「内部被曝の影響は、これから出てくる」 放射線治療の第一人者が語る、被曝問題の隠された真実 ~岩上安身による西尾正道氏インタビュー 第一弾 2015.2.19

記事公開日:2015.2.21取材地: テキスト動画独自
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(IWJテキストスタッフ・関根かんじ、IWJ・平山茂樹)

特集 TPP問題
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 北海道がんセンター名誉院長で、臨床医として約40年もの間、放射線治療に携わってきた西尾正道氏は、3.11後、全国各地で内部被曝の危険性を訴える講演活動を行っている。また、ボランティアで福島県内にも入り、甲状腺の検診も行っている。

 放射線による健康被害は、外部被曝ばかりが問題視される傾向にある。しかし、西尾氏によれば、より深刻なのは、放射線を体内に取り込む内部被曝なのだという。また、政府はICRP(国際放射線防護委員会)の基準をもとに、年間の被曝線量の上限を20ミリシーベルトと規定しているが、西尾氏によれば、ICRPの認識には誤りが多いのだという。

 2011年3月11日の福島第一原発事故から、まもなく4年。西尾氏は、「内部被曝による健康被害は、これから出てくる」と語る。内部被曝が人体にもたらす影響について、長年にわたり放射線治療を行ってきた第一人者に2015年2月19日、岩上安身が話を聞いた。

■イントロ

  • 日時 2015年2月19日(木)13:00~
  • 場所 北海道札幌市

実効線量と吸収線量の間には、大きな乖離がある

岩上安身(以下、岩上)「西尾先生には昨年末、IWJの『響宴V』の『原発と被曝を考える』というパートにご出演いただきました。内部被曝のメカニズムを使うがん治療のお話はインパクトがあり、内部被曝と外部被曝の違いを再確認することができました。

 福島第一原発事故以降の、外の放射線量だけを測定したり、外部被曝だけを取り上げるような対応の仕方が、いかに問題が多いか、改めてわかった気がします。

 西尾先生は北海道がんセンターの名誉院長に退かれて、時間ができたということで、福島に通って診察や治療を続けられています。まずは、基本中の基本、放射線と被曝の話からお願いします」 西尾正道氏(以下、西尾・敬称略)「まず、放射線の単位のベクレルとは、放射線が空気中でどれくらい威力があるかを示す物理量のことです。それだけでは人体への影響が不明なので、吸収線量という概念ができ、1キログラムのものに、1ジュールの熱を与えた時は1グレイ、と定義したのです。

 そして、人体への影響を計算する時に、等価線量、実効線量というものを考え出した。そもそも、ここがインチキ。同じ細胞へのダメージをみる放射線荷重係数が、ガンマ線、ベータ線より、アルファ線は20倍強いことになっています。ベータ線の放射線荷重係数は1とされているが、(ベータ線を出す)トリチウムは1.5〜2だと多くの実験で判明している。

 等価線量とは、人体の臓器別にどれくらい放射線が当たったかを表し、臓器別の等価線量を合計したのが、全身の実効線量になります。

 この実効線量に組織荷重係数を掛けるのですが、これはICRPが考え出した架空の数字なんです。だから、実際の吸収線量が、実効線量に反映している実証性がまったくない。これが一番の問題です。

 昔の同僚の名取春彦先生(獨協医科大学放射線専門医)は、著書の中で『等価線量、実効線量、内部被曝線量、モニタリング線量、皆ごっちゃにしている』と指摘している。ただし、大学では『政府の言うことに反論するな』と言われたそうですが。

 喉頭がんの放射線治療では、1日2グレイを計30回かける。1回分を実効線量に換算すると162ミリシーベルト。30回だと4.8シーベルトと致死量に近くなる。だから、実効線量と吸収線量には、ものすごい乖離があるんです」

ICRPは「原子力国際マフィア」

岩上「それはICRPに、何か思惑があるからなのでしょうか」 

西尾「実効線量に換算することで、人体への影響をわからないようにする意図があるのではないか。実効線量も等価線量も仮定の話。科学的根拠のない数字を基準に、議論しているのはおかしい」

岩上「そのICRPという組織は何なのですか。3.11以降、あらゆる場面で、ICRPの示した数字が政治的にも科学的にも正しい、と国民に押しつけられています」 西尾「その前に補足を。7シーベルトの全身被曝で死ぬと言われるが、体重60キロの人が7シーベルトを受けると420ジュール、熱量換算すると100カロリーでしかない。放射線の吸収線量の定義になると、物理学と生物学の共通基準になっていないのです。

 ICRPとは、1928年、医療被曝の問題から医者を中心に議論の場を作ったのが始まり。それが1946年、NCRP(米国放射線防護審議会)が組織を乗っ取り、メンバーも医者ではなく、原爆のマンハッタン計画に関わったような研究者が過半数を占めるようになりました。

 原子力利用のための被曝研究組織となり、第1委員会が外部被曝、第2委員会が内部被曝を担当した。しかし、ICRPは公的な組織でもない任意団体です。そして、1952年に第2委員会を潰した。もし、内部被曝の報告が出てきたら、原子力政策が行き詰まるからです。

 当時、内部被曝の委員長は、放射線保健衛生の父と言われるカール・モーガン氏。2003年、自著で『ICRPは、原子力産業界の支配から自由ではない。原発事業を保持することを重要な目的とし、本来の崇高な立場を失いつつある』と批判しました。

 1952年から、ICRPは、防護や安全への投資に金のかかる内部被曝を隠していました。日本の放射線影響研究所も、1989年に内部被曝の研究を一切中止した。隠すということは、ある人たちにとって都合が悪いから。内部被曝の深刻さを隠したいのです。

 胎児は放射線の感受性が高く、遺伝的な影響が一番深刻だから、逆に、ICRPは『遺伝的影響はない』と、あたかも権威があるように言う。デタラメな集団です。

 ICRPは民間のNPO団体で、原子力政策を推進する原子力国際マフィアなんです。医者たちは、その指針に従う御用学者になってしまった。西側の国だけではなく、東側の国家も同様です。御用学者は、お金で報告書を書くようになっています。

 ICRPは都合のいい論文を集める。チェルノブイリ25年記念で出版された本にも、ICRPの論文が300くらい入っている。2011年、日本のある物理学者が内部被曝の論文を書いたが、日本物理学会は拒否した。学問体系そのものを、原子力ムラが牛耳っているのです。

 ICRPは研究も調査もせず、都合のいい論文、報告書を書いているだけの団体。実は、国連安保理が絡んでいるIAEAが一番権力を持ち、ICRPはその下部組織。1959年、IAEAはWHOと連帯し、WHOが把握した健康被害を勝手に発表させないようにした」

ICRPはいかなる点で間違っているのか

岩上「IAEAは、国際原子力機関。核保有国の原子力推進を保持する一方で、他国に核を保有させない力も持つ。その上に、国連安保理が絶大な力で存在していますよね」

西尾「ICRPは民間団体。宗教団体と同じで何とでも言える。だが、現実には逆らえず、1949年に一般人に対する線量限度を年間44ミリシーベルトから1ミリシーベルトまで下げた。日本政府は、そのICRP勧告まで無視し、年20ミリシーベルトにしている」

岩上「日本の、年20ミリシーベルトの根拠がわからない。それに、ICRPが科学的に正当性を持ち、裏付けのあることを言うならわかるが、それがないのに従っているのは、おかしいのではないですか」

西尾「ICRPが決定的に間違っているのは、放射線を気体として計測していること。気体ではない形で放射線が存在することを想定せず、『セシウムはガンマ線で、粒子ではない』と言う。しかし、セシウムはマイナスを帯び、物質を引き寄せ、粒子化するのです。

 福島で鼻血問題が起こりましたよね。気体か微粒子か、また、そのサイズによっても人体影響はまったく違う。だから、『500ミリシーベルト以上浴びて骨髄がやられないと鼻血は出ない』と主張するICRPの理論は破綻しています。

 本来、今の福島で法律を守って生活するには、防護服を着用しないといけないのです。セシウム微粒子は繊維にこびりつくし、髪の毛にも付着する。細かい粒子は洗っても落ちません。実は、深刻なんですよ」

岩上「いわきの市民測定所で、食事に気をつけている人がホールボディカウンターで何回測定しても数字が検出されるので、試しに服を脱いで測ったら未検出だった、という話を聞きました。放射性物質が服に付着していたということですね」

西尾「ICRPの内部被曝の測定法は、人体60兆個の細胞全部に、いかに放射線がダメージを及ぼすかを算出するという、非科学的な計算方法。線源に近づけば近づくほど、危険度が上がるのです。ICRPのチャンバーによる計測方法は、線源に密着した部分は測れない」

岩上「福島の住民でも意見が分かれていて、大丈夫だと言う人もいます。線量が高くても、その場に長時間いなければ大丈夫だ、という人にも会いました」

西尾「しかし、付着した微粒子を吸い込んだり、海に落ちた微粒子が魚に入ったりして、いろいろな形で人体に吸収される。海に1ベクレル流れたら、生体濃縮で人間の身体には1000ベクレルで入ってくる。想像力をきちんと持てば、安全とは言えません。

 内部被曝も、ちゃんとやれば解明できるんですよ。だが、国が研究費をまったく出さない。研究をさせない。最近の医学の進歩を利用した研究をしていないし、広島と長崎の原爆被害の結果を、いまだに、根拠として使っているのが現状です」

岩上「つまり、内部被曝を研究させない仕組みを作り出しているのですね。原爆投下したアメリカと、被爆した日本が一番データを持っているにもかかわらず、研究させない。そんな日米が手を組んでいるから、何もできない」

西尾「しかし、トップに立つ人間たちは悪いことをしている自覚もない。ふんぞり返って出世ばかりに一生懸命。真剣に考えている医者は少ない」 

内部被曝を過小評価するというごまかし

岩上「そういう世界で有名な長瀧さん(長崎大学名誉教授・長瀧重信氏)という先生がおられますが……」

西尾「長瀧さんと2年前に会った時、『甲状腺がんは内部被曝そのもので、外部被曝じゃないですよ。どう考えるんですか』と聞いたら、モゴモゴ言ってて、まともに答えられない。彼にとっては、自分に都合の良いことが『科学的』なんです。

 そういう人がトップに立って指揮していたら、どうにもならない。住民の側に立つ医者には、政府から声がかからない。これから、内部被曝はとても深刻な問題になる。内部被曝は細胞に対して、べらぼうな量になるからです。

 微量でも大変なダメージを与える。先生は放射性物質を使って、がんを殺す治療をされてきたから、そのパワーをよくご存知なんですね。

 内部被曝を過小評価するのが、最大のごまかしです。ICRPは内部被曝の線量計算も、全身均一に被曝すると仮定する。同じ線量であれば、内部被曝も外部被曝も同等だと。

 アルファ線は40ミクロン、ベータ線は数ミリ程度しか飛ばないが、隣接する細胞はとてつもないダメージを受ける。セシウム137は半減期30年だが、ベータ崩壊でバリウム137になり、ガンマ線を出す。測定値はベータ線とガンマ線で2回分になる。

 僕はセシウム針の小線源治療という内部被曝を用いて、舌がん治療などをしてきた。こういう経験から(ICRP基準の)インチキがわかる。どうして、みんな気づかないのか。外部被曝は均等に汚染するが、内部被曝はピンポイントなのです」

岩上「今、この小線源治療のできる人は西尾先生しかいないのですね。自分が舌がんになったら困ってしまいます」

西尾「僕がいなくなったら、この治療は終わり。切ったほうが儲かるから、誰もやらないね。

 この治療は、徐々に、がん細胞が放射線で弱っていき消滅するやり方です。ただ、正常な細胞に当たると、傷ついた遺伝子が引き継がれて、将来的に変異を招いてしまいます。

 若い頃は、ラジウムの管で食道がんを治した。今では低線量治療は儲からないし、設備もかかる。被曝のリスクもあるので、やりたがらない。今は子宮頸がんや、前立腺がんも切らずに治る。日本は30年前から、切り過ぎだと批判があるくらいです。

 放射線源からの距離がとても重要だが、今、ICRPは、等価線量だけで、内部被曝のリスクをごまかし、かつ、それにすっかり騙されているのが日本国民です。

 また、多発性骨転移には、ストロンチウム89を注射する方法がある。すると、転移した骨に取り込まれて、8割くらいの患者の痛みがとれる。この治療は、自分が治験を集めて認可させた。しかし、あまり使う医者がいない。日本では、いかに医療放射線での治療を理解していないかがわかる」

見過ごされているトリチウムの危険性

岩上「これら悪魔の物質を、善意に使おうとする動機が、医者の間にはないのですか。なぜ、こういう治療法が普及しないのでしょう?」

西尾「それは医者自体に、放射線への理解がないから。レントゲンでも、その映像を見るだけ。また、放射線由来のがんを治療することも少ない。放射線の恐ろしさは、数年後に障害が出たりすること。自分は治療に工夫をしながら学び、進歩したのです。

 放射線の影響とは、吸収線量から出発し、そこにどれだけの時間いたかで決まる。ベータ線は、そこに留まってエネルギーを発散するから危ない。今、危険なのはストロンチウムとトリチウム。ただ、ストロンチウムは8時間で95%排出されます。

 子どもは別だが、大人なら深刻にならずに済む。トリチウムは、原発を動かせばダダ漏れ状態です。水素だから、人間のDNAにしっかり取り込まれてしまう。北海道の泊原発の近隣で、がん発症数が多いのは、事故がなくても出ているトリチウムのせいだと思います」

岩上「セシウム、ヨウ素とさんざん言われてきたが、最近はトリチウムが注目されるようになりました。福島原発事故で、トリチウムは、何が問題になっているのですか」

西尾「トリチウムは大量に出ているが、政府はエネルギーが低いので影響は少ないと言う。トリチウムは、セシウムなどより10万分の1、エネルギーが低い。しかし、それは飛ぶ範囲が狭いことを意味し、ベータ線内部被曝で、逆に集中してリスクが増す。

 チェルノブイリで、100ミリシーベルト以下は甲状腺がんは出ない、というのは大ウソ。甲状腺がんの50%は、100ミリシーベルト未満での発症です。内部被曝も、甲状腺全体が均一に被曝すると考えるからおかしい。当たっているのは局所の細胞だけです」

御用学者ばかりで、根本的に考える科学者がいなくなってしまった

岩上「それって、計算できるものなんですか? 世界は内部被曝から目を背けている。しかし、予算がちゃんと出れば、科学的に解明できるのですか?」

西尾「研究費次第で、できますよ。

 今、10マイクロシーベルトまで計測できるガラスバッジも開発されています。でも、100マイクロシーベルトの感度のガラスバッジを住民に付けさせて、低い線量がうまく計測できないことをいいことに、『反応がないから安全だ』と帰還をうながしている。

 ガラスバッジは、実際より1/10〜1/20くらい低い値になる。福島の子どもたちは、確実に年1ミリシーベルト以上、浴びているが、健康診断も一切やらない。

 また、放医研の学者が3.11以前に認可させた、ラディオガルダーゼを飲めば、放射性セシウムを40%除去できる。僕は原発の作業員に飲ませるべきだと言ったのだが、一切使わせない。政府は、風評被害になるからと、ラディオガルダーゼの輸入を止めた。

 チェルノブイリ事故の時、バンダジェフスキー博士がセシウムの体内蓄積を調べたら、子どもの場合は甲状腺に集まっていた。放射線量の高い場所に住まわせることのリスクは拭えない。50歳、60歳の8〜9割は心臓疾患で死んでいる。

 福島の学校給食は地産地消で、感度の悪い検査機器で放射性物質を測定して、キロ当たり10ベクレル。県庁の食堂は最新機器を使い、同1ベクレルだ。原発事故のセシウムは自然放射線とはまったく形態が違うので、カリウムチャンネルがやられてしまう。

 つまり、カリウムを伝達する受け口に、セシウムの微粒子がはまり、機能を阻害、心筋系疾患を招く。いわゆる電解質バランスが崩れ心電図異常が現れる。アメリカの死刑はカリウム注射。それほどカリウム、カルシウムは人体に怖い物質なのです。

 科学者は根本的に考えるべき。アリス・スチュアート博士は、イギリスの子どもの白血病発症率と、母親が浴びるX線との相関性を証明した。米議会でも発言し、大気圏核実験中止に導いた。今では、御用学者ばかりで、こういう科学者はいなくなってしまった」

福島県民健康調査の欺瞞

岩上「福島原発事故から被曝問題。また、放射線がん治療への有効性。両方、伝えたくなってしまうが、やはり、福島の被曝、県民健康調査、甲状腺の問題などに焦点を絞りたいと思います。まず、県民健康調査のあり方から、お聞きします」

西尾「まず、福島のモニタリングポストがごまかされている。2015年1月18日、アルファ通信の計測器は全部、撤去された。数値を低く設定しろという政府の指示に背き続けたからです。モニタリングポストは、富士電機の製品に変えられた。

 2年ほど、アルファ通信と富士電機、2つのモニタリングポストが並ぶ場所が500ヵ所くらいあった。富士電機製はコンクリートの土台に設置され、約半分の値になる。福島駅前で、正確な医療用線量計だと0.29マイクロシーベルトあったが、富士電機は0.169。

 これらの政府の行いは犯罪行為だ。今後、計測値と発症例を突き合わせられなくなる。結局、アルファ通信は去年(2014年)暮れに倒産した。さらに、今のモニタリングポストにはスペクトルメータがない。どんな核種か分析もできず、データをしっかり取ることをしない。

 僕は2013年2月、総理大臣宛てに請願した。病名がわからないと保険診療にならないので、保険診療報酬についても指摘したが、厚労省が環境省に丸投げなので動けない。甲状腺エコー検査のデータを本人に渡せ、とも訴えた。将来、診察の参考にできるからです。

 僕は、2013年4月から福島で検診を始めたので、まずエコー検診とデータを本人に渡すことにした。長い目でいい方向に変えたかったが、彼ら(福島県立医大)はまったく変えない。

 日本人の子どもの甲状腺のヨウ素摂取量が、まったくわかっていない。(海藻を食べる)日本人は世界一、ヨードを摂取している国民だ。チェルノブイリとは摂取量がまったく違う。そこも、彼らはわかっていない。

 福島原発事故直後の被曝スクリーニングで、2011年3月14日、福島県は基準を10万cpm(1分間の放射線の数)に引き上げた。通常は、人体で1万3000cpm(甲状腺等価線量100ミリシーベルト相当)あれば、除染しなければ管理区域外に出られないのに。

 つまり、事故当時の福島の人たちの正確な被曝線量が、まったくわからないし、推定しようもない。福島県立医大の関係者は、自分たちはヨウ素剤を飲み、そのことに箝口令を敷いていた。

 緊急時に自分だけ逃げた韓国の船長さんのようなことをやっていて、住民のメンタルケアなどできるはずがない。事故当時、京大理学部の方々が調査して、ヨウ素は政府公表の値より1.8倍、チェルノブイリの1.5倍は高いという論文を書いた。

 これが事実だとしたら、甲状腺がん発症は考えられる。また、WHOから日本語版がない報告書が出たが、やはり、日本人には読ませたくないということだろう。アラビア語版、ロシア語版はあるのだが。

 今、いろんな集会で発言するが、データの具体性がないため、甲状腺がんなどの過剰発症と被曝との相関性をはっきり言えない。だから、いつも一匹狼になって困ってしまう。

 福島の県民健康調査については、やり方に問題がある。それはデータを渡さないことと、画像解析のあいまいさ。静止画は、どうにでもなるんです。だから、エコーは動かしながらやらないと意味がない。つまり、アバウトな検査で、日本のように1ミリ以上ののう胞を拾うから発見率も上がる」

岩上「先生は、かなりフェアに物事を見ようとされている。権力側とか、どっち寄りではない立場で発言されている。思いだけが優先し、脱原発の立場ありきでの発言ではない、ということですね」

西尾「のう胞と結節はわかりにくく、県立医大は大事をとって、混合型も結節にして、見逃さないように配慮はしている。甲状腺は、がんが発見できる一番小さな臓器です。

 甲状腺検査の集計は、2011年度は2986人に1人、2012年度は2578人に1人、2013年度は3285人に1人。この発症率は、全然高い数値ではない。スクリーニングで自然発生を発見したことと変わらず、放射線由来だとは、今の時点では断言できません」 

健康被害は、これから発生する

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「「内部被曝の影響は、これから出てくる」 放射線治療の第一人者が語る、被曝問題の隠された真実 ~岩上安身による西尾正道氏インタビュー 第一弾」への3件のフィードバック

  1. 谷口 真也 より:

    (岩上さんの安眠と快癒を願って記します)
     西尾先生のお話は毎回そうだけれども。今回も重要な指摘のマシンガンの3時間でした。
     たとえば、セシウムがどうして心臓に悪いのか、その「本態」を話してくれる人は他に今、いません。超大事です。私は今回初めてそれを知れました。
     今まで自分の中で「保留」にしておくしかなかったことに、いくつも「裏付け」をもらえた3時間です。
     圧倒的にたくさんの「指摘の受け手」がいるようになることを願います。
     日本では昔から、がんというのは、「歯止めなく急速に増殖する」のだと言われてきていました。そのため、がんはすぐデカくなる、すぐ転移するようなイメージで捉えていても、無理のないところがあります。
     西尾先生は、「がんのナチュラルヒストリー」を話され、1つのがん細胞が1センチになるのには10年くらいかかるんだ、と教えてくれます。これまでは、それを誰も、(しろうとに対しては)話さなかった。だから私たちはずっと知らなかったのです。
     岩上さんと西尾先生は、そうしたところに手をのばしてくれています。
     

  2. みき より:

    岩上さんのインタビューにより、深く掘り下げられた西尾先生のお話を有難うございました。放射線健康被害の治療にまで言及されている医師は現在他に知りません。また、現実をこのように冷静かつ真摯に分析されている医師も他に知りません。それにしても西尾先生は最初からスロットル全開ですね(笑)さらに、素早いテキストアップにも感謝いたします。テキストの最後で「えっ?!」と驚愕し、「会員限定」部分でさらに驚きの(恐怖の)大どんでん返しがあります。是非多くの方に会員になっていただき、その部分を読んで頂くか、動画を全編ノーカットで見て頂きたいと思います。このインタビューは友人知人に広めます!ありがとうございました。

  3. 清沢満之 より:

    フクシマ原発からの放射能漏洩はトテツモナイ量に!全く報道されない「トリチウム」の危険性
    http://diamond.jp/articles/-/75003

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