住民投票で反対多数の「都構想」を制度の隙をついて押し通そうとする維新の会! 「広域行政の一元化」と「総合区設置」の条例案を議会に提出する方針! 小原隆治教授はIWJの取材に「憲法第94条ともろにバッティングし、違憲」と回答! 2020.11.27

記事公開日:2020.11.27 テキスト
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(文・杉浦まりあ 編集・近藤ゆり 文責・岩上安身)

 11月1日に、大阪市を廃止して4つの特別区に再編することの賛否を問う「大阪市廃止・特別区設置住民投票」が行われた。反対票が賛成票を上回り、否決された。

▲住民投票の結果を受けて記者会見する維新代表松井一郎大阪市長(2020年11月1日IWJ撮影)

 終結を見たかと思われたこの「大阪都構想」だが、制度の隙をついて、住民投票の結果を無視するような愚行がまかり通ってしまう危険が生じている。

 松井一郎大阪市長が、大阪市を残したまま、行政区の権限を強化する「総合区設置案」の導入を目指す条例案を議会に提出する意向を、11日の記者会見で表明した。

 また、大阪維新の会は、市の広域行政を府に一元化する「広域行政の一元化条例案」も同じく2月議会に提出する方針だ。

 IWJは、岩上安身が10月16日インタビューした地方自治が専門の小原隆治(こはら・たかはる)早稲田大学教授に「総合区設置案」と「広域行政の一元化条例案」について取材した。

 小原教授は、「政令指定都市の権限を所在府県に移すことを条例で定める」ことは「憲法第94条ともろにバッティングし、違憲」となることを指摘した。

 また小原教授は、ツイッターでも「だから二重行政解消に必要なのは話し合いなんだって。半可通に限ってすぐ改憲だ都構想だ条例制定だと、制度改革でなんとかできると妄想する。制度フェチな困ったひとたち」と批判した。

 米大統領選ではトランプ大統領がなかなか敗北を認めていないが、日本でも「大阪都構想」の問題において住民投票の結果を尊重しないという意味で、維新が同様のことを起こしてしまう危険性があるのではないか。これは民主主義の空洞化に他ならない。解体すべきは、大阪市ではなく、維新そのものではないだろうか!?

住民投票なき「都構想」!? 維新の会が「広域行政の一元化条例案」と「総合区設置案」の条例案を来年2月の議会に提出の方針!!

 11月1日に、大阪市を廃止して4つの特別区に再編することの賛否を問う2度目の住民投票「大阪市廃止・特別区設置住民投票」の投開票が行われた。反対票が賛成票を上回り、否決されたことは日刊IWJガイドでお伝えした通りだ。

 住民投票の結果が出たことで、終結を見たかと思われたこの「大阪都構想」だが、驚くべき進展があった。

 松井一郎大阪市長が、大阪市を残したまま、行政区の権限を強化する「総合区設置案」の導入を目指す条例案を、2021年2月の議会に提出する意向を、11日の記者会見で表明したのだ。

 また、大阪維新の会は、市の広域行政を府に一元化する「広域行政の一元化条例案」も同じく2月議会に提出する方針だ。

▲左 松井一郎大阪市長(日本維新の会代表)右 吉村洋文大阪府知事(大阪維新の会新代表)(2019年3月8日、IWJ撮影)

 総合区は、2016年施行の改正地方自治法で政令指定都市に導入することが可能となった仕組みだ。市議会の議決があれば設置ができる。

「大阪都構想」反対多数で「けじめ」をつけて政界を引退すると発言している松井大阪市長が「総合区」議案の提出をツイッターで明らかに!?

 この「総合区」議案の提出については松井市長が7日に自身のツイッターで、「【総合区って何?】私もプロジェクトで杉田議員と共に練り上げた中身。議案はつくれないので吉村市長全面バックアップで成案化したので日の目を見るのはありがたい。住民自治の強化と都市内分権を進めましょう!」という公明党の辻よしたか議員のツイートを引用するかたちで明らかにした。

▲辻よしたか議員(公明党のホームページより)

 「辻さん、本気なんですね。了解しました。公明党が正案化した総合区案で都市内分権進めましょう」

 「やりましょう! 吉村前市長ともお約束していたことですから、少子高齢化、教育行政、子供の貧困など地域の諸問題を解決するには、都市内分権と地域の声を行政にリアルタイムに反映するシステムが必要です。皆さん賛同していただけると思います」

 「了解しました。議案提案いたします」

 また、その前日の6日には、維新代表代行で大阪府知事の吉村洋文氏が府市の広域行政の一元化し、「二重行政の解消」を目指す条例案を提出することを定例記者会見で発表していた。

IWJが小原隆治早稲田大学教授に独自取材! 「政令指定都市の権限を所在府県に移すことを条例で定める」ことは「憲法第94条ともろにバッティングし、違憲」と批判!

 この動きに対し、岩上安身がインタビューした地方自治が専門の小原隆治(こはら・たかはる)早稲田大学教授が、11月7日にツイッターで反論を述べた。

▲岩上安身のインタビューを受ける小原隆治氏(2020年10月16日IWJ撮影)

 「憲法で保障された大阪市の自治権損なう府条例つくったって違憲違法無効だよ。バカも休み休み言え。だから二重行政解消に必要なのは話し合いなんだって。半可通に限ってすぐ改憲だ都構想だ条例制定だと、制度改革でなんとかできると妄想する。制度フェチな困ったひとたち」

 また小原教授は、IWJの取材にも応じた。維新の具体的な提案は見ていないとの断り付きで、「総合区設置案」と「広域行政の一元化条例案」について、以下のように答えた。

 「もともと大阪府中心に二重行政の解消を図るというのが維新の意図でしたので、制度は集権的に設計するしかないわけですが、そしてそれは大都市制度の設計としてはある意味で合理的なのですが、『戦前東京都制のような集権的なしくみを復活させるのか』という批判を受け、維新はある時点から、集権的であると同時に分権的な制度をめざすというまったくわけのわからない迷走をし始めました。

 まず言えるのは、今回もその繰り返しだということです。府市両域にわたる仕事の権限を府に集めると同時に、総合区に権限を分散する。集めると同時に分ける。何をしようとしているのでしょうか。二重行政の解消がねらいだったのではないのでしょうか」

(…会員ページにつづく)

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