地下水浄化試験状況を福島県漁連に説明「理解が得られたら海洋放出」~東電定例会見 2014.8.25

記事公開日:2014.8.25取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

 2014年8月25日17時30分より、東京電力本店にて定例記者会見が行われた。サブドレン設備の浄化試験結果を県漁連に説明したことを報告。今後も港湾への放水が承認されるまで、丁寧に説明を続ける予定だという。

■全編動画

  • 日時 2014年8月25日(月)17:30~
  • 場所 東京電力本店(東京都千代田区)

作業のため、3号機SFP冷却を一時停止

 福島第一原発3号機使用済燃料プールに落下してしているがれき撤去作業が続いている。作業に使用するクローラークレーンに不具合が見つかり、修理のため5月16日から作業を中断していたが、修理が完了した。そのため、8月25日から作業を再開する。特に、”燃料交換機本体”を10月中旬までの予定で撤去する。この際、燃料交換機から油が漏れ、プール冷却系に混入するのを防止するため、作業中はプールの冷却を停止する。原則として月曜7時~金曜16時までは冷却を停止し、金曜16時から月曜7時は冷却を再開するというサイクルで行う。冷却を停止している際、プール水温の上昇は0.114℃/hと東電は評価しており、月曜から金曜まで冷却を停止する129時間で、約15℃の温度上昇を見込んでいる。

作業のため、4号機SFP冷却を一時停止

 一方、4号機の使用済燃料プールでは、冷却系設備に使われている”フレキシブルチューブ”という部品を交換するため、8月25日5時前頃から、約60時間プールの冷却を停止する。冷却を停止している際のプール水温の上昇は0.266℃/h、60時間で約16℃の水温上昇と東電は評価している。

共用プール配管貫通部の漏えい個所を止水工事

 共用プール建屋の地下で、配管貫通部から水が流入していることが、7月3日に発見されていたが、その止水工事が終了した。モルタルにより止水処理を行ったという。同様の配管貫通部が他に9か所あり、それらすべてについても同様の止水処理を行う予定だ。

車両から油漏れ、車両特定できず

 車両から油が漏えいし、滴下したと思われる跡が見つかった。双葉消防に連絡するとともに、吸着剤を散布して処理した。ただし、漏えいした車両が特定できず、引き続き調査を続けるという。

排水配管トレンチの水位計が故障

 2号機海水配管トレンチ立坑Aの水位計が故障した。この水位計は、水位op2000程度を測定していたが、急にop20000に跳ね上がった。そのため、東電は計器の故障と判断。今後はトレンチでつながっている立坑Cの水位計で管理していくとしている。

 立坑Aの水位計が故障した原因は、まだわかっていない。現場の線量が高く、放射線による劣化、故障も考えられるが、特に見解はない。

サブドレン浄化装置、試験状況を漁連等に説明

 海洋への汚染水流出を抑制するため、地下水が高濃度に汚染される前にくみ上げる”サブドレン設備”について、くみ上げた地下水の”浄化装置”の性能試験を行っている。8月14~16日にくみ上げた地下水を用い、8月20日に行った浄化試験の結果を福島県漁連に説明したことが報告された。

 東電が測定した結果、くみ上げた直後に290Bq/Lある全βが、浄化後にはND(検出限界0.83Bq/L)になるなど、セシウム134、セシウム137と合わせて3核種はNDになった。トリチウムは除去できず、670Bq/Lである。第三者機関に依頼して詳細分析も行っており、一か月程度で結果が出る予定だ。

 浄化後の水質は地下水バイパス運用目標値をも下回っており、「問題ない」として港湾内へ放出することを東電は計画している。漁連からは、港湾と言えども海へ流すのは認められない等の意見があったという。東電は、「引き続き丁寧に説明を続け、理解が得られたら港湾内へ排水する」と説明している。

 東電は今後、浄化設備部分を8時間×5日間の”連続運転試験”を行い、約2000トンの処理試験を行う。その後、地下水を約3500トンをくみ上げ、一連の系統試験を行う予定だ。万が一くみ上げ水が運用目標を超えるように汚染されていた場合、くみ上げた水を浄化装置へは送らず、別途タンクに貯留する。ただし、くみ上げピット数、タンク数が非常に多く、どのように管理していくかはまだ検討中だという。

ウェルポイントくみ上げ

 サブドレンや地下水ドレンの運用を開始すると、建屋地下に流れ込み汚染水となった地下水量が減る。そのため、海側遮水壁を閉じることができる。ただし、建屋間にある”ウェルポイント”からのくみ上げは継続する考えだ。

 現在、1-2号機間のウェルポイントから50トン/日程度くみ上げている。サブドレンと地下水ドレンの運用開始後は、くみ上げ量は減らせると東電は考えている。1-2号機間と2-3号機間のウェルポイントを合わせて、50トン/日程度に減ると東電は予想している。くみあげた水は、タービン建屋地下に移送する考えだ。

政府が吉田調書を公開する方針

 政府事故調査委員会が東日本大震災および福島第一原発事故時について聞き取り調査をまとめた報告書、いわゆる吉田調書について、政府は公開する方針を決めた。このことについて東電は、「内閣官房が管理するものと認識しており、コメントは差し控える」とした。

 吉田昌郎元福島第一原発所長(故人)の他にヒアリングを受けた各個人について、政府は各個人に公表可否の意向を尋ねている。東電としては、各個人の判断を尊重、会社としては何ら関与しないと応えた。

凍土壁実証試験装置、年内は溶融状況を試験中

 凍土式凍土壁の実証試験が福島第一構内で続けられている。その後の取材によると、7月31日までは冷凍機を稼働させた凍結試験を続けていたが、8月からは冷凍機を停止。年内いっぱいは、凍土の溶融状況をみる試験を続けるという。

■■■■■■

以下、東京電力ホームページより、リンクを表示

報道配布資料

2014年8月25日

2014年8月24日

2014年8月23日

2014年8月22日

プレスリリース

2014年07月25日

2014年8月22日

2014年8月25日

2014年8月24日

福島第一原子力発電所の状況について(日報)(東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響)

福島第一原子力発電所 データ集

福島第一原子力発電所3号機タービン建屋1階における漏えい検知器の動作について(続報)

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

■お買い求めはこちらから

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です