「大阪都構想」住民投票再度否決の翌日に橋下徹氏がテレビ番組で「生まれた子供に一票を与えて親が行使するべき」と負け惜しみのトンデモ発言!弁護士の米山隆一氏が橋下氏に対して徹底批判! 2020.11.3

記事公開日:2020.11.3 テキスト
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(取材・文:杉浦まりあ)

 11月1日に投開票された2度目の「大阪都構想」の住民投票が再度否決された結果を受けて、元大阪府知事の橋下徹氏が、2日に放送されたTBS系「グッとラック!」でとんでもない発言をした。

 住民投票では反対が賛成を再び上回った。この敗北の原因を選挙制度に転嫁して、民主主義の根幹をゆるがす暴論を打ち出したのだ。

▲橋下徹氏(IWJ撮影)

橋下徹氏がテレビ番組で「生まれた子供に一票を与えて親が行使するべき」という暴論を展開!

 橋下氏は、現在の選挙制度について、「投票率も高齢者の方が高いので、今の選挙制度では高齢者の方に目を向けるようになってしまいます」と言って、若者の投票率を上げる必要性があると述べた。その方法として、「産まれてからの子供たちにも一票を与える。その子供たちが選挙権が行使できないので、親が行使する」というとんでもない持論を展開したのだ。

 こんな発言は、政治家としても「失格」である。法律家としてもこんな発言を見過ごすことはできない。

 ツイッターでも、有識者らが続々と異論を唱えた。

 前新潟県知事で医学博士かつ弁護士の米山隆一氏は、以下のようなツイートを投稿した。

「橋下氏『子供に1票与え親が行使する』だそうです。

それは子供のいる人がいない人の2倍3倍の選挙権を持つという事で普通選挙、法の下の平等の否定です。

この人は『大阪都構想』の敗北を糊塗するという極めてつまらない事の為に、民主主義の大原則を破壊して平気な人です」

 また、弁護士の渡辺輝人氏も、子供が7人いる橋下氏の発言を以下のように批判する投稿をした。

 「16歳選挙権とか一部の先進国がやっている取り組みの話ではない。自分に7票をよこせと言っているだけに見えるし、人権というものを分かってない」

弁護士の米山隆一氏はIWJの取材に答えて「法律の専門家としてそんなことをいっていいのか」と批判!!

 IWJでは、ツイッターで橋下氏の発言への反論を展開した米山隆一氏にこの件についてメールで見解をおうかがいした。その内容は以下の通りだ。

▲米山隆一弁護士(IWJ撮影)

 「『産まれた子供たちにも一票を与えて、親が行使するということをしないと、未来に向けた政治が出来ない』の何が問題か

 橋下氏が大阪都構想の住民投票の否決を受けて、出演しているTV番組で、『投票率も高齢者の方が高いので、今の選挙制度では高齢者の方に目を向けるようになってしまいます』とした上で、『僕の持論は、産まれてからの子供たちにも一票を与える。その子供たちが選挙権が行使できないので、親が行使する』と持論を披露。『これを言うと僕は7人子供がいるから、自分の家庭のことを考えて言っているだろと言われてしまうんだけど。僕は産まれた子供たちにも一票を与えて、親が行使するということをしないと、未来に向けた政治が出来ないと思っています。ただ、政治家はやらないですよ。高齢者から票をしっかり集める政治家はやらないでしょうね』と主張しました。

 この主張は極めて問題のあるものですので、その理由を述べます。

 まず、子供が選挙権を持つと考える事それ自体は、単に成人年齢(選挙権を持つ年齢)を下げるだけですので、それだけでは問題になりません。極論するなら、制度上『0歳で選挙権を持つ』とする事も可能です。しかし、実際問題0歳でそれは出来ません。恐らく10歳でも無理でしょう。現実的にはどれほど下げるとしても、15歳程度が限界のように思えます。そうすると、15歳程度を超えて『すべての子供に選挙権を与える』という考え方は、選挙権を持つ人が、実はそれを行使する能力がないという、実態にそぐわない奇妙な制度と言う事になります。

 橋下氏は『だからこそ、選挙権が行使できない子供の選挙権は親が行使するのだ』と言うのかもしれませんが、この時、親が本当に子どもの利害に応じて選挙権を行使するとは限りません。また、『親が』とは言いますが、母親と父親がいたら、どちらが行使するのか、逆に一人もいない場合はどうするのかという問題が生じます。つまり『選挙権を、それを行使する能力がない者に与えた上で、父もしくは母が子供の為にそれを行使する』という方法は、技術的な制度論としても、公平に実施することが極めて困難なものなのです。

 なんとかそれをクリアできたとして、次は、『それは事実上、子供の多い人が子供の少ない(いない)人の2倍、3倍の選挙権を持つ」事になり、普通選挙の否定となると同時に、不正の温床となります。

(…会員ページにつづく)

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