2020年11月18日、東京都港区の原子力規制委員会で、日本原燃株式会社の経営者を招いて、原子力規制委員会の臨時会議が行われた。
青森県六ケ所村で原子力発電所から出る使用済み核燃料の再処理事業所稼働を目指す日本原燃は、2020年7月29日、原子炉等規制法新規制基準による事業変更許可の認可を受領した。
これを受けて、原子力規制委員会の5名の委員と、日本原燃から池辺和弘・会長、増田尚宏・代表取締役社長の2名が出席して、今後の新規制基準への対応について、意見交換が行われた。
席上、更田豊志(ふけたとよし)・原子力規制委員会委員長は、使用済み核燃料の切断・溶解により高レベルの液体が発生することに対して「工程全体で出ているものが一定量を超えないようにするべきだ」「実績が生まれるまで、(加工量を)徐々に高めていくべき」と指摘した。
高レベル廃液については、日本原子力研究開発機構・東海再処理施設が、使用済み核燃料の切断、溶解を行い、大量の高レベル廃液を作り出しながら、それらの安定的保管のためのガラス固化についての目処が立っていない。
更田委員長は「いきなり切断・溶解を沢山やると(できた高レベル廃棄物の)ガラス固化が(できない)東海再処理施設の二の舞になる」と、増田尚宏・日本原燃代表取締役社長に対して釘を刺した。
日本原燃の経営陣は、この後、再処理工場の設計・工事方法(設工認)の認定申請を行うが、施設の設備数が膨大なため、申請も分割して行う方針を明らかにした。
国が主導する核燃料サイクルはいまだ見通しが立っていない。