【IWJ号外】ジョン・ミアシャイマー教授の9月3日付最新論文『負けるべくして負ける~2023年のウクライナの反転攻勢』全文仮訳! 第3回「反転攻勢」の幻想を打ち砕き悲惨な戦後まで予言! 2023.9.7

記事公開日:2023.9.7 テキスト
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(文・IWJ編集部)

 IWJ代表の岩上安身です。

 【IWJ号外】でお伝えしたジョン・ミアシャイマー教授の9月3日付最新論文『負けるべくして負ける~2023年のウクライナの反転攻勢』全文仮訳! 第3回、最終回です。

 第3回は、ウクライナ軍の電撃戦を阻止するロシア軍の能力を冷静に分析していきます。

 その分析の結果、ミアシャイマー教授は、「ロシア軍はこれらすべての攻撃ラインを認識し、それぞれに十分な備えをしていた」という結論にたどり着きます。

 「ウクライナが、奇襲攻撃によって、主要攻撃地点で戦力の大幅な優位を確保する可能性はほとんどなかった。その代わり、ロシア軍は、精度の高い兵器の致命的な数々を携えて、ウクライナを待ち構えていた」のです。

 さらに、ウクライナ軍の「反転攻勢」が、あたかも6月に入って突如行われ、ロシア軍の第一防衛線を突破したかのように、日本のメディアではメチャクチャなプロパガンダ報道がなされていますが、ミアシャイマー教授は、ウクライナ軍の「反転攻勢」そのものに、戦術の変化が何回かあったことを指摘しています。

 「西側当局の報告によると、ウクライナは『反転攻勢』開始から2週間で、戦場で使用した兵器の約20%を失ったという。

 ウクライナ軍は、最初の挫折の後、すぐに戦術を変更し、装甲部隊でグレーゾーンを戦い抜こうとするのではなく、大規模な砲撃のバックアップを受けた小規模な歩兵部隊で攻撃することで、ロシア軍を消耗させようと決めた。

 これは西側諸国では『モスキート戦術』と呼ばれることもあった。この新しいアプローチによってウクライナの死傷者は多少減ったものの、攻撃部隊は、ほとんど前進できず、しばしば猛烈な砲撃の標的になった」。

 日本を始めとした西側諸国が、米国とNATOの言うことだけが「正しい」とする、傲慢な態度を貫いた結果、どういう犠牲を、ウクライナで払わされつつあるのか、ぜひ、本文をお読みください。

 これまでのジョン・ミアシャイマー教授の9月3日付最新論文『負けるべくして負ける~2023年のウクライナの反転攻勢』の第1回、第2回は以下からお読みいただけます。会員登録がまだの方は、ぜひ、会員登録をして、お読みになってください。

 以下から、第3回の仮訳となります。

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 「電撃戦を阻止するロシアの能力

 ウクライナが『反転攻勢』を成功させる見込みは、ロシアの防衛能力を考慮するとさらに悪くなる。

 第一に、1940年5月にドイツ国防軍がフランスやイギリスに対して行ったように、ウクライナ軍が主攻撃の場所について、ロシア軍を驚かせる可能性は事実上なかった。

 メディアの報道、ウクライナや西側の当局者のコメント、そして地図を見ただけでも、主攻撃は、ザポリージャ地方で行われ、ウクライナの機甲部隊はオリヒフ(※IWJ注1)周辺からアゾフ海まで移動し、その途中でトクマク(※IWJ注2)の町とメリトポリ市(※IWJ注3)を占領することを目指していることは明らかだった」。

(※IWJ注1)オリヒフ(Orikhiv)は、南部のザポリージャ州のほぼ中央に位置する都市。

(※IWJ注2)トクマク(Tokmak)は、メリトポリ市の北方に位置する交通の要衝の町。

(※IWJ注3)メリトポリ(Melitopol)は、ザポリージャ州南部の市。アゾフ海に接するモロチナ潟に流入するモロチナ川に隣接している。2020年9月30日にロシアに併合され、ザポリージャ州の臨時州都に指定されている。

 「事実上、ロシアがウクライナ東部と南部に保持していた広大な領土は半分になり、ロシアはクリミアへの陸橋を失うことになる。

 ウクライナは、最終的にはアゾフ海に到達することを目標に、前線に沿って1つ以上の追加突破を試みることが予想された。

 ひとつは、ヴェリカ・ノヴォシルカ(※IWJ注4)の南でロシアの防衛線を突破し、マリウポリまで進むこと。

 もうひとつは、グリヤイポール(※IWJ注5)付近を突破し、アゾフ海のベルディアンスク(※IWJ注6)を目指すものだった」。

(※IWJ注4)ヴェリカ・ノヴォシルカ(Velyka Novosilka)は、ザポリージャ州のすぐ東隣にあり、東部ドネツク州ヴォルノヴァハ県にある都市型集落。モクリ・ヤリー川の東岸、右岸に位置する。

(※IWJ注5)グリヤイポール(Gulyaipole)は、ザポリージャ州東部の都市。

(※IWJ注6)ベルディアンスク(Berdyansk)は、ザポリージャ州のアゾフ海の港湾都市。

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