集団的自衛権行使容認の根拠として、自民党の高村正彦副総裁らが主張している1959年の砂川最高裁判決。高村氏は、当時の田中耕太郎裁判長が「憲法第9条は日本が主権国として持つ固有の自衛権を否定しておらず…」とする判決を下したことで、「最高裁は集団的自衛権を否定していない」というロジックを強調している。
しかしそもそも砂川事件は、米軍基地が違憲かどうかを争うものであり、集団的自衛権が違憲かどうかを問うものではない。
元最高裁長官の山口繁氏(82)などは、「旧日米安全保障条約を扱った事件だが、そもそも米国は旧条約で日本による集団的自衛権の行使を考えていなかった。集団的自衛権を意識して判決が書かれたとは到底考えられない」として、高村氏らの主張を「論理的な矛盾があり、ナンセンスだ」と否定している。
- 安保法案、元最高裁長官「違憲」 政府説明「論理的矛盾」(2015/09/03共同通信)
その砂川事件の弁護士らが2015年9月4日、『砂川判決と戦争法案』を旬報社より緊急出版。集団的自衛権の合憲論議と砂川判決とを強引に結びつけようとする安倍政権の論理の「矛盾」を指摘している。同書は、全国会議員に送られるという。
出版に先立ち9月1日、弁護士らは東京・霞ヶ関の司法記者クラブで刊行発表などを含めた記者会見を行った。