選択的夫婦別姓制度に反対しながら自らは旧姓を通称使用する丸川大臣! IWJ記者の質問に「同氏と通称使用が混同されている」と噛み合わない答弁!~3.5丸川珠代 東京オリンピック・パラリンピック大臣 定例記者会見 2021.3.5

記事公開日:2021.3.5取材地: テキスト動画
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(取材、文・浜本信貴)

 2021年3月5日(金)、午前9時10分頃より、東京都千代田区永田町の内閣府本部庁舎にて、丸川珠代 東京オリンピック・パラリンピック大臣 定例記者会見が開催された。

 冒頭、丸川大臣からの報告事項はなく、そのまま、大臣と各社記者との質疑応答の時間となった。

 IWJ記者からは、選択的夫婦別姓制度について、以下のとおり質問をした。

IWJ記者「夫婦が同姓を使用することを強制する『家父長制』は、明治以降に作られた伝統であり、近代以前のもともとの日本の伝統ではありません。徳川時代およびそれ以前には、妻が氏を持つ場合には妻はもっぱら生家の氏を名乗り、夫の氏にはならず、夫婦別氏だったとする説がもっとも有力であるとのことです。いわば、選択的な夫婦別姓こそが日本の伝統です。

 丸川大臣はこうした歴史をご存知の上で、夫婦同姓が日本の伝統であると信じその選択的夫婦別姓に反対なさっているのでしょうか?

 2月26日の定例記者会見において、丸川大臣は、自らの『信念』について、『私が民主主義国家の一員だということです。日本国憲法のもとで、立法をしながら、国民の声を聞くにあたっては、様々な声を聞くということが、私たちに課せられた使命だ』とお答えになられました。

 『国民の様々な声を聞く』という信念に従うのであれば、選択的夫婦別姓制度に反対する前に、選択的夫婦別姓を求める人々の事情にも耳を傾けるべきです。

 また、丸川大臣は、現在、戸籍上の『大塚』姓を使わず、旧姓を通称使用していると仄聞しております。反対する根拠を含めて、ご自身の『信念』の中身について、もう一度、ご教示ください」

 これに対し、丸川大臣は、以下のとおり答弁をした。

丸川大臣「まず、『氏(うじ)』の使用についての歴史というのは、これはもう、特に、制度化される前の話は、歴史家の皆さんにお任せしたいと思う。

 そして、『氏』と『戸籍』が一体となって、ひとつの夫婦と子という単位をつくるという制度が、明治当初に、確か一度、別氏(べつうじ)の形で設定され、やってみたのだけれども、結果的にそれが、社会に受け入れられなくて、同氏(どううじ)にした歴史があったのではないかと思う。

 まあ、そうしたこともありますけれども、とは言え、100年以上、この形で来ております。そうしたものを踏まえて、多様な変化をしてきたこの社会のあり様を、どう制度に反映させていくかという議論が、今まさに、進んでいるのだと思う。

 昨年末、この『第5次男女共同参画基本計画』を定めるときには、選択的夫婦別姓に賛成の方も、反対の方も、本当に真剣に議論をして、激論を交わした末に、検討を進めていくということになった。

 それを踏まえて、私たちは政府の立場で、色んな立場の人がいる、多様な考えがある。私はここで、就任の会見のときも申し上げたが、それぞれの人生の数だけ、氏に対する思いがあると思うので、そうしたことを、ひとつひとつ、耳を傾けながら、議論をとにかく、まず、しないと。

 今、私は同氏です。主人と同氏です、ということを、国会でも申し述べたが、この『氏』と『通称使用』が、どうも混同されているような印象をずっと今回、色々な話を聞かせていただく中で、感じている。

 同氏で通称使用の場合は、法律の改正が多分、必要ないのではないかと、私は理解しているので、こうしたことの理解を深める、ということも、ひとつ、家族の根幹に関わる法律の制度だと思うので、よく議論を皆さんと一緒にして、そしてその中で、今の時代に合った答えを、導き出していく、道を開いていくことが重要ではないかと思う」

 選択的夫婦別姓制度に反対の人々は、対案として、丸川大臣も言及した「通称使用の拡大」を主張している。しかし、専門家によると、「苗字を複数持つことは、個人個人を特定・識別する機能を侵害するため、近代的な国々では認められていない」との説もある。

 いみじくも、丸川大臣自身が言ったように、「よく議論をして、今の時代に合った答えを導き出す」ことが重要だろう。議論の行方を注視していきたい。

 丸川大臣定例記者会見の一部始終は、全編動画にてご確認ください。

■全編動画

  • 日時 2021年3月5日(金)9:10~
  • 場所 内閣府 本部庁舎 3F 330(会見室)(東京都千代田区)

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