組織委の看護師500人動員要請についてIWJだけが質問! 丸川大臣は「私見は述べない」と言いつつ聖火リレーについては自説開陳のダブルスタンダード! さらには東京都に責任転嫁で不満爆発!~4.27 丸川珠代 東京オリンピック・パラリンピック大臣 定例記者会見 2021.4.27

記事公開日:2021.4.28取材地: テキスト動画
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(取材:渡会裕、文:IWJ編集部)

 4月27日午前9時20分頃より、丸川珠代東京オリンピック・パラリンピック大臣による定例記者会見が開催された。IWJ記者は丸川大臣に対し、国民投票法改正案と自民党改憲草案に含まれる緊急事態条項への賛否と、五輪組織委が日本看護協会に大会期間中の医療人員として看護師500人の確保を依頼したことについて質問した。

■全編動画

  • 日時 2021年4月27日(火)9:20~
  • 場所 内閣府 本部庁舎 330(会見室)(東京都千代田区)

コロナ禍と東京五輪聖火リレーのドサクサ紛れで政府与党は国民投票法「改悪」を画策! IWJの追求に丸川大臣は「ダブルスタンダード」の回答!

 質疑応答で、IWJ記者は丸川大臣に、以下の様に質問した。

IWJ「このコロナ禍と五輪の聖火リレー騒ぎの間に、国民の目をかすめて、政府与党は、5月6日に国民投票法改正案の採決を野党に提案しました。丸川大臣は、この国民投票法改正案に賛成か反対か、お答えください。

 国民投票法改正案の7項目のうち『期日前投票』と『繰り延べ投票』に関する2項目は、国民の投票機会を減じる危険性があります。

 また、改憲広告に関するCMの量的規制がありません。誰がCMを出せるのか、という制約もありません。カネさえあれば、改憲CMをいくらでも流せます。世論をカネ次第で誘導できる危険性があります。

 国民投票法改正の先には、ナチスドイツのヒトラーの独裁体制を樹立した『国防授権法』に匹敵する『緊急事態条項』を含む自民党改憲草案が待っています。

 米中が対立を激化させるなかで、国民投票法が入口になって改憲が行われ、緊急事態条項によって内閣独裁体制が確立され、日本が無謀な戦争に突入する危険性があります。

 丸川大臣は、自民党改憲案の中の緊急事態条項にも賛成でしょうか?

 1936年のベルリン五輪によって初めて聖火リレーが行われ、ナチス・ドイツのプロパガンダの舞台となり、3年後の39年にはナチス・ドイツはポーランド侵攻におよび、第2次世界大戦に至りました。ナチスドイツと同じ轍を踏まないと言えるのでしょうか。

 2021年の東京五輪強行開催が、戦争遂行の準備のための隠れみのとして都合よく利用されようとしているのではないか。

 コロナ禍で国民が苦しんでいる最中に、欠陥とリスクを抱えた国民投票法改正案の採決を急ぐ与党政府の姿勢を見ているとそうした懸念が拭えません。

 丸川大臣は五輪の聖火リレーの陰で改憲へとひた走る政府与党の目的についてどうお考えなのか、ご説明ください」

 この質問に対して、丸川大臣は「国民投票法改正については、行政府におります私から考えを述べることは三権分立を侵すことになるので、私から発言することは控えます。行政府の一員としてここに立たせておりますので、私自身の考えというものについてはここで申し述べることはしません」と、回答を避けた。

 しかし丸川大臣は、以下のように続けた。

丸川大臣「それから、聖火リレー、これは様々なお声がある中で、おそらくですが、第二次世界大戦後、これがナチス・ドイツの政治のありようを反映したものだという認識を皆さんがお持ちであれば、復活はしなかったかと思います。戦後長く続いてきておりますので、多くの皆さまが平和の祭典の象徴であるともし火だという受け止めをされているのではないかと思っております」

 丸川大臣は、国民投票法改悪の質問に対しては「三権分立」を楯に「自分自身の考えは述べない」と言っておきながら、聖火リレーについては、自身の考えを饒舌に述べた。ひとつの質疑の中で「自分の考え」を述べたり、述べなかったり都合よく使い分け、『ダブルスタンダード』と呼べる回答となった。

国民投票法「改悪」こそが三権分立の破壊へとつながる!

 国民投票法改悪の話は、自民党改憲案の中にある緊急事態条項を現実に憲法の中に書き入れ内閣の独裁を可能にする話。それは麻生副総理がかつて「ナチスの手口を真似たらどうか」と発言した通り、ナチスが独裁体制を樹立した「手口」と同じ「国家緊急権」の悪用に他ならない。

 聖火リレーは、間違いなく、1936年のベルリン五輪の際に、ナチスが五輪をショーアップし、ナチスのプロパガンダのために創出したもの。五輪開催時、ヒトラーは、自らの好戦性や人種差別主義を控えて、「平和を愛好する者」であるかのように装い、世界を油断させた。しかし、その裏では着々と戦争準備を行い、ベルリン五輪から3年後の1939年に隣国のポーランドへ電撃的に侵攻して、第二次世界大戦の火ぶたを切った。

 聖火リレーを「平和の象徴」のように丸川大臣は語ったが、その陰で、与党政府は一体となって、ナチスの独裁を実現した「国防授権法(全権委任法)」と、同様の効力をもつ緊急事態条項を憲法に書き入れようとしている。その目的は戦時独裁体制を築くことにあり、これこそが「三権分立」を破壊する行為となる。

 ナチスが創造した聖火リレーは「偽りの平和」と、陰で進む独裁と戦争の準備を象徴する。両者は切っても切り離せないものであり、「三権分立」を持ち出して言い逃れられるものではない。

司会者に遮られながら「五輪組織委による、大会期間中の医療人員・看護師500人確保」についてもIWJが追及! これを丸川大臣は東京都へ責任転嫁!

 IWJ記者は2つ目の質問を、以下の様に行った。

IWJ「4月25日の『しんぶん赤旗』によると、東京五輪・パラリンピック組織委員会が日本看護協会に対し、大会期間中の医療人員として看護師500人の確保を依頼したことがわかりました。

 選手村や競技会場で従事する人員だということですが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、ただでさえも看護師不足が懸念されています。医療体制が逼迫している大阪では、政府が雇用した看護師70名が『大阪コロナ重症センター』に派遣されることになっています。

 今回の第4波では、昨年冬以降の『第3波』のピークの2倍の病床が必要になるとも予測されています。一向に感染を抑制できない中で、五輪のために看護師を500人確保することが、日本の医療体制に与える負の影響を五輪大臣というお立場でどのようにお考えでしょうか?」

 質問の途中、司会者に遮られながらも、IWJ記者はなんとか最後まで質問し終えた。

 丸川大臣は、上記のIWJ記者の質問に対して以下のように回答した。

丸川大臣「確認したところ1ヶ月程前に要請されたということを組織委員会からうかがっております。一番ピークの日で400人が必要ということだったので、そこから考えて、かなり削りこんできてて、本当に必要な数を精査してご相談されているのかなという気がしていますけれど、いずれにしても地域医療に多大な負荷をかけないというのが大会開催の前提だと私は思いますので、組織委員会には看護協会のご意見もよくうかがってもらい、どのように医療体制を確保するのか、取り組みを進めいきたいと思っています」

 またテレビ朝日の記者から「五輪開催時の東京都への政府からの医療支援はどのように行うのか」と問われると、丸川大臣は、以下の通り堰を切ったように東京都への責任転嫁ともいえる都政批判を繰り出した。

丸川大臣「まず今後、(支援が)必要になるかどうかを東京都に明らかにしていただきたいというのが私の正直なところ。私が知る限り、東京都がこの厳しいコロナの状況で(大会を)開催するために、どのように取り組んでいくのか、具体的なことを私たちにお示しいただいていないですし、残念ですが感染症の専門家にご相談されているのかどうかも明確ではありません。

 医療の現場を預かるのは東京都ですから、おそらく現場の状況は一番よく分かっておられる。この状況を打開するために何ができるか、どういう資源をお持ちか。東京都がまず、一方では大会の主催者である責任、もう一方では医療の現場を預かっている責任、この両方の責任をどのように果たすのか、明確な発信なり、方向性なりを示していただかないと、私たちもそれをどのようにご支援していいのかについて、非常に戸惑っている状況です。

 それを私も懸念しているので、内々に事務方を通じて投げかけをさせていただいているが、いまだ明確に『私たちとしてはこのように感染状況を抑えたいのでこうしたい』というお声が何も届いていません。そろそろそこは開催の当事者としてどのようにするのかをお示しいただきたい」

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