米国がザポリージャ原発を攻撃しているのはウクライナとついに認めた! 『NYタイムズ』が米高官証言をもとにウクライナ軍のマスター・プランを報道! そこには原発奪還の計画が! しかも米英の諜報機関が関与!? ロシア軍が攻撃と報じた日本の新聞・テレビ等は謝罪・訂正すべき! 2022.11.26

記事公開日:2022.11.26 テキスト
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(文・IWJ編集部 文責・岩上安身 2022年11月26日時点で加筆・アップ)

 ウクライナ南部にあるザポリージャ原発は、侵攻したロシア軍が2022年3月から占拠しているが、その間ずっと、施設に対する砲撃が加えられてきた。11月19日から20日にかけても多数の砲撃があり、施設の一部が損傷した。これを受けて、ロシアの原子力企業「ロスアトム」のトップ、アレクセイ・リハチョフ氏は21日、「原発事故が発生する危険性がある」と警告を発している。

 もし欧州最大規模のザポリージャ原発が破壊されれば、ウクライナはもとより、ユーラシア大陸中央部を中心にロシアや欧州まで、壊滅的な核汚染の被害が広がる。その原発に対し、危険な攻撃を仕掛けることは、常軌を逸しているとしか言いようがない。

 その常軌を逸した攻撃を、いったい誰が行っているのか。

 これについては、当初から、ウクライナとロシアの双方が相手側だと主張し続けています。9月に現場を査察した国際原子力機関(IAEA)は、報告書の中で、誰が砲撃したかを明らかにしていません。おそらく相当な政治圧力がかけられたことだとは思いますが、IAEAは、事実上、責任を放棄しています。

 そうした中で、9月13日付の『ニューヨーク・タイムズ』が、きわめて重要な情報を報じた。それは、ウクライナ軍が英米の協力を得て、9月からの反転攻勢によりウクライナ南部を奪還した舞台裏を報じた記事である。この記事は、多数の米国高官が匿名を条件に取材に応じていることから、記事の内容を、米国政府が事実上、認めていると言える。

 記事中で、ウクライナの戦略のマスター・プランが明かされている。その1つがザポリージャ原発の奪還なのである。

 つまりウクライナ軍は、以前から原発奪還の攻撃を計画しており、それを実行していることを意味する。

 しかし、原発を奪還することと、原発そのものに対して攻撃を浴びせることは、本来、まったく別のオペレーションです。

 原発を奪還するために、原発を支配下に置いているロシア軍を脅かすためとはいえ、ウクライナ軍側が多少の原発の損傷はいとわないと考えているとしたら、その判断は、「クレージー」であるとしか言いようがありません。

 しかし、前出の「ロスアトム」トップ、リハチョフ氏は、「ウクライナ政府が小規模な原発事故は許容できると考えているのは明らかだ」とも述べています。事実であれば、原発の破壊や損傷を甘く見た、「異常」な判断と、やはり言わざるをえません。</P

 そもそも、ロシア軍が、自軍が守備する原発を攻撃することは論理的にありえないことである。ロシア軍が原発を攻撃していると報じ続けてきた日本の全新聞・テレビは誤報の連続を謝罪し、撤回・訂正すべきである。

 もう一点、重要なことは、英米が協力してウクライナの計画立案が進められたと記すこの『ニューヨーク・タイムズ』の記事には、壊滅的被害を引き起こすことが確実なザポリージャ原発の破壊計画に、遠く安全地帯にいる英国と米国が、積極的に関与してきた事実も示されているのだ。

 詳しくは、本文を御覧いただきたい!

 IWJはこれまで、ザポリージャ原発への攻撃について繰り返し報じている。下記もぜひあわせて御覧いただきたい!

記事目次

ウクライナの反転攻勢の舞台裏! ゼレンスキー大統領の「劇的行動」指示で、南部全域での大規模な攻撃計画を立案!

 非常に重要な事実が、9月13日付の『ニューヨーク・タイムズ』によって報じられた。

 うっかりしていると、重要な点が述べられているのを、見落としてしまう記事である。

 この記事は、9月11日にウクライナ軍がハリコフ(ハリキウ)州北東部の奪還に成功した舞台裏を、ウクライナ軍と米英軍との協力関係の中で描き出すものである。

 『ニューヨーク・タイムズ』の記事のタイトルも「ウクライナ急進撃の正念場」となっており、9月11日以降のウクライナ軍の反転進撃がどのように行われ、米英軍がどのように、協力しているのか、そして、今後の展開はどうなるのか、読者はその舞台裏に注目するように書かれている。

 たとえば、この記事の冒頭は次のように書かれている。

 「米国政府関係者によると、ウクライナがここ数日で急速に軍事的利益を得た背景には、数ヶ月前に対ロシア戦争の進め方について、ウクライナと米国の当局者が集中的に話し合っている間に、その戦略が具体化し始めたという。

 反転攻勢作戦は、米国とウクライナの高官による緊急協議のあと、この夏に当初の形から修正されたが、大方の予想を超える成功を収めている。ウクライナ軍はロシア軍の指揮統制系統を破壊し、同国北東部での前進と南部での新たな作戦に、その成功を生かす態勢を整えているようだ。

 この作戦は、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領が、ウクライナがロシアの侵攻を押し返すことができることを示すために、劇的な行動を取りたいと将軍たちに告げた直後から始まった。ゼレンスキー大統領の指示の下、ウクライナ軍はケルソンを奪還し、マリウポリを東部のロシア軍から切り離すという南部全域での大規模な攻撃計画を立案した」

▲ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領。(Wikipedia、President Of Ukraine from Україна

ウクライナと米英は、反転攻勢の計画立案を通じて情報共有を加速させた!

 『ニューヨーク・タイムズ』の記事は続く。

 「ウクライナ軍の将軍たちと米国政府関係者は、このような大規模な攻撃は膨大な犠牲者を出し、広範囲の領土を迅速に奪還することができないと考えた。ウクライナ軍はすでに1日に何百人もの死傷者を出しており、戦闘は激化していた。ロシア軍も同じような犠牲者を出しながらも、ドンバス東部のウクライナの町を蹂躙し、じりじりと前進していた。

 ウクライナの司令官たちは、長い間、自分たちの計画の詳細を米英と共有することに消極的だったが、米英の情報当局に心を開き、助言を求めるようになった。

 米政府高官によれば、ジェイク・サリバン国家安全保障顧問とゼレンスキー大統領の最高顧問であるアンドリー・ヤーマク氏は、反転攻撃計画について何度も話をしたという。統合参謀本部議長のマーク・A・ミリー大将とウクライナ軍幹部は、情報と軍事的支援について定期的に話し合っていた。

▲ジェイク・サリバン国家安全保障顧問。(Wikipedia、The White House

▲ゼレンスキー大統領の最高顧問、アンドリー・ヤーマク氏。(Wikipedia、Office of the President of Ukraine)

 また、キエフ(キーウ)では、ウクライナと英国の軍当局者が引き続き協力し、米国の新しい大使館武官であるギャリック・ハーモン准将は、ウクライナの最高幹部と毎日セッションを持つようになった」

 このように記事の冒頭から、ウクライナ軍の反転攻勢の舞台裏が明かされる。

 ウクライナ軍と米英の情報機関は、ロシアの侵攻当初から情報共有をしていたわけでなく、9月11日のウクライナ軍の反転攻勢計画を立案する過程で協力関係が強まり、現在も緊密に連絡を取り合っていると、『ニューヨーク・タイムズ』は伝えている(9月11日まで情報共有していなかった、というのは、真実かどうかは疑わしい。2014年のユーロ・マイダン・クーデターの時点での米国の関与は明らかである。しかし現在、米英の情報機関とウクライナ軍が公然と連絡を取りあっていることは間違いないだろう)。

多数の米国高官が匿名を条件に語った記事は、すなわち米国政府が事実上、公式に認めた事実!

 この9月13日付『ニューヨーク・タイムズ』の記事の重要な点は、すべて米国政府高官などへのインタビューで構成されているという点だ。

 この点を『ニューヨーク・タイムズ』は、次のように述べている。

 「反転攻勢作戦までの経緯に関するこの記事は、ウクライナの司令官たちの戦闘に役立ったワシントンとキエフ(キーウ)との極秘議論について説明を受けた米政府高官と、その他の人々へのインタビューにもとづいて書かれている。会談は極秘に行われたため、多くの関係者は匿名を条件に話をした」

 多数の米国高官が匿名を条件に取材に応じた、ということは、つまり、この『ニューヨーク・タイムズ』の記事の内容は、米国政府が事実上、公式に認めた事実なのだ。

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