2020年9月23日、東京都港区の原子力規制委員会で、更田豊志(ふけたとよし)・原子力規制委員長による定例記者会見が行われた。
東京電力柏崎刈羽原発7号機に対する、原子力規制委員会の審査は、保安規定の審査を終了し、事実上終了した。
規制委は、東電に対して、「廃炉をやりきる覚悟と実績を示す」などをはじめとした7項目の「約束」を保安規定に盛り込むことを要求し、東電は2020年3月にこの7項目を反映した保安規定の変更を申請している。
- 保安規定変更認可申請の概要について(東京電力ホールディングス株式会社、2020年3月30日)
会見で、記者から「7項目はペナルティーを取るものではなくて、理念を掲げさせたものだという認識か?」と問われた更田委員長は、「ペナルティーを念頭に置いて約束を求めたというものではない」と述べた。
東京電力は2011年の福島第一原子力発電所の事故について、当時の経営陣が、事故の刑事責任を負わないとの姿勢を、刑事裁判の中で明らかにしている。当該7項目の「約束」の第6項には「社長はトップとして原子力安全の責任を担う」とあるが「ペナルティーを念頭に置いたものではない」となれば、「廃炉をやりきる覚悟と実績を示す」も空文化しかねない。