2021年1月31日(日)午後1時より、立憲民主党の2021年定期党大会と枝野幸男代表記者会見がオンラインで開催された。
党大会は東京・芝公園のザ・プリンスパークタワー東京・コンベンションホールで実施。会場では執行部役員が登壇した以外は、国会議員、都道府県連、総支部長の各代議員338名中320名がzoomの映像で参加した。
大会は、昨年12月27日急逝した同党の羽田雄一郎参議院議員を含む、新型コロナによる犠牲者を悼む黙祷に始まり、枝野幸男代表挨拶、連合の神津里季生会長の来賓挨拶(リモート)に続いて、福山哲郎幹事長が、2021年活動計画、2021年予算案、党員等に関する規約改正案を提起した。
福山幹事長は、昨年9月の立憲民主党の結党と菅内閣のスタートが同時期だったことを「時代の要請」と表現。枝野幸男代表と菅義偉総理が、共に官房長官として、東日本大震災と新型コロナという危機管理にあたったことから、今年の総選挙は「元官房長官対決」であるとして、枝野代表を総理に押し上げることが、今年度の活動の基本方針だと訴えた。
福山幹事長は、2021年の活動計画(案)として、基本テーマを「命と暮らしを守る。先遣の選択肢へ。」、重点課題として以下をあげた。
1 C0VID-19感染防止と「命と暮らしを守る」対策に全力を上げる
2 政治を転換する総選挙に全ての取り組みを集中する
3 国民の声を実現する国会論戦を強化する
4 政権の選択肢となる理念B政策をさらに明確化する
5 「あなたとつながる」ネットワークを拡げ確立する
6 女性の声を政治に反映していく取り組みを加速させる
さらに分野別方針では、上記に加えて下記の2点も上げました。
7 東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所事故からの復興と
災害対策
8 世界を視野に、政党外交の推進
予算案では、「衆議院選挙を中心に予算を組んだ」として、支出合計125億8200万円の約半分にあたる64億円を選挙関係費とした。
これらの議案が賛成多数で採決された後、枝野幸男代表が発言した。
枝野代表は初めに、「新型感染症とそれによる影響、これにより明らかになった日本社会の弱さと脆さから、命と暮らしを守る」「そのために機能する政府をつくる、その政権の選択肢となる」の2つを、活動の目標に掲げた。
そして、「国民の多くが時期尚早と危惧する中でGoToキャンペーンを推進」「検査の拡充や医療機関への支援は遅々として進まなかった」「今回の緊急事態宣言も大きく遅れた」と政府のコロナ対策を批判。「現在の感染爆発、医療崩壊を招いたのは政府の失策で、現在の危機的状況は人災そのもの」「最も深刻なのは、もはや政府と国民の間の信頼関係が壊れてしまっていること」と厳しく指摘した。
さらに枝野代表は、「政府の感染症対策は、収束に向けた中長期的な見通しと、その対策の科学的根拠について、国民の納得する説明を欠いている」「日本の感染症対策における最大の障害は、政府の姿勢である」と糾弾した。
自宅療養中に自らの感染への自責の念から自死した女性の例や、大手飲食チェーンのアルバイトで暮らす2児の母が、企業規模の制約で休業手当がもらえず、「生活の見通しが立たなくなった」「政治は私達を見捨てるのか」と訴える声などをあげながら、菅政権が国民に求める「自助努力」や「自己責任論」の誤りを指摘し、政治の責任を訴え、そうした政治を変えるのは立憲民主党しかないと訴えた。
具体的な対策としては、まず「感染症対策の徹底こそが最優先」であり、それが「経済対策の第一歩」だとして、検査体制の拡充と医療現場支援を最優先し、「ゼロコロナを目指す」ことで、旅行や会食など国民が安心して経済活動を再開できる環境を早期に取り戻すとした。
そのために、国会で訴えるテーマとして、「医療機関や医療従事者への支援を最優先し、医療崩壊を食い止める」「無症状者を含む感染者の早期把握と確実な隔離で感染拡大を防止」「感染封じ込めまでの間、政治が倒産や廃業を防ぐ補償を準備」の3点を上げた。
支援現場に来た若い女性の「もう首を吊るしかないと思ったが、私も人間なんですかね、『生きたい』と思ってしまったんです」という悲痛な声を紹介しながら、コロナ禍が明らかにした現在の日本の政治の限界を繰り返し訴えた。
しかし政権交代については、「有権者から政権の選択肢として認めていただくのは簡単なことではない」「奇をてらっても、人気取りの大衆迎合に走っても、それを見透かされ、かえって信頼を失う」とし述べた。まずは「ゼロコロナ」実現すること、「地道に全力を尽くす」ことで、政治の転換を実現しようと参加者に呼びかけた。
枝野代表は、現在はCOVID-19(新型コロナ)による世界的な「政治と社会の転換点」にあるとして、そこでの「歴史的使命」を果たすために、今年の総選挙で自公政権を倒し、立憲民主党を中心とする新政権を作る、そのためにまず政策を具体化した政権構想を作ると宣言。自分達の行動指針は「自己責任から支え合いへ」「ゼロコロナの日本へ」「あなたのための政治へ」「政権の選択肢へ」であると再び訴え、選挙に向けた決意表明を行った。
最後に、総選挙の候補者(現職、新人、元職)の顔がzoomの映像で紹介され、今回が初挑戦となる千葉県第7区総支部長の竹内千春氏が総選挙に向けた決意表明を行った。
党大会後に、枝野代表の記者会見がzoomによる記者会見が行われた。
NHKの記者から総選挙に向けた党勢拡大の方策を問われると、枝野代表は「特効薬や奇策はない、地道に各地域の活動に取り組むしかない」と回答。共同通信記者が聞いた野党間の連携については、「政権構想を提示するので、賛同いただける皆さんと連携したいが、具体的なことを申し上げる段階ではない」と回答した。
北海道新聞の記者が、政権への手ごたえを聞くと、「まだ政権の選択肢にはなれていないが、公示日までに政権の選択肢になる」「公示日までに政権の選択肢として認めていただければ、必ず政権を取れる」「そして公示日までに政権の選択肢になれる手ごたえは十分持っている」と答えた。また、政権構想と基本政策の違いを聞かれると、前者は政権獲得後最大4年間のもので、後者は10年20年単位のもので、全く異なると回答した。
フランス10の記者が、自公政権のコロナ対策との違いを聞くと、「一つは感染拡大防止しながら経済を回すという自公政権の政策は失敗であり自公政権は変えられない。まず徹底して感染を抑え込み、新たな感染があっても短期間で封じ込められるレベルに下げ、新たな感染を追いかけられるようにする、ニュージーランドや台湾で進めてきた政策である、ゼロコロナに転換する」「もう一つは、業界団体など上の方の人達の話しを聞いてやっている政治では、困難に直面している人の話を受け止めることはできない。GoToトラベルも、恩恵を受けられたところ、受けられなかったところの違いが出た。また、大企業でも、休業手当や支援金がもらえない人が出る、我々は草の根の声を聞くことが決定的に違っている」と答えた。
日本農業新聞の記者が農業政策の柱を聞くと、「凶作時などの個別的所得補償制度が柱である。そのうえで、小規模の家族経営の農業でもやっていけるような、兼業でやっていけるような、介護や自然エネルギーなど、雇用の場を農村などに作っていく、農村政策を進める」と答えた。
沖縄タイムス記者は、来週日曜に投開票となる浦添市長選の争点である、那覇軍港の浦添施設について、枝野代表は容認する姿勢を示していたが、沖縄県連代表の沖縄県連代表の屋良衆院議員は「これから検証する」と言っている、改めて是非について聞きたいと質問。枝野代表は、「地域の課題なので、県連で地域の状況を踏まえて整理して欲しいというのが基本だ」と回答した。