中国のミサイルの脅威を言い立てながら、川内原発を再稼働する安倍政権の「矛盾」 ──「これで『国民を守る』なんて二枚舌」~IWJ×FFTV第2弾!(後編) 2015.8.16

記事公開日:2015.8.26取材地: テキスト動画独自
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(IWJテキストスタッフ・関根)

※8月26日テキストを追加しました!

 「山本太郎議員は国会で、川内原発に弾道ミサイルが直撃する可能性について質問した。政府は回答を拒否したが、戦争法案では、中国からミサイルが飛んで来るぞと脅している。本当に中国の脅威があると信じるなら、原発撤去を訴えないといけないはず」──。

 岩上安身は、安倍政権が中国の脅威を強調して安保法制を進める一方で、原発が被弾した際の対策もないまま、川内原発を再稼働させたことを、「戦争をやるのに被害を想定しないのはおかしい」と力説した。

 2015年8月16日、東京・港区のIWJ事務所にて、FoE Japanの満田夏花氏、フクロウの会の阪上武氏、原子力市民委員会事務局の水藤(すいとう)周三氏を迎えて、IWJとFFTVとのコラボ企画第2弾「桜島は序章に過ぎない!? 『充電』された姶良カルデラの脅威! 日本全土を襲う巨大噴火と川内原発再稼働の『愚』」が行われた。

 後半は、原発の高経年化対策の不備、川内原発再稼働をめぐる意思決定プロセスの問題、そして現在、国会で審議中の安保法制とアメリカの覇権戦略という視座から、「原発×戦争リスク」について論じていった。

 阪上氏は、原発推進と戦争法案には政策の矛盾があると指摘。「本当に原発を稼働させるなら、周辺国との平和を確立することが大前提だ」と述べ、 満田氏は、「原発推進の人たちは、安保法制でも、中国と北朝鮮の脅威を信じて、安倍さんに共感してしまうのではないか」と懸念を示した。また、水藤氏は、再処理工場や高速増殖炉の危険性に触れて、「そのリスクを無視して、『国民を守る』なんて二枚舌です」と断じた。

記事目次

■ハイライト

  • ゲスト 満田夏花氏(FoE Japan)/阪上武氏(フクロウの会)/水藤周三氏(原子力市民委員会事務局)
  • 日時 2015年8月16日(日)17:00〜19:00
  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)

再稼働のスケジュールに合わせる原子力規制委員会

岩上安身(以下、岩上)「原発の高経年化対策制度及び運転期間延長認可制度のテーマに移ります。ある原発メーカー技術者は、再稼働は絶対無理と言い切った。常識的に考えても、ずっと止めていたものを動かすなんておかしい、と。しかし、公表できないと言われてしまいました」

阪上武氏(以下、阪上・敬称略)「川内原発は老朽化の問題もあります。1号機は32年目になりました。国の制度では、高経年化対策制度で、30年目と40年目に検査することになっています。まず、30年目に電力会社で劣化を調べ、長期保守管理計画を策定します。

 国がそれを審査し、保安規定の変更申請に盛り込んだものの認可を受けます。認可された段階で30年目を迎え、その先の保安検査で変更を反映させなければならない。国がそれらをチェックするシステムになっています。

 申請は1年前にやらなければならず、現在、特例措置で半年前でもいいとされ、九電は半年前に出したが認可が間に合わず、8月5日に認可された。30年を超えてしまった理由は、新適合審査が同時並行で進んでいたこと。もうひとつは、540ガルから620ガルに引き上げられた基準地震動の変更だった。規制庁は原子炉の停止時の評価を出すように指示。それで認可するとし、再稼働するなら補正申請を改めて提出させることにした。

 川内原発は半年前、運転を前提とした申請をした。つまり、停止時の申請を飛ばした。規制庁は無認可との警告を発せず、30年をまたぐ前日、『条文には30年前までに申請をすればよいとある。だから、法令を満たしている』と判断した。このように、九電の都合に合わせて解釈を変えてしまったのです」

原子炉等規制法違反でも誰も咎めない

阪上「それならば、事業者は申請だけをすればよく、内容は関係なくなってしまい、認可制にした意味がない。さらに、基準に抵触する可能性もある。高経年化対策実施ガイドでは、長期保守管理を運転開始後30年を経過する日に始める、と決まっている。そうなると、認可を受けていない違反状態になるわけだが、その指摘もない。

 菅直人氏が、無認可で再稼働はありえるのかと尋ねると、規制庁は、高経年化対策の充実のための手続きを定めたもので、運転を妨げるものではないと答えた。老朽化した原発を運転をすると、中性子が当たって脆くなり、力が加わり腐食が進むのですが……。

 規制庁は、九電の手助けをしているとしか思えない。原子炉等規制法(保安規定)にも、『運転を始める前に認可を受けなければならない。変更する時も同様』と明記してあるが、規制庁は、『これはスタート時のことだ』と言って逃げている」

岩上「メチャクチャに詭弁を弄していますね。誰か、裁判にしないんですか」

満田夏花氏(以下、満田・敬称略)「私たちが騒ぎ立てたので、彼らもヤバいと思い、8月5日ギリギリにスピード審査で認可したんです。このままでは裁判に負けると思ったのでしょう」

阪上「再稼働については、30年をまたぐ前日に、『保安活動は引続き行なわれている。中性子脆化と低サイクル疲労では急激に悪化することはない。引続き、冷温停止状態が続くと判断』と。彼らは、原子炉が止まっていれば無認可でもいいと思っている。

 田中俊一委員長は、稼働するなら、補正申請をすれば適合性審査をするのでいい、という見解だった。規制庁の中でも、表向きは『認可と運転は関係ない』と言いながら、内実はマズいと思っているのではないでしょうか」

岩上「形式的な話だけではなくて、実際問題、検査をしたら、脆弱な部分や金属疲労などが見つかる可能性はある。検査とは、そのためにやるんでしょう。早期発見すれば、それはそれで安心できる。悪いところを治せばいいのであって、いい加減にやられては困りますよね」

原発も、原子力規制委員会も、規制庁も、劣化している

阪上「認可がすべて終わったと報道されたあと、鹿児島の高木章次さんが老朽化の認可が残っていることを見つけ、県庁に申し入れをして問題になりました。私たちも規制庁に指摘して、再稼働をストップさせようとしたら、規制庁はバタバタと認可を出してしまった」

満田「審査は、九電自身がするので甘くなる。それを規制庁が鵜呑みにして、認可したということです」 

阪上「7月3日、基準地震動を変えたので、再検討しなければならないのですが、現場検証もなし、外部有識者の意見聴取もなしで、認可を出した。実際、資料を検討すると危ないところがある。主蒸気及び主給水系統配管のエルボー部(分岐部位)などの劣化です。これが破損すると炉心冷却に影響する。

 耐震安全性評価では、資料を精査すると、甘く見積もっているのがわかります。それでもギリギリの値です。似たような場所が他にはないのか。実測した値なので誤差はないのか。予測値とのバラツキも考慮したのか。規制庁に聞くと、限界値1よりも低いことを確認した、と答えただけです。

 今回、より大きな地震動(SS2)を設定したが、全部はチェックしていない。九電は従来の540ガル(SS1)で検査をして、厳しいところだけチェックし、残りは2016年7月までに終わらせる、と。再稼働に間に合わせるための審査なのは明らかです。

 規制庁は本来、そういうことを見逃してはいけないはずだが、すべて電力会社に合わせている。規制庁の腐敗。火山の審査でも、彼らは『判断基準について、学術的正しさは判断しません』と開き直ってしまう。また、『火山ガイドなんて厳格に守らなくてもいいんです』とか、規制当局の人間が言ってしまうんです。原発も、規制も劣化しています」 

岩上「法的安定性は関係ないんですね。原子力メルトスルー委員会、と言わざるを得ない」

九州電力に舐められている原子力規制庁

水藤周三氏(以下、水藤氏)「高経年化実施対策ガイドの時は、ひどい答弁でした。ガイドに違反していると指摘すると、『ガイドはあくまでも方針なんで、違反するしないは関係ない』と答えています」

阪上「高木さんが、30年をまたいで認可が下りていないことに対して、九電に聞くと、『罰則規定がありませんから』と。完璧に規制庁は舐められているんです。また、規制側も一緒になって手助けしています。

 美浜3号機の破砕帯のことで、高経年化に関連するスキャンダルがありました。2015年4月6日の、活断層の判断の有識者会合で、石渡明委員は、『後期更新世以降に活動した明確な証拠はない。しかし、絶対に動いていないと否定するような根拠もない』とした。

 2日後、規制委員会の定例会合で、田中委員長は『活断層の証拠はない』とだけ述べ、その後、強引に適合性審査に入った。ガイドでは、活断層がないことが判断基準です。破砕帯が活断層ではないと、有識者会議で確定したかのように誘導したのです。

 なぜ、こんなに急ぐかというと、美浜3号機は2016年で運転40年。関西電力は60年まで延長したい。40年目は認可が遅れてしまうと動かせない。だから、規制庁はとっとと審査に入ったんです」

岩上「しかし、ひどいですね」

聞く耳を持たない、責任は取らない、鹿児島県

岩上「ここからは水藤さんに、『川内原発再稼働をめぐる意志決定の問題』というテーマで話していただきます」

水藤「ずいぶん都会だな、というのが薩摩川内市の第一印象です。九州新幹線も通っている。六ヶ所や泊原発などは過疎地でした。薩摩川内市の財政は原発関連収入が低く、財政比率は13.1%。泊村は77.5%、女川は65.7%、六ヶ所村は60.1%です。

 でも、薩摩川内市の人たちは、原発がないと財政的にやっていけないと思っているのではないか。2014年11月の世論調査では、全国で6割の人が再稼働反対です。鹿児島県民は59.5%が反対。賛成36.8%。ところが、若い人は賛成が多い。残念です」

満田「30代の男性は、原発が経済に影響すると思っているのではないでしょうか」

水藤「伊藤祐一郎鹿児島県知事は、2014年4月4日、(再稼働に)地元同意が必要なのは薩摩川内市と鹿児島県のみ、と発言。周辺自治体は関係ないという」

岩上「とにかく再稼働ありきですね。先ほどから問題になっている地震、噴火を考えたら、周辺自治体だって影響があって大変な問題でしょう」

水藤「鹿児島県、薩摩川内市、九電との間に結んだ安全協定書に、事前協議の項があり、地元同意の根拠になっています。一方、いちき串木野市、阿久根市など周辺自治体の協定書では、事前に説明すればいい、となっています。

 しかし、いちき串木野市では、『実効性のある避難計画がない中での再稼働に反対する署名』1万5000筆(人口3万人)が1週間で集まった。だが伊藤知事は、県外の被害に対する責任は負わないと発言。さらに、『福島原発事故で、福島県知事が責任を取ったのか』という言い方をした。

 怒った水俣市の市民団体が、鹿児島県庁に抗議をした。水俣市は、出水市の避難者約6600人の受け入れ先になっています。規制委員会は、公聴会の要請があれば検討をするとしたが、伊藤知事は『県として要請しない』と断言した」

岩上「聞く耳を持たない。責任は取らない。すごい人を知事に選びましたね。鹿児島県民は自業自得かもしれないが、宮崎県や熊本県はそうはいかない。この知事は、一般人に7000ページの資料は読めないから公聴会は開催しない、とも言ったとか。ずいぶん県民をバカにした人だ」

説明したくない姿勢が見えた「説明会」

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  1. 仲秋 澄長 より:

    IWJがいくら多弱を応援したところで、所詮は多弱なんです。
    訳もなく多弱ではないのですね。

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