国際連合安全保障理事会の常任理事国で、核兵器を保有する米英仏中露5か国が、2022年1月3日、「核戦争に勝者はおらず、決して戦ってはならない」との共同声明を発表した。掲げられているメインのスローガンは素晴らしいものだが、その内容はどうか。
「核戦争に勝者はおらず…」の文言は、1985年の米ソ共同宣言の使いまわしだが、同宣言にあった「いかなる戦争も防止」「軍事的優位を求めない」の言葉は再利用されていない。それが意味するのは何か?
この「『素晴らしい』ステートメント」にもかかわらず「5か国は正反対のことをしている」と、ノーベル平和賞を受賞した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」のベアトリス・フィン事務局長は痛烈に批判した。
そもそも5か国は、核兵器禁止条約に不参加のままだ。バイデン米大統領に至っては、岸田総理にオブザーバー参加すら避けるよう「要請」した。「桁違い」の数の核弾頭を持つ軍事大国、米国こそ、中ロに軍縮を持ちかけるべきなのだが。
一方、米英豪の安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」に対抗して、中国で、従来の「核兵器先制不使用」の政策を改めるかのような動向も気がかりである。
一見「素晴らしい」共同声明に反して、現実的な核戦争の危機は今、その可能性が一層拡大しつつあるのが実情だ。詳しくは記事本文を御覧いただきたい。