2021年11月9日に行われた、日本維新の会と国民民主党が初の幹事長・国会対策委員長会談が行われ、憲法審査会の定例開催で意見を一致させた。両党は、危険な「お試し改憲」や、2022年参院選での改憲国民投票に意欲を示している。
そうした中で、維新の吉村洋文副代表は、「(大阪都構想の住民投票での負けを)受け入れている」と発言したが、これには疑問符が付く。なぜなら、代表選に誰も出馬しなければ、負けの責任を取って引退するはずの松井代表が、党の規約上、自動的に代表を継続する可能性があるからだ。
さらに、政界を引退して「私人」を自称する維新の元代表・橋下徹氏が、テレビで現副代表の吉村氏に「代表選に出るように」と説得する様子は「異様」という他ない。その吉村氏が断って「橋下さんが戻って代表になったらどうか」と返答するに至って、視聴者に「松井代表続投しかない」と思わせる壮大な「茶番」ともとらえられる光景である。公共の放送を、維新関係者同士で「電波ジャック」し、「身内話」を展開することがなぜ許されるのだろうか。
「私人」のはずの橋下氏は、テレビの生出演中に、立憲民主党代表の枝野幸男氏に対して、「維新と立憲で予備選か何かやりませんか?」と、維新のオーナー気取りで呼びかけさえしている。
橋下氏は、テレビに頻繁に出演し、社会的影響力を行使しながら、「私人」の自分に対する批判は許さないと公言している。しかし橋下氏はかつて、「テレビに出演している芸能人は完全な一般人(私人)ではない。批判されるのが嫌ならテレビに出ることを完全にやめるべきだ」という趣旨の発言をしていたのである。これはダブルスタンダードではないか。
維新は、かつて「二度と住民投票行わない」という橋下氏の約束に反して、再度の都構想住民投票を行った。二度目の投票でも負けると、橋下氏が「生まれた子どもにも一票を与えて、親が行使する」というトンデモ発言を行ったり、松井代表が都構想の代替案として「総合区」を提唱するなど、実際には自分たちの負けを認めない「勝つまでジャンケン」を続けてきた。
この維新の「勝つまでジャンケン」手法が、自民党改憲案の緊急事態条項の成立まで続けられる危険性に注意を払い、緊急事態条項に反対する「本物」の野党と市民は、本気で立ち向かう必要がある。