丸川珠代 東京オリンピック・パラリンピック 男女共同参画担当大臣は3月12日9時10分より、東京都千代田区永田町の内閣府本部庁舎で閣議後記者会見を行なった。
冒頭、丸川大臣より二件の報告がなされた。ひとつは3⽉15⽇から26日まで開催される「第64回国連女性の地位委員会 CSW65」(The sixty-fifth session of the Commission on the Status of Women)に、昨年12月に閣議決定された第5次男女共同参画計画の内容や、新型コロナウイルス感染症に関するジェンダーの視点からの取組みを述べたビデオメッセージを送ったことであり、もう一件は「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(Information system Security Management and Assessment Program)」略称ISMAP(イスマップ)が安全性を評価するクラウドサービスのリストを公開する旨の告知であった。
その後記者との質疑応答がなされた。
IOCのトーマス・バッハ会長が3月10日の会見で東京オリンピック・パラリンピックの観客数規制に関し、「決断は5月か6月、できるだけ遅くして、状況の変化に対応しうる余地を残す」と発言したことについて、質問を受けた丸川五輪大臣は、「どういう趣旨でおっしゃったのか、うかがってみないとわからない。いつ決めるかについても調整が必要になるかもしれない」と述べた。
IOC、IPC(国際パラリンピック委員会)、大会組織委員会、政府、東京都が参加した3日の5者協議では4月中の判断で合意していたかに見えたが、バッハ会長は先送りの可能性も示唆している現状だ。
- IOCバッハ会長 最終的な観客数「5月、6月の状況考慮して決めるべき」(TBS NEWS、2021年3月11日)
また、11日のIOC総会(オンライン形式での開催)でバッハ会長が報告した、大会参加者向けに中国五輪委員会が新型コロナウイルスワクチン提供を申し出たこと、IOCにそれを購入する案があることについて丸川五輪大臣は、「事前にうかがっておらず、調整もなかった。東京オリンピック・パラリンピック開催、参加についてワクチン接種を前提としない、という原則は変えない」と語った。
- IOC総会 バッハ会長 選手や関係者に中国製ワクチン提供の考え(NHK、2021年3月12日)
さらに、前日行われた東日本大震災10周年追悼式典において、菅義偉総理が東京オリンピック・パラリンピックについて一切言及しなかったことをどう考えるかと問われた丸川五輪相は、「私は総理の式辞の文言について何かを申し上げる立場にはない」と述べ、「私が大臣に就任することになって官邸にうかがった時、総理が最初におっしゃったのは『全員が復興大臣である』とのことでした。総理の心の中には大変強く復興への思いがあり、今大会はそれを世界にアピールする復興五輪である」とも語った。
IWJ記者は、「東京オリンピック・パラリンピックで海外からの一般観客の受け入れをしないことが検討されていると聞きます。これは本当でしょうか? また、外国人客が来るにしても来ないにしても、国内の観客はどうなるのか、無観客なのか?無観客でない場合、PCR検査を直前に行う、陰性証明書を伴う入場などが考えられますが、そのような案はあるのでしょうか? そうした決定と発表はいつされるのでしょうか?「陽性者」は会場に入れないということを明確に打ち出した五輪こそ、安心、安全を実現できるのではないでしょうか?」
「IOCバッハ会長はIOC総会で、『東京オリンピック・パラリンピックの今夏開催を疑わない』と述べました。3月27日まで首都圏で緊急事態宣言がでており、五輪開催への反対が過半数を占めるという世論調査もある状況で、なぜバッハ会長は開催の決定するかのような発言を行なうのでしょうか? 彼には決定権とそれに伴う責任を負う資格があるのですか? バッハ会長は、日本の感染拡大状況やそのことによる日本国民の疲弊した状況を本当にご存じなのでしょうか?」
「万が一、夏に変異株の感染拡大がピークとなり、五輪開催に重なり、そんな時期に人が『密』になって熱狂し、国内を激しく移動するイベントを行い、その熱狂の2週間のあと、日本が感染第4波のため苦しみ、再び緊急事態宣言下となる、そうなれば甚大な被害が生じるかもしれませんが、甚大な損害が出る可能性や出た場合のことを、大臣はどうお考えですか?」などの問いを用意し、質疑応答の際、質問の機会を求めて挙手し続けたがついに指名されることはなかった。
詳しくは会見全編動画を御覧いただきたい。