2021年3月23日午前9時半過ぎより内閣府にて、丸川珠代東京オリンピック・パラリンピック大臣の定例記者会見が行われ、IWJでは記者が質問するとともに、中継を行った。
IWJ記者「海外客は受け入れ断念されて、国内客は最大2万人の上限案が検討中と報じられています。2月に開催されたボクシングイベントでは、選手や関係者だけではなく、観客も全員、入場時にPCR検査を受けて、その場で陰性か陽性かをスピーディーに判断して、陰性判定が出た者のみ入場を認めました。五輪の開催時には、ここまでのレベルまで、徹底できるでしょうか?
前回の会見で大臣は、安全確保のための対策についての私どもIWJ記者の質問に対して、『水際対策、さまざまな方策、検査拡大、バブルの確保』と回答されましたが、会場に入場する観客全員にPCR検査による陰性証明書の提示を入場の条件とされるか否かの1点に絞って、お答え願えますでしょうか?」
丸川大臣「その1点ということでございましたら、まだ検討の途上にございます」
IWJ記者「いつごろ結論が出そうでしょうか?」
丸川大臣「大会直前まで、状況は変化しうると思いますので、その変化に応じて決定をしていきたいと思います」
IWJ記者「ということは、(陰性証明書の)提示を求めないという結論になるという可能性もあるということですね?」
丸川大臣「今の時点では何とも申し上げられません」
IWJ記者「なるほど、両方の可能性が、全ての可能性が残されているという結論ですね、今の時点では?」
丸川大臣「さようでございます」
結局、丸川大臣は、観客全員に「陰性証明書の提示を求めない」可能性もあることを、実質的に認めたわけである。
仮にワクチン接種が進んでも、検査を経なければ陽性か陰性かは判断できない。陽性の可能性がある数万人の観客が、無差別に一つの会場に集まることを許せば、巨大なクラスターが発生する可能性はきわめて高い。そうした状況が同時多発的に、2週間以上にわたって生み出されるのである。
丸川大臣は、「大規模な感染再拡大を起こす可能性をあえて残している」と認めたと言わざるを得ないのではないか。しかも大会直前まで、その可能性を温存するという。本当に五輪を安全に開催しようとしているのだろうか。
他社からの質疑では、共同通信の記者が、「海外観客の断念に伴うチケット減収は一義的には都が赤字補填するが、国は負担をどう考えるか」と聞くと、大臣は、「契約当事者の東京都、組織委、その他関係者間の議論で全体の収支を明らかにし、都がどうするかが重要」と、国は部外者と言わんばかりの回答だった。
そのほか、聖火リレーの感染対策や福島を走るランナーについて、海外客断念が世論に与える影響、ラインの関係省庁での利用状況調査などに関する質問があった。
なお丸川大臣は冒頭発言で、コロナで不安を抱える女性への、NPOなどによる訪問支援などを想定した、「地域女性活躍推進交付金の拡充」について発表した。