IWJ代表の岩上安身です。
どうやら対露制裁はまったく効果ないどころか、米国の覇権維持・強化が目的だったはずのウクライナ紛争と対露制裁が、逆に米国の覇権崩壊を加速しているようです。これはウクライナ紛争と対露制裁の最大のパラドクスにほかなりません。
「力による一方的な現状の国際秩序(パックス・アメリカーナ)の変更に反対する」とバイデン大統領も、岸田総理を含むG7首脳も繰り返してきましたが、結局、パックス・アメリカーナの崩壊を加速させているのは、米国とその従属国です。
ロシアを現地視察してきた元国連兵器査察官のスコット・リッター氏は、「ロシアは経済的な復活を遂げつつある」と報告しています。
ウクライナ紛争と対露制裁は、欧米の軍事産業・資源産業・金融業など、一部の大企業に莫大な収益を与えただけで、欧米の市民たちの生活を大きく破壊するものでした。IWJは、5月発表の内閣府の『海外経済データ』にもとづいて、検証しました。
以下、スコット・リッター氏の報告から見ていきましょう。
軍事アナリストで元国連兵器査察官スコット・リッター氏は、ロシア連邦のほぼ全域をカバーする十数都市を訪問し、1ヶ月間のロシア滞在から帰国して、そこで見たロシア経済の現状を、6月1日付『SPUTNIK International』に発表しました。
- Scott Ritter: Sanctions Against Russia Failed. I Saw It Firsthand.(SPUTNIK International、2023年6月1日)
ロシアは制裁が効いていて、経済はさんざんに痛めつけられている、というのが、西側の毎日のように繰り返されている報道や論説です。
リッター氏の現地視察報告は、大方の予想を裏切るものでした。
しかし、「ロシアに到着したとき、私(スコット・リッター氏)は、米国主導の制裁によって大きな影響を受けている国を見ることになるだろうと思っていた。しかし、欧米の制裁政策によって、ロシアは経済的な復活を遂げつつある」
そして、2022年3月26日のバイデン大統領のワルシャワ演説を引きながら、バイデン大統領と西側諸国が期待した成果が上がっていないことを述べているのです。
「2022年3月26日、ジョー・バイデンは、ポーランドのワルシャワで聴衆を前に、ウクライナ紛争について講演した。バイデンの演説の主な目的の1つは、自分の政権が状況をコントロールしているという信頼感を観衆に抱かせることだった。バイデンの主張の中心は、米国、欧州連合、G7、NATOが提唱する体系的な経済制裁プログラムがロシア経済に与える有害な影響だったのである」
このようにリッター氏は述べて、バイデン大統領が1年2ヶ月前に予言した未来がどう外れているか、現在の状況を次のように描写しています。
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