「安全性に不安があるワクチンを接種していいのか? 自民党員にはできるのに、なぜ国民全員にPCR検査を行わないのか?」IWJ記者の質問に西村大臣からは具体的回答なし!~2.12西村康稔 新型コロナ対策担当大臣記者会見 2021.2.12

記事公開日:2021.2.17取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(取材、文・浜本信貴)

 2021年2月12日(金)、午後9時30分頃より、東京都千代田区永田町の中央合同庁舎にて、西村康稔 新型コロナ対策担当大臣の記者会見が行われた。

 冒頭、西村大臣は、記者会見に先立って開催された「諮問委員会」と「新型コロナウイルス感染症対策本部(第55回)」の要点について説明したのち、感染の現状、2月11日時点の都道府県別の医療提供体制、新規感染者数の推移、東京都における検査の陽性率、首都圏と関西圏の駅の利用状況、そして、人出の推移などについて報告をおこなった。

 報告終了後、西村大臣は、「申し上げたいのは、ここまで、国民の皆さんのご協力、事業者の皆さんも、夜8時の時短をしていただいて、ここまで下がってきているが、やっぱり感染者の数が減ったことで油断が出ているのだろう思う。今一度、もう一段、ここで緩んでしまうと、本当に緊急事態宣言が長引いてしまう。

 なんとしても、ここで感染を抑える、病床を確保する。今なお、厳しい状態の続いている医療体制への負荷をなんとしても下げる。そのことが、円滑なワクチン接種にもつながる」と述べ、「いま一度、休日も含めた、不要不急の外出の自粛、そして、テレワークを今まで以上にやっていただき、去年の春並み、出勤者の7割減をぜひお願いしたい」と語気を強めた。

 続く質疑応答で、IWJ記者は次の2つの質問を行った。

 「まず、ワクチンについて質問です。河野太郎ワクチン担当大臣の2月10日のブログによると、2月中旬から、医療従事者を対象に、ファイザー社のワクチン接種が開始され、4月頃から高齢者への接種が始まる予定です。

 しかし、ノルウェーではファイザー社のワクチンを接種した高齢者23名が死亡したと報じられており、ワクチンが『致命的な影響を与えた可能性がある』と言われています。また、アストラゼネカ社のワクチンの南アフリカ変異株への有効性について、南アフリカ政府は公式に効き目がないと判断し接種を見送っています。

 西村大臣は、こうした不安要素を抱えたままで 本当に接種を開始してよいとお考えでしょうか?」

 「次に、検査について伺います。昨日2月11日、東京でボクシングチャリティーイベント『レジェンド』が開催され、入場者に対しその場でPCR検査を行い、陰性の結果が出た人のみ入場できるという、新しい試みが行われました。

 一企業がこのように感染予防対策を徹底してイベントを行う努力をしているのですから、五輪を開催するかどうかにかかわらず、日本政府がPCR検査抑制の方針を解いて、国民全員に検査を行なう方向に舵を切るべきではないでしょうか?

 菅政権は、国民に対して『全員検査』を行わないのに、どうして、自民党員には『全員検査』を行ったのか、ご教示ください」

 この2つの質問に対して、西村大臣は以下のように回答した。

 「まず、一点目のワクチンについて、ファイザー社のワクチンについては、本日午後6時からの『薬事食品衛生審議会・医薬品第2部会』において、製造・販売承認について、審議され、了承されたと聞いている。おそらく、田村大臣が会見されたと思うが、この了承後、すみやかに承認されると聞いている。

 日本人に対する一定の治験を行って、その結果を踏まえての判断だと思う。もちろん、海外のデータなどもしっかりと踏まえながら、ファイザー社のワクチン、アストラゼネカ社のワクチン、それからモデルナ社のワクチン、アストラゼネカ社のワクチンはすでに申請がなされている。モデルナ社のものはまだだが、1月から国内の治験に着手している。

 それぞれの治験の結果により、安全性・有効性がしっかりと審査されるが、それぞれの特性もあると思うので、それに応じて、どういった方に接種していくのか、そういったことも踏まえ、田村大臣の下で判断が下され、そして、接種にあたっては河野大臣の下で、自治体と連携しながら、体制を整えていくことになる。私の立場からも、しっかりとサポートしていきたいと考えている」と述べた。

 続いて、「二点目の検査につきましては、先程申し上げたとおり、ひとつには高齢者施設、これはあちこちでクラスターが発生しており、高齢者が入居されているので、重症化するリスクが高い。

 入所されている方は屋内にいるわけで、リスクは非常に少ない。狭い範囲だし、外に出て活発に活動するわけではない。従事者の方々が、何かの拍子で持ち込んでしまう。この方々には全員検査をする。これは行政検査です。何らかの負担が施設側にかかるわけではない。そういった形で進めていく。

 あわせて、元々、自治体により、繁華街などで感染拡大が見られたときに、去年の夏にやったような新宿の『呼びかけ』であったり、大阪や名古屋でもおこなった、症状がなくとも、あらゆる呼びかけをおこなって、沖縄でもすすきのでもやった。そうした取り組みをそれぞれの自治体が進めているケースもあるし、今回、補正予算と予備費を活用し、90億円で、先程申し上げた一日一万件以上、繁華街を中心に、感染が拡大しないように、再拡大の兆しを掴む、探知をするために、その検査を進めたいと考えている。

 探知できた場合には、クラスター対策、あるいは、蔓延防止等特別措置などを活用しながら、その範囲で封じ込めていく。ゼロ・コロナと言われるが、ゼロにはなかなかできないウイルスであり、したがって、小さな波は今後も起こりうる。数日前にも石川県で繁華街中心に、これはホストクラブだが、30人のクラスターが発生した。

 一昨日には、青森の医療機関で、40人のクラスターが発生した。ほとんどが、ずーっと少なかったのが突然出る、という性質のもの。なのでゼロにはできないが、その波が探知されたときに、地方の場合は、濃厚接触者・関係者をバーっと(検査を)やれば、封じ込めはできると思う。

 繰り返し述べているが、私の地元の淡路島でも、70人を超える高齢者施設で、ずーっとゼロだったのが、突然出たが、関係者のPCR検査をやって、一週間から10日で大体封じ込めができるようになっている。クラスター対策も重要だし、ご指摘のように、検査も極めて重要。その上で、ゼロにできない小さな波を探知するということでやっていきたい。

 その上で、民間の検査機関も、精度の問題と、陽性になった場合の報告の問題など、課題はあるが、多くの事業者が今検査を行っているので、それも活用しながら、たとえば、イベント会場でやるのもひとつ、あり得るケースだと思う。できるだけ探知する。

 実は、そういったデータも利用させてもらい、人工知能で分析する際に、さまざまなデータを分析して、どこかに感染拡大の芽がないか、掴んでいきたいと思っている。協力もしていきたい。ただ、日本国民全員をいちどきにできるかというと、なかなか、今、物理的には難しいし、今日陰性でも、感染していないとは限らない。

 つまり、昨日・一昨日の感染であれば、まだ今日はウイルス量が少なくて、陽性にはならないケースもある。陰性だと安心して、マスクを外して色々な人と会話をしてしまうこともあり得るし、今日陰性でも、明日・明後日はわからない。かなり頻繁に検査をやらなければならない。

 今、プロ野球機構、Jリーグ機構にもお願いして、沖縄でキャンプをしているが、一週間に一度はPCR検査をおこなっている。そうした範囲で、自分たち負担で民間検査で行われているが、事業継続のために必要なことということで、ある意味、コストと見てやられている。これで、今のところまったく陽性者は出ていないと、昨日、プロ野球機構からも報告を受けている。

 そういうことで、民間の検査を活用していくこともひとつの手法である。引き続き、検査のあり方については、分科会にも検討をお願いしている。今回、ひとつのステップとして、モニタリング検査で、繁華街などで、予兆を掴むための検査を始めるが、これもひとつの試みとして、一歩踏み出して、取り組むわけだが、実は、感染が少なくなってしまうと、1000件やっても一人とか二人しか出ない可能性もある。陽性率がぐっと下がってしまう。

 実は、広島も80万件やろうとしていたが、もう日々の感染者数がものすごく減ってしまい、やっても何人かしか出ない。そこに10億円もかけるのかと、まあ議会との関係、予算の使い方の関係もあり、湯崎知事も発表したと思うが、ある意味、我々がやっていることと近い。モニタリング的に監視をする検査に変えた。

 広島のそうした試みを注視していたが、感染が収まってくると、もちろんそこで無症状の感染を捕まえるのは大事なことだが、検査を頻繁にやる割には捕まえる人の数が減ってしまうので、そういう意味では、やはりリスクの高いところを重点的にやっていくのは、ひとつの考え方である。

 ただ、数を増やすことでコストも下がるので、国会でも議論があったが、自宅で30分くらいで検査ができる、それが数百円で可能となれば、頻繁にできるようになる。精度の問題もあるし、精度の問題、陽性発覚時の報告の問題はあるが、さまざまな可能性を追求していきたい。

 まずは、感染を再拡大させないように、モニタリング検査を民間の協力を得ながら、自治体とも連携して、取り組んでいきたいと考えている」

 このたびは、敢えて、西村大臣の回答をノーカットでご紹介したが、最初の、「ワクチンの安全性が確認されないままのワクチン接種の是非」について、西村大臣は、一言も具体的な言及をしていない。また、ふたつ目の、「全国民のPCR検査実施」の可能性については、陽性率が低くなること問題視し、コストの問題としてはぐらかしている。

 定例記者会見での大臣の発言は、単に記者に対するものではなく、その背後にいる国民に対するもの。誠実な回答を期待したい。

■全編動画

  • 日時 2021年2月12日(金)21:30~
  • 場所中央合同庁舎8号館1階会見室(S101・103)(東京都千代田区)

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です