平昌オリンピック・パラリンピックを機に朝鮮半島は融和モード!米国すらも、前提条件なしで北朝鮮との対話の可能性示す! ヘイトの氾濫する日本はこのままで良いのか!? いまこそ問われる主権国家の矜持! 2018.2.19

記事公開日:2018.2.20 テキスト
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(文:IWJ編集部)

 世界のトップアスリートたちが一同に会し、磨き上げた技を競い合う、四年に一度のスポーツの祭典・オリンピック・パラリンピック。2018年2月9日、韓国・平昌(ピョンチャン)で冬季オリンピックが開幕し、連日熱戦が繰り広げられている。

 フィギュアスケート男子で羽生結弦選手が冬季五輪日本初の2連覇という快挙、スピードスケート女子500メートルで小平奈緒選手が史上初の金メダルを獲得するなど、日本代表選手たちの活躍も、続々と海を越えてもたらされている。表彰台の上で、輝くメダルを手に、笑顔で他国選手と互いの技能をたたえ合う姿に、なぜか自分までもが誇らしく、明るい気持ちになれる。試合後、金メダルを獲得した小平選手と、銀メダルを獲得したライバルの李相花(イ・サンファ)選手が抱き合う姿は感動的だった。

 けれども、そうした「誇り」は、日本人選手が獲得したメダルの数に比例するものではなく、ましてや「どこどこの国に日本は優っている」などのロジックにすり替えられてはならない。

 栄誉はあくまで、個々の選手がその華麗な演技や超絶技巧の背後に負う、たゆまぬ努力と克己の日々にこそ捧げられるべきものだ。そうした意味で、純粋にスポーツを楽しむとは、自分とは異なる分野で活躍する選手ひとりひとりの姿を、敬意をもってみつめることにほかならない。特にオリンピックは、選手たちのフェアプレイに託して世界平和のメッセージを発することをうたう一大イベントである。国の違いを超えて、すべての出場選手に、心からの敬意を表したい。

▲平昌オリンピック公式HPより

記事目次

オリンピック・パラリンピックを機に融和モードの朝鮮半島! ペンス米副大統領も「(北朝鮮が)対話を望むのであれば、われわれは応じる」!

 今回の平昌オリンピックは、開会式の演出を担当した宋承桓(ソン・スンファン)監督が述べているように、メインテーマとして「平和」を掲げ、前面に押し出しており、大きな注目を集めている。事実、いまだに分断されたままの、しかも軍事衝突の危険性がまことしやかに取り沙汰されている韓国と北朝鮮が、朝鮮半島を描いた「統一旗」をはためかせながら「チーム・コリア」として同時に入場する場面は、平和への切実な願いを実に明確に表現するものだった。2年後に夏季オリンピック・パラリンピックの開催を控えた日本の安倍政権が、人気漫画やアニメのキャラクターを総動員しながら、自国文化のアピールばかりに腐心しているのとは何たる違いか、と思わず嘆息する。

 しかも、両国がこうした演出を単なる「パフォーマンス」に留めまいとしていることは、開会式前後の両国の動きからもよく見てとれる。文在寅(ムン・ジェイン)・韓国大統領は、平昌オリンピック開幕前の2018年1月4日、トランプ米大統領と電話会談をおこない、開催期間中は米韓合同軍事演習をおこなわないことを米国に認めさせた。

 開会式では、文大統領は、北朝鮮の高官代表団として開会式に出席した金正恩・朝鮮労働党委員長の妹、金与正(キム・ヨジョン)氏に自ら進んで握手を求めている。与正氏が満面の笑顔でこれに応える様子は、報道写真などですでに目にした読者も多いことだろう。

▲北朝鮮の金与正氏(右端)と握手する韓国の文大統領(左)、間に五輪代表団長で国家序列2位の金永南最高人民会議常任委員長(wikimediaより)

 さらに文大統領は、北朝鮮の金永南(ヨンナム)人民会議常任委員会委員長にもあいさつ。そこで、南北首脳会談を実現するため、「できるだけ早く北朝鮮を訪問するように」との金正恩委員長からの手書きの親書を受け取った。金一族が正式に韓国を訪問したのはこれが初めてだといい、こうして2007年10月以来途絶えたままの南北対話再開の糸口が開かれたのである。南北和解へ向かう歴史的出来事と言っても過言ではない。

 しかも、驚くべきことに、これまで北朝鮮に対して強硬な姿勢を示し続け、朝鮮半島の緊張を率先して作り上げてきた当の米国が、にわかに歩み寄りの姿勢を示したことだ。

 2018年2月11日付の『ワシントン・ポスト』によれば、平昌オリンピックの開会式に出席し、帰国の途に着いたペンス米副大統領が、専用機内で同紙のインタビューに応じ、北朝鮮が非核化へ向けた行動に踏み出さないかぎり米国による「最大限の圧力」は低下させないとしつつも、「対話を望むのであれば、われわれは応じる」と述べ、韓国と北朝鮮との対話次第では、前提条件なしに米朝対話がおこなわれる可能性があることを示唆したという。

▲マイク・ペンス副大統領(wikimediaより)

 たしかに、北朝鮮からの非核化の意志表示を前提とした対話ではなく、対話そのものから入って北朝鮮の非核化を推し進めるべきだと繰り返し主張してきたティラーソン国務長官のように、あくまで平和的解決を求める動きはアメリカにもあった。ティラーソンはトランプ政権の中にあって孤立気味の存在であり、トランプ大統領からあからさまに距離を置かれてもいる。だが、このたびの発言の主は、トランプ政権の中枢にある人物。発言の重みも影響力も、ティラーソン氏とは格段に違う。武力行使も辞さないとまで表明してきたトランプ政権が、ここへきて初めて、外交的な選択肢もありうることを公にしたことになる。

南北融和の動きについてNHKが「米韓同盟の分断工作」と断定!予算委員会を中継せず一日中オリンピックを中継! そして、三浦・松本両氏による「たのしい戦争プロパガンダ」! 日本は平和を願う世界の流れに取り残されるのか!?

 平昌オリンピックを機に、関係諸国が和平への歩みを模索し始めたのであれば、そこに出場している日本人選手たちの活躍も、そのまま平和を望む私たちひとりひとりの誇りとなる。

 ところが、日本国内はいま、憂うべきことに、そうした世界の流れに逆行するような言動で満ちあふれているのが現実である。

 産経新聞などが、嫌韓ネトウヨの面々とともに、やれトイレが汚いだの、ロゴが何かのパクリだの、犯罪に巻き込まれるおそれがあるだのと、あたかも平昌オリンピックの失敗を望むかのごとき、悪意と偏見に満ちた言説を、開催前からさかんに垂れ流すことに、眉をひそめてきた読者も少なからずおられよう。

 なお産経新聞は、沖縄タイムスと琉球新報に対して、「メディア、報道機関を名乗る資格はない。日本人として恥だ」と糾弾する記事を連続掲載し、その自らの記事が「デマ」にもとづく記事であったことが両紙の実証的な記事によって発覚、約2か月後に全面謝罪に追い込まれている。にもかかわらず、何の反省もなく、産経の「ヘイト」ペーパー体質は変わらないようである。

 NHKの報道姿勢も問題だ。

 開会式の直後には、 金正恩氏の妹を通じて北朝鮮から韓国に南北首脳会談再開の提案がなされたことについて、今度はNHKが、根拠もなく「北朝鮮の狙いが、米韓同盟の分断にあるのは間違いない」と断定的に報道した。

 国会では現在、予算委員会が開かれているが、NHKはオリンピックの中継ばかりで、ほとんど国会中継をしていない。

▲2018年2月19日の地上波のテレビ番組表(東京新聞)。

 上記の新聞紙面は黄色でマークした部分が平昌オリンピック中継、左端がNHK総合、右端上段がNHKBS1。ニュース番組とドラマ以外は1日中ほぼオリンピック中継のみ。さらに、ニュース番組でもオリンピックの話題をメインに扱っている。

 なお、この日は午前午後ともに衆議院予算委員会が開かれ、主に厚労省が提示した裁量労働制に関するデータをめぐって紛糾していた。が、そうした重大なテーマが国会で議論されている事実自体、NHKだけを見ているとわからなくなってしまう。

 安倍総理が「裁量制の労働時間のほうが、一般労働者よりも短いというデータもある」という答弁を撤回した2018年2月14日午前の衆議院予算委員会は中継していたが、その日の夜に放送した『ニュースウオッチ9』では、国会のニュースはゼロ。戦史研究家の山崎雅弘氏によると、「番組開始から小平・高木両選手の話題だけで20分。60分の番組中、実に48分21秒(八割以上)がオリンピックの話題。首相の答弁撤回があった国会のニュースはゼロだが、『ファミレス業績好調』という特に緊急性のない話題には2分も費やしていた」という。

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「平昌オリンピック・パラリンピックを機に朝鮮半島は融和モード!米国すらも、前提条件なしで北朝鮮との対話の可能性示す! ヘイトの氾濫する日本はこのままで良いのか!? いまこそ問われる主権国家の矜持!」への1件のフィードバック

  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    平昌オリンピック・パラリンピックを機に朝鮮半島は融和モード!米国すらも、前提条件なしで北朝鮮との対話の可能性示す! ヘイトの氾濫する日本はこのままで良いのか!? いまこそ問われる主権国家の矜持! https://iwj.co.jp/wj/open/archives/412662 … @iwakamiyasumi
    この問いにどう答えるか。日本の民度が試されている。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/965714039606165504

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