「福島県も福島県民も馬鹿にされているんじゃないのか!?」加害者である国が汚染水海洋放出を「決定」するとの見通しに市民団体が福島県に反対表明を求め、怒りの要請! 2020.10.22

記事公開日:2020.10.22取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(取材:鈴木真理 文:IWJ編集部)

 福島第一原発の汚染水海洋放水をめぐり、2020年10月22日午後1時より福島県庁で、市民団体が内堀雅雄県知事と太田光秋県議会議長へ、政府に対して反対を表明するようにと要請を行った。また、その後午後1時45分より記者会見が行われた。

 福島第一原発で増え続ける汚染水は、多核種除去設備(ALPS)でセシウムなどを除去したのち、原発敷地内のタンクに貯蔵しているが、ALPSではトリチウムを除去することができない。

 政府と東京電力は、敷地内での貯蔵スペースが限界に近づいているとして、基準値以下に薄めて海洋放出する方針を進めており、10月27日にも関連閣僚会議で海洋放出方針を決定すると報じられている。しかしこの日の要請に対して福島県原子力安全対策課・伊藤繁課長は、方針の決定や日程については何も連絡が来ていないと明らかにした。

 要請を行ったのは「これ以上海を汚すな!市民会議」という市民団体。

 「これまでに出されている関係者や国民の意見をしっかりと国がとらえた上で、政府として責任を持って判断していただきたい」と述べた伊藤課長に対し、市民からは「政府の方針が決まる前に、被災県として反対の立場を表明してほしい」「県内農林水産団体が海洋放出に反対し、県内59自治体の7割が、反対もしくは慎重にという意見だ。合意とはほど遠い」「政府が出すのは方針案のはず。なぜ加害者の国が方針の決定をするのか? 決定されればその後、協議などできない」「福島県も福島県民も馬鹿にされているんじゃないのか?」などと、怒りと苛立ちをあらわにした声があがった。

 その後行われた記者会見で市民会議代表の佐藤和良氏は、「海洋放出が決定されれば2年後に実施される。壊滅的な被害を受けることは必至で、風評被害対策では済まされない。実害であって、漁業者は生業を奪われる。さらには一次産業から観光業まで含め、県内の全産業に影響を及ぼすのは必至だ。県民の代表として事前に反対の意思を表明するべきだ。結論ありきの国の進め方を承服することはできない」と訴えた。

 海洋放出をめぐっては、市民の立場から原発政策への提言を行ってきた、科学者や技術者、弁護士などからなる原子力市民委員会が20日、「政府は福島第一原発ALPS処理汚染水を海洋放出してはならない。汚染水は陸上で長期にわたる責任ある管理・処分を行うべきである」とする声明を発表した。

 一方、韓国では20日、日本に近い南部の済州島のある済州特別自治道の元喜龍(ウォン・ヒリョン)知事が記者会見で、日本が海洋放出した場合、領海と国民の安全を守る義務から訴訟を起こす考えがあることを表明した。

 韓国政府は9月22日のIAEA(国際原子力機関)総会での演説で、「海洋放出は全地球的な海洋環境に影響を与えかねないため、中長期的な環境への害などを十分に検討すべき]
だとして、IAEAなど国際社会との協力を訴えている。

 汚染水の海洋放出については、ぜひ以下の記事も御覧いただきたい。

■全編動画

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です