福島原発事故に伴う放射線被曝に対する健康管理のあり方は今のままでいいのか。12日、日比谷図書文化館で、「放射線被ばくと健康管理のあり方に関する市民専門家委員会」と「原子力市民委員会」の共同主催で、「健康管理調査の現状 子どもたちの健診から見えてきたこと」と題されたセミナーが開かれた。
(取材:IWJ 渡辺みさ、記事:IWJ ゆさこうこ)
福島原発事故に伴う放射線被曝に対する健康管理のあり方は今のままでいいのか。12日、日比谷図書文化館で、「放射線被ばくと健康管理のあり方に関する市民専門家委員会」と「原子力市民委員会」の共同主催で、「健康管理調査の現状 子どもたちの健診から見えてきたこと」と題されたセミナーが開かれた。
■ハイライト
冒頭、主催者であるFoE Japanの満田夏花氏は、福島県の県民健康管理調査の問題点を3点指摘した。ひとつは、福島県外では体系的な検診が行われておらず、地理的に限定されていること。二つめは、検査内容が、甲状腺がんや心の健康のみに絞り込まれており、多様な疾病に対応していないこと。三つめは、情報公開ルールがきちんと決められておらず、現状では福島県立医大がデータを全て管理し、公開の可否を決めているということだ。
上智大学神学部特任教授・グリーフケア研究所所長である島薗進氏は、健康対策が「科学的合意と政治的方針とが混ざり合って主張されてきた」とし、福島県県民健康管理調査を「調べない、知らせない、助けないという態度があちこちに見える」と批判した。
また、子どもたちを放射能から守る小児科医ネットワークの山田真氏は、「福島では健康に対する関心が低くなっている」、「自主避難した人たちは、健康管理どころではなく、生活に追われている実情がある」と指摘し、「無料で子どもたちの検査を実施するべき」と話した。
元北海道がんセンター所長である西尾正道氏は、「医学的・論理的に冷静になって考えてほしい」と促し、福島の子どもたちに対する甲状腺検査によって発見された甲状腺がんは、被曝によるものではない可能性があることを示唆した。
西尾氏によると、のう胞は、3~4歳の子どもたちにはほとんど見つからず、小学生から確認され、中学生が最も多く見つかっている。このことにから、西尾氏は、「のう胞は、成長期に甲状腺が大きくなるときの反応でしかない」と主張し、「成長期に細胞分裂が追いつかず、空洞ができ、そこに甲状腺ホルモンを作る液性成分がたまり、さらに甲状腺の細胞に置き換わる」と説明した。
京都精華大学教授の細川弘明氏は、
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