2021年2月22日、東京都千代田区の東京電力臨時会見場で、東京電力による定例の記者会見が行われた。
東京電力はこの日の午後、原子力規制委員会に設置された、特定原子力施設監視・評価検討会で2月13日に発生した福島県沖地震による東京電力福島第一原子力発電所施設への影響について説明を求められており、小野明・福島第一廃炉推進カンパニー・プレジデントらが出席していた。
特定原子力施設とは、深刻な事故を起こした東京電力福島第一原子力発電所のことで、原子炉等規制法で国(原子力規制委員会)が指定した。特定原子力施設監視・評価検討会は毎月1回開かれている。
東電は監視・検討委員会の席上、原子力規制庁から地震発生当日の発電所内での地震データについて問われた際、昨年3月に3号機の1階と5階のオペレーションフロアに設置した2台の地震計が、それぞれ7月、10月には故障していてデータが採れていなかったことを明らかにした。
原子力規制委員の伴信彦委員は、故障したことを「気づかなかったのか」と迫り、東電の対応に対して「知ってはいたが、修理はしなかったという事ですね」と憤りをあらわにした。
東電定例会見では、記者から3号機に設置した地震計の故障について公表しなかった理由を問われ、東京電力の小林照明・広報担当が「試験的に設置したもので、公式ではない」と強弁した。
福島第一原発では1号機から6号機までの原子炉建屋の地下に地震計が設置されていたが、東日本大震災の津波で浸水した1号機から4号機の機器は停止中だ。また、東日本大震災の津波襲来前のデータは、1号機から6号機で、それぞれ異なった値を示していたことが知られている。
広大な敷地の中で6号機に設置された地震計で、福島第一原発を代表させるのには無理がある。規制委の有識者からも早く設置を、と要望が繰り返されていたにもかかわらず、設置を怠っていた事実は、3.11事故を顧みない東電の体質を象徴しているといえる。