【IWJ号外】スクープ! 米国議会内にザポリージャ原発の破壊を利用して、対ロシア戦へのNATO参戦を実現させる決議案が浮上! 2023.7.7

記事公開日:2023.7.7 テキスト
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(文・IWJ編集部)

 スクープ! 米国議会で、「NATO加盟国内」ではなく、「NATO領域内」で、核施設が破壊され、放射性物質が拡散した場合、NATO加盟国全体への攻撃とみなす、という決議案が準備中! NATO未加盟国のウクライナのザポリージャ原発が破壊されれば、NATO全体が対ロシア戦へ参戦!!

 7月5日付『Tass』は、「ロスエネルゴアトムは、ウクライナ軍によるザポリージャ原子力発電所への核廃棄物砲弾による攻撃を警告する」というタイトルの記事を配信しました。

 7月5日付『Tass』によると、「ウクライナ軍は7月5日夜、南ウクライナ原子力発電所から7月3日に搬出された放射性廃棄物を含む弾薬をザポリージャ原子力発電所に投下するなどの攻撃を試みる。この発言は、ロスエネルゴアトムのレナト・カルチャー事務局長顧問が、受け取った情報を基に、述べたものである」

 レナト・カルチャー事務局長顧問は、ウクライナ軍の攻撃方法についても詳細に言及していました。

 「(レナト・カルチャー事務局長顧問は)ウクライナ軍が長距離高精度兵器や神風ドローンで施設を攻撃する可能性があると警告した。彼はまた、キエフは放射性廃棄物を積んだソ連製の弾道ミサイルで原発を攻撃するかもしれないと主張した」

 これに対して、ウクライナのゼレンスキー大統領は、4日(現地時間)に自身のツイッターで公開した動画の中で、「ザポリージャ原発の複数の発電施設の屋根に、ロシア側が爆発物のようなものを設置したという情報がある」と述べています。

 「ロシア軍がザポリツィア原子力発電所のいくつかの発電ユニットの屋根の上に爆発物のようなものを置いたという情報が入ってきた。おそらく原発への攻撃をシミュレートするためだろう。あるいは、何か別のシナリオがあるのかもしれない。

 しかし、いずれにせよ、ザポリツィア原発を危険にさらしているのはロシアだけであり、他には誰もいないことを世界は知っている。残念なことに、カホフカ水力発電所へのテロ攻撃に対して、タイムリーで大規模な対応はなかった。そしてこのことは、クレムリンの新たな悪事を煽ることになりかねない。放射能はすべての人に影響を与えるため、それを阻止するのは世界中のすべての人の責任であり、誰も傍観することはできない」

 ウクライナとは6時間の時差がありますので、ザポリージャでたとえば7月5日の19時は、日本時間では、6日の深夜1時となります。

 現在、日本時間で6日の17時ですが、ザポリージャは、6日の午前11時です。

 要するに、ウクライナ軍による攻撃も、ロシア軍による攻撃も、言葉だけで、5日の夜には実際の攻撃はなかったことになります。

 IAEAは、5日の時点で、ゼレンスキー大統領の「ザポリージャ原発の複数の発電施設の屋根に、ロシア側が爆発物のようなものを設置した」という発言を否定する声明を出しています。

 「IAEAの専門家はここ数日から数週間、冷却水の貯水池の外周を含む施設の一部を点検しているほか、敷地内を定期的に歩き回っているが、今のところ地雷や爆発物が仕掛けられている兆候は確認していない」

 さらに、「グロッシIAEA事務局長はまた、ZNPP(ザポリージャ原発)に駐在しているチームが、サイト付近での最近の砲撃や爆発を報告していないことも確認した」と述べています。

 この点について、7月5日付の『Tass』に、ウクライナ軍による攻撃情報について語ったロスエネルゴアトムのレナト・カルチャー事務局長顧問は、テレビ『ロシヤ24』の中で、「ロシアがウクライナの計画を公表したことで、原発攻撃は防げた」と述べました。この発言については、5日付のロシアのニュースエイジェンシー『REX』もくわしく報じています。

 テレビ『ロシヤ24』の中で、レナト・カルチャー事務局長顧問は、次のように語ったと『REX』は報じています。

 「『情報分野における我々のすべての行動の目的は、状況を悪化させることでもなく、否定的な感情的背景を作り出すことでもなく、積極的であることだったと思います』

 カルチャーは、ロシア側の声明で起こりうる結果を警告したのは、『感覚と理性を完全に失った人々が、災難につながりかねない行動をとるのを阻止するため』だと確信している。

 『そして、それが今のところ成功しているのであれば、我々はそれに満足している』と専門家は付け加えた」

 要するに、ロシア側の情報戦によって、ウクライナ側の原発攻撃を防いだという主張です。

 ザポリージャ原発に何事もなかったのは良いことですが、気がかりな点も残っています。

 米国議会において、ザポリージャ原発への攻撃を利用してNATO参戦を実現させようとする決議案が浮上してきたからです。

 6月22日、好戦派の共和党のリンゼイ・グラハム上院議員(サウスカロライナ州選出)が、「グラハムとブルメンタール、ロシアの戦術核の脅威に対処する決議案を提出」というプレスリリースを行ったのです。

 これは、リンセイ・グラハム上院議員(サウスカロライナ州選出)とリチャード・ブルメンタール上院議員(コネティカット州選出)が6月22日、ロシア連邦がベラルーシ共和国に戦術核兵器を配備したことに対応する決議案を提出した、というプレスリリースなのです。

 この決議案は「単純決議268:ロシア連邦の戦術核配備による、そして、その他の諸目的のために、生じた脅威に対応する決議(S.Res. 268: A resolution responding to the threat posed by the Russian Federation’s deployment of tactical nuclear weapons, and for other purposes.)」というものです。

 このプレスリリースで重要な点は、次の箇所です。

 「グラハム上院議員とブルーメンタール上院議員は、ロシア、ベラルーシ、あるいはそれらの代理人による戦術核兵器の使用、あるいはNATO領域内に放射性汚染物質を拡散させる核施設の破壊は、NATOそのものへの攻撃とみなされ、第5条による対応が必要となる、とする決議案に注目した」

 北大西洋条約第5条とは、集団防衛を規定したもので、「欧州又は北米における一又は二以上の締約国に対する武力攻撃を全締約国に対する攻撃とみなす。締約国は,武力攻撃が行われたときは,国連憲章の認める個別的又は集団的自衛権を行使して,北大西洋地域の安全を回復し及び維持するために必要と認める行動(兵力の使用を含む。)を個別的に及び共同して直ちにとることにより,攻撃を受けた締約国を援助する」というものです。

 要するに、NATO加盟国一国に対する攻撃は、NATO全体に対する攻撃とみなし反撃する、という規定です。

 グラハム上院議員とブルーメンタール上院議員の決議案のどこが懸念すべき点かというと、「NATO領域内に放射性汚染物質を拡散させる核施設の破壊は、NATOそのものへの攻撃とみなされ、第5条による対応が必要となる」という決議案の文言です。

 ここで言う、核施設には、NATO未加盟国であるウクライナのザポリージャ原発も、当然、含まれます。なぜならば、決議案には、「NATO加盟国内」とされず、「NATO領域内」と規定されているからです。

 ザポリージャ原発が破壊されれば、飛散した放射性物質は、国境を越えて、ウクライナの隣国のNATO加盟国のポーランド、スロバキア、ルーマニア、ハンガリーなどに、拡散する可能性が極めて高く、そうなった時には、「NATO加盟国全体への攻撃とみなして反撃する」ことが可能となるからです。

 ウクライナの原発の事故や、破壊がおこなわれ、その事態を引き起こした「犯人」はロシアだと名指しさえできれば、第5条の適用となり、NATOは参戦しうるのです。こうした議会の動きは、日本のマスメディアでは、一切、報じられていません。日本語で報じるのは、おそらくIWJのこの記事が初めてであると思われます。

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