第49回衆院選・立憲民主党の13議席減を受け、枝野幸男代表と福山哲郎幹事長が辞任! 岩上安身から枝野代表へメッセージ「枝野さん、お遍路はするな。原点に立ち戻って、路上で旗を立てマイクを握り、風を起こせ!」 2021.11.7

記事公開日:2021.11.7 テキスト動画
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(文責・岩上安身)

 第49回衆議院選挙で13議席を減らし、辞意を明らかにした立憲民主党代表・枝野幸男氏。2017年、枝野氏による立憲民主党の創設からずっと枝野氏を追ってきた岩上安身が公開メッセージを送ります。どうぞ御覧ください。

▲枝野幸男立憲民主党代表(10月31日、立憲民主党開票センターにてIWJ撮影)


 枝野代表は11月2日、「現有議席を下回るという大変、残念な結果となった」として、辞意を表明しています。

 しかし、この会見も不見識というか、不可解でした。

 枝野代表はなぜ、国会内で突然、会見を開いたのでしょうか。これではせっかく会見を開いても、当然、小さく、しかも冷淡にしか扱われません。

 国会の中には、記者クラブ、国会内の通行証を持っている記者クラブメディアの記者しか入れません。フリーランスや政治記者、我々のようなネットメディアは入れないのです。

▲10月30日、「#立憲大作戦2021 FINAL in 神奈川→東京」で、街頭演説に立つ枝野幸男代表。背後には「政治は変えられる」の横断幕。(IWJ撮影)

 なぜ、枝野代表は、大手記者クラブメディアに散々、冷淡に扱われてきたのに、国会内で重要な辞任会見を開いたのでしょう。国会の外に一歩出て、すぐ近くにある立憲民主党の本部で会見を開けば、多くの記者クラブメディア以外のメディア、記者らが集まれたはずです。

 なぜ、フリーのジャーナリストやネットも含めて、多くの記者クラブ以外のメディアのいる前で、会見をやらなかったのでしょうか。

 IWJのスタッフは何度も立憲民主党本部に電話をかけ続け、会見を開くのはいつどこですか、と問いましたが、答えはなく、結局、国会内で記者クラブ外のジャーナリストは入れない抜き打ち的な辞任会見になりました。

 これが野党第1党の代表のやることか、広く国民に自分の思いと言葉を届けて、代表を自分は辞するとしても、後進のために、国民に自分の言葉を届け、少しでも支持者を増やそうという気持ちがないのか、残念でなりませんでした。

 与党は閣僚がいて毎週2回の定例の大臣会見を行い、問題があるときはさらに臨時の会見を開くなどしています。大臣はほとんどが自民党の政治家です。官房長官は毎日、びっしり会見をしています。官房長官ももちろん自民党の政治家です。テレビなどの露出度もきわだって多くなります。

 今回、比例で3議席を獲得したれいわ新選組は、街頭演説や街頭市民会見を続けました。その模様を自前のYouTubeで流し続けていますし、メディアや一般市民がYouTube等SNSで流すのも、自由にしています。立憲民主党とは露出度が圧倒的に違います。

▲10月30日、「#立憲大作戦2021 FINAL in 神奈川→東京」で、街頭演説に立つ枝野幸男代表。(IWJ撮影)

 それに対して、野党第一党の代表である枝野氏の定例会見は月1回に過ぎませんでした。少なすぎると言わざるを得ません。露出度が格段に少なく、支持者もだんだんに期待しなくなるのは、当然のことではないでしょうか。

 枝野代表は、開票が進む間、各テレビ局の開票番組に出て「自分が1人でやり始めた。それがここまで来た」と、立憲民主党のスタート点を強調していましたが、立憲民主党が野党第一党にまで成長してからは、「路上」でマイクを握るという「原点」をすっかり忘れてしまっていたのではないか、と思われてなりません。

 初期の、街頭へ出て訴える、立憲大作戦を一年中、常にやり続けるべきだったのではないでしょうか。あるいは、代表としての会見を、せめて週1回はやるべきだったのではないでしょうか。代表代行、副代表、幹事長もそれぞれ会見をすべきだったと思います。立憲には華のある論客も大勢います。彼らにどんどん、オープンな記者会見も、市中での演説や質疑応答もやらせるべきだったのではないでしょうか。

▲2017年10月2日、有楽町で街頭演説に立った枝野幸男氏(IWJ撮影)

 2017年の衆議院総選挙で、立憲民主党を枝野代表が立ち上げた時のIWJ取材をぜひ御覧ください。この熱気を忘れてはいけません。

▲ ★岩上安身から枝野氏へ★:2017年の初心に戻って「路上」に立ち、「立憲民主主義」の旗を立て、マイクを握り、全国を歩き、再び風を起こせ!それは、立憲民主党の創設者である枝野さんにしかできない「仕事」だ#枝野立て #枝野やめるな #枝野もう一度立て

▲【切り抜きYoutube!】緊急事態条項は国民投票で否決する!岩上安身による立憲民主党代表・枝野幸男衆議院議員インタビュー

▲【切り抜きYoutube!】野党結集の結果をみんなで出す!「ミナセン(みんなで選挙)」市民選対勝手連シンポジウム

 枝野氏は、菅直人氏のようにお遍路に行ってはいけません。禊は必要ないのです。

 2017年の初心に戻って「路上」に立ち、「立憲民主主義」の旗を立て、マイクを握り、全国を歩き、再び風を起こすべきなのです。そうやって、自身の後進の執行部を奮い立たせていくべきです。それは、立憲民主党の創設者である枝野氏にしかできない「仕事」であり、責任の取り方のはずです。

 枝野さんは、2017年10月9日に、私の単独インタビューを受けた際、緊急事態条項に触れ、もし改憲発議がされたら「国民投票で否決します!」と力強く答えていました。

 あの時のあの言葉を私は忘れてはいません。今こそ、その時が来たのだ、と思います。枝野さん、改憲発議されても国民投票で否決させる、一大国民運動を街頭で巻き起こして下さい!

 そもそもシャドウキャビネット(影の内閣)を組閣しておけば、コロナ禍については影の厚労大臣が、外交問題については、影の外務大臣が会見を開き、与党の大臣とは違う、国民の思いを汲み取ったオルタナティブな代替案や、政府とは異なる視点からの論陣を張れたはずです。

 なぜ、そうしたことを精力的にしなかったのでしょうか。

 インターネットの国会中継や、IWJが中継している野党合同ヒアリングを丹念に見ている人であれば、今回落選した川内博史氏や今井雅人氏らがどれほど国会で弁舌を振るい、総務省の違法接待問題追及などで活躍したか、よくご存じのことでしょう。

 しかし、日中働いている人たちに、何時間にも及ぶ国会論戦を見る暇はありません。

▲2017年、街頭演説に立つ枝野幸男氏。遊説の先々で多くの人々に囲まれた(IWJ撮影)

 かつて、民主党の代表として、首相までつとめた菅直人氏が、なぜかお遍路に行きましたが、そんなことは全く政治家としては無意味なパフォーマンスです。政治家を引退してから、私人としてやればいいことです。

 枝野氏には、禊はいらない。立憲民主党は、議席数こそ減らしたものの、比例での得票数は2017年よりも40万7107票、総得票数の中での比率も0.12%増やしているのです。これはマスメディアの多くが強調して報じてはいませんが、データを見れば誰にでもわかります。

 枝野氏は、表舞台から退くことなく、街頭でマイクを持ち、連日国民に訴え、またあの大きな耳で国民の声を聞くべきです。

 立憲民主党には、国民に対して、開いているのか、閉じているのか、わからないところがありました。しかし、かつての民主党政権は、安倍前総理らに「悪夢のような3年間」などと常に罵倒されていますが、現在の立憲民主党よりもはるかにオープンでアクティブな姿勢がありました。

 大臣会見が記者クラブに独占されていたのを、記者クラブ以外のフリーランスやネットメディア、政治記者にも開放していったのは間違いなく、民主党政権の功績です(最初は岡田克也外務大臣と、金融庁の亀井静香大臣の2人だけでしたが)。

 また、福山哲郎幹事長には、選挙区と国政で態度が違う、政治行動が違う、という難点がありました。共産党と野党共闘を組まなければ、選挙で勝てないのは当たり前なのに、共産党との野党共闘に渋々の態度でした。こうした地元事情を抱えているような人が、幹事長として党内を切り盛りし、選挙を仕切るべきではなかったと思います。

 福山氏には、弁士として卓越した能力もあり、制作力もあります。別のポジションで党を支える大事な仕事をして欲しいと願います。

 「野党共闘をやったから負けたんだ」というネガキャンがさっそく始まっていますが、このネガキャンは、野党共闘をやられると困る側からの情報発信です。政治家も、有権者も騙されないようにしてもらいたいものです。

 自民党幹事長であった甘利明氏の小選挙区落選に驚いた方は多かったと思いますが、実は甘利氏は12万4595票を獲得、2017年の12万7214票から2619票しか減らしていないのです。甘利氏が自身の票を減らしていない以上、甘利氏の小選挙区での落選は「野党共闘効果」であったことは間違いありません。

 実際、13万124票で甘利氏に打ち勝った立憲民主党・太栄志氏は、2017年は6万2779票でした。2017年に3万6627票を取った共産党の岡崎裕氏が身を引いたことで、太氏は10万票を狙えるようになり、さらに3万票を集めたことになります。

 自民党候補に競り負けた選挙区でも同じようなことが起こっていたことは間違いありません。1万票以内の僅差で勝敗が決した選挙区は全部で62ありました。メディアがしきりと煽る「野党共闘は不振」といった洗脳に騙されてはいけません。

 大手メディアの、維新を「野党」に見せかける作戦や、事前報道で立憲民主党有利とアナウンスして、リベラル派を油断させる作戦は、もちろん重大な問題であり情報操作ですが、野党側にもやはり問題はあります。

 野党共闘の目的は、新自由主義を転換して、福祉国家を再建することと、自民党の改憲案、とりわけ、緊急事態条項に反対するという軸があったはずです。その後者の姿勢を、まったく見せることがありませんでした。

 改憲といえば相変わらず9条を持ち出すばかりで、野党がマスコミなどに頼らずに自ら発信して有権者に丁寧に説明し、訴えていかなければいけなかったはず。

 それを怠ったから、いつまでたっても、緊急事態条項の危険性が、有権者に浸透しなかったのです。この点に関しては強く批判すべきです。

 自衛隊を自衛目的だけに限定して使い、集団的自衛権には応じない、専守防衛に止める、という限定付きで、憲法に明記してもいいという国民は少なくないはずです。その点は今後保守側に譲ったとしても、内閣の無期限無制限の独裁を可能にする緊急事態条項は断じて許されません。

 緊急事態条項の憲法への書き込みは、無制限の国家緊急権の発動を可能とします。それは超法規的な万能の独裁条項であって、「9条死守」など、あっという間に吹っ飛ばします。その問題の重要性は、ここに至るまで有権者に訴える時間はあったはずなのに、どんどんぼかされてしまいました。

▲2017年、街頭演説に立つ枝野幸男氏(IWJ撮影)

 共産党の総括でも、国家緊急権の話は後回しです。選挙中もそうでしたが、平和主義を言うときは9条ばかりです。

 オールド左翼には、9条の方が響くのでしょうが、緊急事態条項NOで勝負するべきです。日常の宣伝活動ももっと積極的に展開すべきです。

 そうしないと、維新のような、その本質は新自由主義であるくせに、ワンポイントで教育無償化を憲法に入れるなどという中途半端なポピュリズムの、具体的な福祉政策の方が有権者にアピールしてしまいます。「分配」といいながら具体策がない。ここは野党共闘の痛いところでした。

 立憲民主党は、この後、代表選をできるだけ賑々しく行い、討論会も重ね、国民の前に露出しないと、自民党の総裁選を見たばかりですから、比較され、見すぼらしさが目につくことになります。そうならないように、しっかり政策論争を、国民の前で何度でもするべきです。マスコミは自民党の総裁選の時には、どの局も討論会を各局で行いましたが、立憲に対しては、そんなことは絶対にやりません。マスコミは一切あてにしてはいけません。野党なのですから、マスコミなどに頼らず、在野にあって議論を重ねましょう! インターネット、公開の場の討論、そして街頭でも行うべきでしょう。

 できるだけ多くの候補者をさまざまなメディアに露出し、街頭に立ち、多くの人の目に触れ、名前を顔を覚えてもらうところからやり直すべきです。

 参議院選まで半年。日本維新の会の松井一郎代表は、さっそく、来年の参院(選挙)までに改正案を固め、参院選と同時に国民投票を実施すべきだ」と表明しています。

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