辻恵氏、森田実氏、孫崎享氏、天木直人氏、植草一秀氏、2016参院選に向け「新勢力」創出へ ~政府の安保関連法案「砂川判決根拠論」を一刀両断 2015.6.12

記事公開日:2015.6.20取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富田)

※6月20日テキストを追加しました

 「強引な安倍政権が主導する、今の国会運営には不満がある。喧伝されるアベノミクス効果も実感がなく、物価の上昇で日々の暮らしは却ってきつくなった。とはいえ、野党は弱体化が顕著。自民党以外に投票したところで、勝てっこない」──。2014年12月の衆議院総選挙で、投票所に足を運ばなかった有権者の多くが、こんな心境だったのではないか。

 そして、それが意味するのは、「これなら安倍政権を倒せそうだ」と大勢の日本人が思う、新たな政治勢力が生まれれば、安倍・自民党は政権の座を失う、ということだ。

 元衆院議員で弁護士の辻恵氏が発案した、その「新政治勢力」創出の運動に賛同した政治評論家の森田実氏、外交評論家の孫崎享氏、天木直人氏、経済評論家の植草一秀氏らは、2015年6月12日、東京都内で2回目となる「日本政治の行方を考える市民と国会議員の勉強会」を行った。

 勉強会では、安倍政治の難点を問題提起する講演が行われ、政府与党が安保法制関連法案の合憲性の根拠とする「砂川事件」も話題に上った。

 講演者の1人である天木氏は、「砂川事件の(最高裁)判決は、判決そのものが、そして、その判決を下した田中耕太郎最高裁判所長官が、いかさまだった。この事実を多くの国民が知るところになれば、今の安保法制の動きを阻止できる」と訴えた。

 この日の勉強会で特徴的だったのは、講演者らから、運動の停滞を案じる声が聞かれたことだ。この運動の要諦は、インターネットを駆使した連帯の輪の拡大であり、「新政治勢力」は、その延長線上に存在するのだが、まだ具体性を伴っていない。つまり、このまま勉強会を重ねていくだけでは、大きなうねりを欠いたまま、来年2016年夏の参院選を迎えてしまう恐れがあるのだ。

 植草氏は、その不安を口にした上で、独自に「オールジャパン:平和と共生」のサイトを開設したことを発表した。安倍政権の「戦争と弱肉強食」路線に対抗するのが、オールジャパンの「平和と共生」路線であるとして、市民の参加を呼びかけた。

記事目次

■ハイライト

  • 趣旨説明 辻惠氏(弁護士)
  • 問題提起 天木直人氏(外交評論家)/植草一秀氏(経済評論家)/孫崎享氏(外交評論家)/森田実氏(政治評論家)
  • まとめ 伊東章氏(弁護士)
  • 日時 2015年6月12日(金)17:00〜19:30
  • 場所 衆議院第一議員会館(東京・永田町)

本当はもろい安倍政権、勝負は2016年夏

 冒頭、辻氏が演壇に立ち、「この運動を始めるきっかけは、2014年12月の、降って沸いたような衆議院の解散にあった」とし、次のように説明した。

 「あれは、安倍独裁体制を長期化させるための抜き打ち解散だったが、それを受けた総選挙では、安倍・自民党に、本来なら対抗しなければならない政治勢力が、分断されていることに強い危機感を覚えた。その危機感を、森田先生や植草先生と共有できた結果、『ストップ安倍政権』を実現させるべく、国民会議的な全国規模の市民運動体を作り、2016年7月の参院選までに、大勢の国民から『これは期待できる』と思ってもらえる、新たな政治勢力を誕生させようという意見で一致した」

 辻氏は、「安倍政権は、実は脆弱だ」と指摘し、その根拠を列挙した。2009年の民主党政権誕生時の衆院選での、自民党の獲得票数は1880万票だったが、昨年末の衆院選では1776万票で、約100万票のマイナスになっていること。最近の首長選では、自民推薦候補がことごとく負けていること。環太平洋経済連携協定(TPP)、原発、憲法改正、辺野古への米軍普天間基地移設といった、安倍政権が進める政策については、反対する声の方が多いこと──。

 そして、「にもかかわらず、安倍・自民党が政権の座にいられるのは、対抗できる政治勢力が存在しないからだ」と重ねて強調した辻氏は、対抗できるだけの新しい勢力をいかに作るか、構想を急いで練り上げねばならない、と口調を強め、「(ほぼ市民有志だけでまとまる)従来型の国民運動には限界がある。選挙で勝つためには、議員や政党と大胆に連携していく必要がある。今はまだ、試行錯誤の段階だが、悠長なことは言っていられない。来年の参院選での勝負に向け、遅くとも年内には活動の『具体的な形』をつくり上げたい」と意気込みをみせた。

砂川闘争に参加した森田実氏、「砂川事件裁判」を語る

 問題提起の講演に移り、森田氏が、自身が学生運動のリーダーとして関わっていた、1955年から1957年にかけての、米軍立川基地拡張に反対する市民運動(砂川闘争)を話題にした。

 反対運動のデモが米軍基地の敷地に入ったとして、20数名が検挙された砂川事件では、1959年3月に第一審・東京地裁判決(伊達判決)が、改定前の安保条約に基づき、「駐留米軍は憲法9条2項に違反する」と判断して、被告全員に無罪判決を下している。森田氏はこれを、「私の考えと完全に一致する判決内容だった」と改めて評価し、こう述べた。

 「(検察による最高裁への跳躍上告を受け)1959年12月に最高裁が、駐留米軍(外国の軍隊)は憲法9条2項が言う『戦力』には当該しないなどとした、(のちの日米安保改定への足場になる)でたらめな判決を下した。その最高裁判決を根拠にして、『今回の安保法案は合憲だ』と主張しているのが、自民党副総裁の高村正彦氏だが、彼は何も知らない。(砂川事件をめぐる裁判の実質的争点は、あくまでも旧安保条約と駐留米軍の合憲性であり)当時の日本には『集団的自衛権』という概念すらなかったのだ」

 安保法案の国会審議では、6月4日に開かれた衆院憲法審査会で、自民党が推薦した早稲田大学教授の長谷部恭男氏をはじめとする、3人の憲法学者の全員が、「集団的自衛権の行使容認は違憲」と表明した。そのため、政府与党は今国会期末(6月24日)までに採決することを諦めた、との報道も出ているが、森田氏は、「法案を、とにかく早く成立させてしまいたいという、安倍政権の本心に揺らぎはあるまい。衆院では、6月24日までに強行採決するのではないか」との見方を示した。

「誰かが、ホルムズ海峡に機雷を撒くだろう」

 森田氏は、たとえ安保法案が成立しても、1960年に発効した新日米安保条約の時がそうだったように、市民らによる反対活動は継続できるとしたが、法案成立が日本に大打撃を与える可能性があることを、それ以上の調子で強く訴えた。

 「私は、何者かが(意図的に)ホルムズ海峡に機雷を撒くとみている。そうなれば、自衛隊は単独で掃海に従事せねばならないのだが、そこで問題になるのは『掃海が終わるまで、世界が黙って見守ってくれるか』だ。つまり、自衛隊員の中から戦死者が出る可能性があり、仮に戦死者が出れば、多くの日本人から理性が失われ、日本の社会は(開戦の火種とも言える)報復と怨念の感情に覆われやすくなる」

(…会員ページにつづく)

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  1. 武尊43 より:

    何故運動が続かないのか?答えは簡単。お金がないから。金が無ければ人も動かないし、会議を一回開くにもそれなりの資金が必要ですよね。そんな資金を得る方法を確立しないで、何をいくら言っても先には進みません。日本会議を見て下さい。国民皆さんがお賽銭を正月なんかにチャリンチャリンと入れるから、潤沢な事。たった35000人しか会員が居ないのに、国会議員の賛同者が300人。どんだけそういうお金が回っている事やら。共産党だって党費として貧乏人からでも金を集め、新聞を購読させているんですよ。このように何かしらの資金集めの手段を持たなければ、こういうモノは続きません。思想信条だけでは人は動かないのです。選挙はどぶ板。政治活動もどぶ板ですよ。

  2. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    辻恵氏、森田実氏、孫崎享氏、天木直人氏、植草一秀氏、2016参院選に向け「新勢力」創出へ~政府の安保関連法案「砂川判決根拠論」を一刀両断 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/249006 … @iwakamiyasumi
    有権者の「25%」が集結すれば、政権を奪える。投票日に意思表示を。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/612205694981246976

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