2021年11月13日、読売新聞が報じたインタビューで、自民党の茂木敏充幹事長が「緊急事態条項」創設を優先的に目指す方針を語り、緊急事態条項がやはり改憲の「本丸」であるという、自民党の本音があらわになった。これは、「コロナ禍」を理由に緊急事態条項を導入しようとする「政治的ペテン」である。
しかし、自民党改憲案に対抗すべき野党第一党、立憲民主党の枝野幸男代表は、11月12日、IWJ記者の緊急事態条項に関する質問に回答を拒否するという「異様」な対応を示した。その後の枝野代表辞任表明を受けて、立憲民主党代表選に出馬した4候補のうち、改憲による緊急事態条項導入に明確に反対を表明しているのは、西村智奈美氏のみである。
一方、自民党の内部では、「聖域」である税務調査会メンバーの半数以上が入れ替わるなど、政争勃発の様相を呈している。この権力闘争の結果、二階俊博元幹事長が引退・失脚すれば、対中国の外交パイプが失われる可能性がある。
そうした中で、自民党よるネットでの世論操作疑惑である「Dappi」問題を、大手メディアではじめて毎日新聞が取り上げた。ところが、掲載された企業は、焦点となるネット関連会社名や、その取引先の、歴代の自民党首脳が役員を務める企業を明示しないなど、具体的内容に欠ける薄っぺらな記事だった。
自民党や維新の議員によるコロナ禍を理由にした緊急事態条項導入の言説や、自民党総裁選での「テレビジャック」、自民党総裁選での高市早苗氏の異様な「盛り」など、改憲による緊急事態条項導入への世論誘導はすでに始まっている。大手メディアには、こうした国家権力強化の動きに対し、問題を果敢に指摘して「権力の監視人」という「ウォッチドッグ」の役割を果たそうとする気概がまったく見られない。
こうした疑惑の解明には、世論の力と、買収されない独立メディアが必要だ。ぜひ、IWJの岩上安身による立憲民主党・小西洋之参議院議員インタビューと緊急事態条項特集を御覧いただきたい。