第49回衆議院選挙で改選前の109議席を96議席へと13議席減らした「敗北」をうけて、立憲民主党の執行部が変化することになった。枝野幸男代表が辞意を表明、福山幹事長も辞意を表している。

▲枝野幸男・立憲民主党代表(10月31日、立憲民主党本部の開票センターでIWJ撮影)
他方、対照的に改選前276議席を261議席へと15議席を減らした自民党はまるで「勝利」したかのごとき扱いである。開票速報、そして翌、翌々日の大新聞、テレビ局の報じ方に、疑問を感じる方は少なくなかったのではないだろうか?
第49回衆議院選挙後、またしてもマスメディアによって、総括すると、「自公勝利、維新躍進、立憲民主党大敗、野党共闘失敗」といったマス・イメージが形成されつつあるが、それはこの総選挙の実態を本当にきちんと表しているといえるのだろうか。
衆議院選挙の前月の9月、メディアは自民党総裁選一色だった。9月29日に岸田文雄新総裁が選ばれると、自民党は解散総選挙に打って出た。10月14日解散、19日公示、31日投開票。解散から投開票日までの期間は戦後、最短の17日間しかないという超特急の衆議院選挙だった。
総裁選のメディア攻勢の勢いと、ちょうどコロナ感染者数が劇的に減少した時期に総選挙を詰め込み、野党候補者にアピールの時間を与えず、有権者に考える時間を与えないという、自民党の選挙戦略によって動かされた選挙だった。マスメディアもこれにあからさまに加担した。
メディアはこの間、有権者が選挙で選ぶために必要な情報を伝えたのだろうか。多くのメディアが、選挙戦の間、自民党の議席減、単独過半数微妙、立憲民主党の議席増などと、与党支持者の危機バネに働きかけるような報じ方をしていたことは、誰もが記憶しておられることであろう。実際にはどんな結果が出たか、これも記憶しておられるだろう。
以下の一市民によるたったひとつのツイッターは、この9月の自民党総裁選報道等と、10月のわずか半月の間の総選挙の際の熱量の差を雄弁に物語っている。
※@mas_yamazaki氏のツイッター(2021年10月29日) NHK午後7時ニュースの、自民党の総裁選をあれほど連日大きく報じた一方、衆院選については諸々のニュースの合間に軽く報じるだけという異様な姿勢は、「この国の指導部はずっと自民党でいいのだ、従って自民党の総裁選こそ下々の民が関心を寄せるべき行事なのだ」というメッセージなのかもしれない。
https://twitter.com/mas__yamazaki/status/1454084749773864968
与党だけでなく、NHKを筆頭に、野党の顔ぶれをまともにとりあげてなかったマスメディアは、「共犯」である。
第49回衆議院選挙の実態と選挙報道の乖離を分析する。