co.jp/wj/member/archives/524620)