ウクライナの情報操作あらわ! 駐英ウクライナ大使が内務省に「『アゾフ』がネオナチでないと声明出せばメディア拡散」と要請! 日本の公安調査庁「アゾフ大隊」の記述削除! ロシア「日本はナチズム復権」と批判! 日本のマスメディアがアゾフの「ホワイトウォッシュ」一色なのは、どこからの圧力なのか!? 2022.5.18

記事公開日:2022.5.18 テキスト
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(文・IWJ編集部 文責・岩上安身 5月18日加筆・アップ)

 駐英ロシア大使館が2022年4月9日のツイッター等で、駐英ウクライナ大使が同国内務省に「『アゾフ』がネオナチでないと声明を出せば、英国寄りのメディアが拡散してくれる」と要請した手紙を暴露した。ウクライナの民族主義者のネオナチ思想を「ホワイトウォッシュ」する同国の情報工作が明らかにされたことになる。

 こうした情報工作の影響か、日本の公安調査庁は、「ネオナチ組織が『アゾフ大隊』なる部隊を結成」というホームページ「国際テロリズム要覧」の記述を削除したと4月8日に公表した。

 これに対して駐日ロシア大使館は4月10日に「公安調査庁が『アゾフ連隊』を削除した日本は、ナチズム復権への道を歩みだした」と痛烈な批判をツイートしている。

 公安調査庁は「事実と異なる情報が拡散されることを防ぐために削除した」と弁明したが、仮にそうだとしたら、「事実と異なる情報」をこれまでずっと掲載していたことになる。その責任はどうとるのか?

 さらにウクライナの情報工作に従って、アゾフらウクライナのネオナチに対する「ホワイトウォッシュ」を行った上で、苦しい言い訳をしているのだとすれば、アゾフらウクライナのネオナチに対する外国勢力からの圧力に屈して、「公安=公共の安全と秩序」を守るための公的機関としての任務を放棄したことになる。由々しきことである。

 詳しくは、記事本文を御覧いただきたい!

▲「アゾフ大隊はナチスでない」と発信するようウクライナ内務省に要請したプリスタイコ 駐英ウクライナ大使(Wikipedia、©Фото Миколи Лазаренка)

駐英ウクライナ大使が「アゾフ大隊はナチスでない」と発信するよう内務省に要請! 「血で汚れたアゾフのイメージを必死で白紙に戻す?」と駐英ロシア大使館!

 ウクライナによる、西側メディアに対する情報操作の一端が明らかになった。

 「駐英ウクライナ大使は、アゾフ大隊のイメージを緊急に改善したいと考え、内務省の責任者に、彼らがナチスではないことを世界に伝えるよう要請した。英国人が疑い始めたからだ。必死に血塗られたイメージを白紙にしようとしてる? グッド・ラック!」

 駐英ロシア大使館が2022年4月9日、フェイスブックのリンクと共に上記のようなツイートを投稿した。ツイートには駐英ウクライナ大使からウクライナ内務省宛の手紙の画像も添付されている。

駐英ロシア大使館のツイート。駐英ウクライナ大使の手紙が画像添付。(2022年4月10日)

 フェイスブックには、同じ手紙の画像と共に、次のような説明が投稿されている。

※本記事は「note」でも御覧いただけます。単品購入も可能です。
https://note.com/iwjnote/n/ncd0d75b09a5e

<ここから特別公開中>

 「!? 血で汚れたアゾフのイメージを必死で白紙に戻す? グッド・ラック!

 『駐英国大使は、アゾフ大隊の国際的イメージを早急に改善したいと考えている。 彼は内務局の責任者に、「アゾフ」はナチスではなく、それ以外もナチスではないと、世界に発信するよう要求している。 英国人が疑い始めたからだ。

 HakerNet Teamがリークしたウクライナ外務省のアーカイブの中に、駐英大使からウクライナ内務省への手紙が発見された。 彼は、地元で権威ある「タイムズ」や「テレグラフ」が、ネオナチの「アゾフ」のメンバーに言及することが増えていると言うのだ。

 そして:

・ウクライナのイメージに害を及ぼす
・女王陛下の臣民はこれを信じている
・女王陛下の臣民は、ロシア軍の非ナチ化のための努力はフィクションではないと疑い始める。

 プリスタイコ(駐英ウクライナ大使)は、国家警備隊と内務省の代表者に公式声明を出し、アゾフやその他の軍人がナチスではないことを明らかにするよう求めている。 そうすれば、彼らと英国政府寄りの報道機関は、誰もが確実に知り、信じるようにこの声明を再投稿して拡散するだろう』」

日本の公安調査庁がサイトの記述「ネオナチ組織が『アゾフ大隊』なる部隊を結成」削除! 駐日ロシア大使館が「『アゾフ連隊』を削除した日本は、ナチズム復権へ」と痛烈批判! 日本のマスメディアがアゾフの「ホワイトウォッシュ」一色なのは、どこからの圧力なのか!?

 こうした「アゾフ」など、ウクライナ民族主義者らのネオナチ思想に対する「ホワイトウォッシュ」は、日本も他人事ではない。

 ウクライナの情報工作の影響を受けたためか、日本の公安調査庁のホームページの「国際テロリズム要覧2021」では、「極右過激主義者の脅威の高まりと国際的なつながり」の中で、「海外の紛争、イベント等への参加」という項目の冒頭に、つい数日前まで掲載されていたウクライナの「アゾフ大隊」の記述がいつの間にか丸ごと削除されている。

 現在は削除されている文章は、ついこの間までは、以下のように書かれていた。2021年版を見れば、削除前の文章が読める。

 「2014年、ウクライナの親ロシア派武装勢力が、東部・ドンバスの占領を開始したことを受け、『ウクライナの愛国者』を自称するネオナチ組織が『アゾフ大隊』なる部隊を結成した。同部隊は、欧米出身者を中心に白人至上主義やネオナチ思想を有する外国人戦闘員を勧誘したとされ、同部隊を含めウクライナ紛争に参加した欧米出身者は約2000人とされる」

▲公安調査庁ホームページの削除される前の文面。赤囲みが削除部分。

 公安調査庁は4月8日付けで「『国際テロリズム要覧2021』中の『アゾフ大隊』に関する記載の削除について」という、以下のようなお知らせを掲載している。

 「近時、一部において、公安調査庁が『アゾフ連隊』をネオナチ組織と認めている旨の事実と異なる情報が拡散されている状況が見受けられますが、このような誤った情報が拡散されていることは誠に遺憾です。

 これは『国際テロリズム要覧2021』の『ネオナチ組織がアゾフ大隊を結成した』等の記載を根拠にするようですが、そもそも、『国際テロリズム要覧』は、内外の各種報道、研究機関等が公表する報告書等から収集した公開情報を取りまとめたものであって、公安調査庁の独自の評価を加えたものではなく、当該記載についても、公安調査庁が『アゾフ大隊』をネオナチ組織と認めたものではありません。

 ついては、上記のような事実と異なる情報が拡散されることを防ぐため、当庁HP上の『国際テロリズム要覧2021』から上記の記載を削除することとしたのでお知らせします」

 「国際テロリズム要覧2021」の「極右過激主義者の脅威の高まりと国際的なつながり」の冒頭では、「近年、白人至上主義やネオナチ思想を有したり、外国人排斥等を主張したりする極右過激主義者によるテロの実行や奨励、軍事訓練キャンプの運営等、テロに関連した動向が顕著となっている」と断定的に指摘しておきながら、この弁明じみた「お知らせ」。「そもそも、『国際テロリズム要覧』は、内外の各種報道、研究機関等が公表する報告書等から収集した公開情報を取りまとめたものであって、公安調査庁の独自の評価を加えたものではなく、当該記載についても、公安調査庁が『アゾフ大隊』をネオナチ組織と認めたものではありません」とは、あまりにも苦しい言い訳ではないだろうか。取りまとめて公表した時点で、公安調査庁には責任が生じているはずである。

 何よりも、削除の理由が不可解である。アゾフらがネオナチであることは、この8年間、世界中で報じられたり、報告されてきた事実である。今、なぜあえて削除するのか。その理由の方をこそ、知りたい。

 公安調査庁の記述削除に対して、駐日ロシア連邦大使館は4月10日のツイッターで、「日本の公安調査庁は、テロリズム要覧から民族主義部隊『アゾフ連隊』を削除した」と指摘した。

 さらに続けて、A.クリシャス連邦院憲法・国家建設委員長による「テロリストのリストからネオナチスト『アゾフ連隊』を削除した日本は、ナチズム復権への道を歩みだした。古より伝わる文化と偉大な歴史を持つ国が、米国とその植民地であるヨーロッパのあからさまな詐術に抗うことができなかったのは、非常に残念だ」との批判をツイートした。

駐日ロシア連邦大使館のツイート(午前10:56 2022年4月10日)

駐日ロシア連邦大使館のツイート(午前10:57 2022年4月10日)

 公安調査庁が「事実と異なる情報が拡散されることを防ぐため、当庁HP上の『国際テロリズム要覧2021』から上記の記載を削除することとした」というのであれば、これまで「事実」を確認せずに「公安調査庁が『アゾフ連隊』をネオナチ組織と認めている」としか読めない情報を掲載していた、国際的な責任問題にもなる。

 逆に、アゾフはもともとネオナチではない、あるいはかつてはネオナチだったが今はネオナチではなくなった、などというアゾフ自身のプロパガンダを真に受けるなら、アゾフがネオナチではなくなった証拠を明示すべきである。実際問題として、アゾフがネオナチではなくなったなどということは、証明できるはずがない。アゾフは何も変容していないので。

 問題なことは、前述のようにウクライナが「アゾフはナチスではない」との情報工作を開始したため、その工作にまんまと乗っかって「ホワイトウォッシュ」を行い、その上で、苦しい言い訳をしている可能性が高いことである。そんな組織では、日本の主権、国益、公益を守れないのではないか、という根本的な疑問がわいてくる。

 「必死に血塗られたイメージを白紙にしようとしてる? グッド・ラック!」という言葉に、正面から回答し、アゾフの実態を明らかにし直してもらいたいと思う。

 日本政府以上にアゾフの情報工作に加担しているのが日本のマスメディアである。特にテレビはアゾフスタリ製鉄所の地下での映像など、アゾフから素材をもらい、片棒をかついでいる。例えば4月23日の「報道特集」では、金平茂紀キャスターがアゾフ連隊創設メンバーの一人であるマクシム・ショリン司令官にインタビューし、ネオナチとの関係はロシアのプロパガンダだという内容をそのまま放送した。

※これは日刊IWJガイド2022.4.11号~No.3497号に掲載された記事に5月18日時点の情報を加えて加筆・修正したものです。

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