日経平均株価4万円超えと急落・反転は「令和バブル」の始まりか!? 終わりか!? 都心を中心に広がる地価高騰が家賃上昇や、さらなる物価上昇を招く! 鍵となったのは、半導体株! その最先端の戦いが米中で火花を散らす!~岩上安身によるインタビュー第1149回ゲスト エコノミスト田代秀敏氏(その1) 2024.3.18

記事公開日:2024.3.21取材地: テキスト動画独自
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(文・IWJ編集部)

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 2024年3月4日、東京株式市場で日経平均株価が空前の4万円台を突破した後、3月11日、12日、13日と急落したが、週明けの月曜日18日には、急反発した。

 3月18日、岩上安身は、日銀のマイナス金利解除と株価や円相場、住宅金利への影響などについて、エコノミストの田代秀敏氏に緊急インタビューを行った。

 田代氏によると、そもそも「日経平均株価」とは、日本の優良な上場企業から選ばれた225社の株価の平均だが、「不思議な構造になっている」として、次のように述べた。

 「(日本を代表する大企業の)トヨタの株価には、あまり反応しない。

 どちらかというと、よほど業界に通じている人じゃないと、聞いたことがないような名前の会社の株価の方が、あるいは、有名だけどトヨタに比べると、うんと規模の小さな会社の株価なんかの方が、トヨタの株価よりも、何十倍も、日経平均株価を動かしているんです。そういう仕組みなんです。

 だから、こういうの(3月4日に225社の株価平均である日経平均株価が4万円を突破した一方で、東証プライム市場では、トヨタも含め全体の約3分の2にあたる1120銘柄が値下がりしたという事実)を見て驚くのは、相当に日本の証券市場・株式市場にウブな人」。

 田代氏は、日経平均に選ばれた225社について、「前世紀(20世紀)どころか、前々世紀(19世紀)の遺物のよう」だと指摘した上で、日経平均とは別に、「東京証券取引所に上場している全銘柄を対象にした株価指数(東証株価指数=TOPIX)を、ちゃんと東京証券取引所は発表しています」と述べ、次のように語った。

 「その指数は、一番値が大きかったのは、1989年の12月18日です。そこがピークで、その史上最高値は、いまだに更新されていません。

 その値は、2884.80ポイント(指数のため、通貨単位ではない)を記録したんですね。これが最高値。

 で、現状、今日の値は、2721.99ポイントですから、全然まだ足りない」。

 田代氏は、日経平均株価そのものについて、疑いをさしはさむ必要があることを強調した。

 「実態を表していないどころか、有害かもしれない。

 自分の投資のための参考にするのも危険だし、もっと言うと、経済政策の参考基準とするのは、ものすごく危険ですよ。間違った経済政策を行なってしまう可能性がある」。

 また、田代氏は、「日銀がマイナス金利を解除すると、円高が進行する」仕組みについて、以下のように解説した。

 「『マイナス金利』というのは、銀行が、日本銀行に預けているお金のうちの一部に、マイナスの金利、つまり『(民間の銀行が)お金を(日銀に)預けていると、逆に金利を取るよ』と言っているわけです。

 マイナス金利は、銀行と日本銀行との間にある金利だから、銀行が預金などの金融商品の金利を決めるベースになっているわけです。そこがマイナスになっていると、(市場での金利)全体が沈み(下がり)ますよね。

 日本銀行の意図はそこだったわけです。銀行の貸出金利を強制的に、底を押し下げることで上の方も押し下げると。そうすると、(事業者などが、銀行から)お金を借りやすくなる。資金需要が増えて、好循環が起きると踏んだんだけど、その好循環は起きなかったんですね。

 マイナス金利を解除すると、金利の一番底の部分が、マイナスではなくて、少なくともゼロにはなるわけだから、その分全体が押し上げられますよね。そうすると、日米の金利差が、今大きいんだけど、これがちょっと縮まる。そうなると、その分、円が上がる余地が出てくるわけです。

 為替レートというのは、ふたつの通貨の間の交換比率ですよね。多くの場合、日本だと日本円と米ドルを考えているわけです。

 米国は、インフレ対策で、ものすごく高い金利をつけています。日本は世界でもまれなマイナス金利です。その間(金利差)が、非常に幅が広い。

 日本円を持っていても、金利がほとんどつかないから、それだったら米ドルで預金して、金利を取ろうと思う人がいるのは当たり前ですよね。そうなると、円を売ってドルを買うので、円安が起きるわけです。

 だけど、マイナス金利解除で、日本の金利体系がちょっと上振れすると、その分だけ、円を売ってドルを買うという勢いが弱まりますよね。

 それが、円高を起こすんじゃないかと(考えられている)」。

 田代氏によると、マイナス金利解除によって、円を保有すると今度は金利がつくため、円を買おうとする者が出てきて、円高が起こると予測したプロ(機関投資家)が、今のうちに(円が安い間に)円を買っているため、先週は、円高が進行し、その分、株安が進行したとのこと。

 他方で、週明けの18日、日経平均株価が反転急上昇し、『日本経済新聞』は、「『円安・株高』第2ラウンド始まる」と報じた。

 これについて、田代氏は、次のように解説した。

 「これまでの、植田(和男)総裁はじめ、日本銀行の経営幹部達のいろんな講演とかを聞いていると、マイナス金利政策の解除は、もう決まっていて、あとはタイミングだけだと。

 金融政策決定会合をいつやるかは、事前に1年分くらい日程が公開されていますから、それを考えると、そろそろここで解除するだろうと。

 (マイナス金利を)解除すると、円高に振れるかもしれないんだけど、問題は、いつ解除されるかわからないから、みんな疑心暗鬼だったんですね。

 それが、今日明日(18日、19日の金融政策決定会合)で、もう解除されると、特に『日経新聞』が、スクープを報じたわけです。

 投資というのは未来の可能性・リスクに対して賭けている、投資しているわけですよね。なるべくそのリスクの幅は、小さい方がいいんだけど、未来のことは誰にもわからないわけです。

 でも、その不確定な要素のひとつ(いつ解除するか)が消えそうだと。ということは、たとえ円高に少し振れたとしても、それで終わりだと。

 今までは、いつ円高になるかわからないから、不安だったんだけど、もう今日明日で決まれば、ある程度円高になっても、そこでいったん(円高は)止まる。

 だから、それがこの『第2ラウンド』のゴングが鳴りました、ということです」。

 インタビューではこのあと、田代氏が冒頭で「不思議な構造になっている」と指摘した「日経平均株価」の仕組みについて、詳しく解説した。

■エッセンス版

  • 日時 2024年3月18日(月)17:00~
  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)

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