九州電力による再稼働が秒読み段階に入った川内原発1号機は、運転開始から32年目に入っており、老朽原発向けの保安規定の変更が法律で義務づけられている。これまで老朽原発では、30年を迎えるまでに変更の認可を受けねばならないとの「30年ルール」が厳格に運用されてきたが、川内原発1号機は2014年7月に30年を経過しており、このルールから逸脱している。
これを違法とみなす複数の市民団体が、2015年8月4日、東京都の衆議院第一議員会館で、「ストップ!川内原発再稼働ありきの高経年化審査を問う<緊急院内集会と政府交渉>」を開き、原子力規制庁の担当者を相手に交渉を行った。
出席した規制庁の担当者は、市民らの追及を、「認可の申請が済んでいれば、審査は30年を超えていい」と退けた。今の法体系では、老朽対策での認可は再稼働の条件でなく、新規制基準をパスすれば再稼働できる。
市民らは、主給水系配管の耐震評価で、リスクの高い箇所の存在が判明している点にも言及。翌8月5日に予定されている、保安規定変更の認可の中止を強く求めたが、これも、「保安規定変更の先行認可と、定期検査はリンクしない」のひと言で退けられた。
形式論的な答弁が続くことに怒った市民らからは、「(規制庁は)自分たちのやっていることにルール上の問題はない、と考えているのかもしれないが、われわれの指摘を押し切って再稼働させた結果、事故が起きたら、規制庁が犯罪行為をしたのと同じだ」との発言も飛び出した。
- 13:30~15:00 院内集会/15:00~16:30 政府交渉/16:30~17:00 まとめ
菅直人元首相「規制庁も、まずいと感じている」
政府への交渉に先立って行われた集会には、菅直人元首相(民主・衆院議員)の姿もあり、「再稼働が強行されようとしている川内原発1号機は、まだまだ問題を抱えている」と表明した。
菅氏もまた、川内原発1号機に「30年ルール」が正しく適用されていないことを問題視しており、今年7月8日に安倍晋三内閣に対し、「原子力規制委による(九電が変更した保安規定の)認可がなされないまま、1号機が再稼働することはあり得るのか」との質問主意書を提出している。
7月17日に届いた答弁書は、「九電から認可の申請が出ている以上、審査・認可はまだでも、運転は妨げられない」との内容だったと菅氏は言う。「老朽化対策で認可されなければ、運転を認めない」とは法律に書かれていないから、再稼働を認める──。それが政府の解釈だった、と説明した。
その上で、「規制庁としても、このままではまずいと感じたのだろう。急きょ、明日(8月5日)認可するという、姑息な対応を見せている」とも話すと、自身も参加する、このあとの政府交渉を実りあるものにしようと、集まった市民らに向かって呼びかけた。
司会役を務めたFoE Japanの満田夏花氏は、「われわれ川内原発1号機の再稼働に反対する市民は、1号機の現状は『法令違反』とみなしている」と力を込め、原子力規制を監視する市民の会の阪上武氏に問題点をさらうレクチャーを求めた。
異例の駆け込み審査に疑問の声
「確かに九電は、2013年12月18日に申請を出しているが、運転開始から30年にあたる2014年7月3日までに認可は下りていない」とした阪上氏は、原子力安全・保安院の時代から「30年ルール」は厳しく運用されてきたことを強調。川内原発1号機の場合は、規制委による新規制基準の導入が響いたとしつつも、「ここまで何もなされずに来てしまった部分に、法的に引っかかる問題点が出てくるが、規制庁はこれまで、『申請していれば大丈夫』の一点張りだった」と懸念した。
阪上氏は、7月3日に九電が、新規制基準を反映させた補正の申請を行ったことにも触れた。「基準地震度が変更されたことを受けて、その補正申請を急きょ行った」とし、「それも、一部の設備(主給水系配管)で危険箇所が見つかっている」と言い重ねた。主給水系配管の耐震評価に、疲労累積係数が運転開始から40年で許容値1を下回る、との試算結果が九電から出されたのだ。
元東芝の原発技術者で原子力市民委員会のメンバーでもある後藤政志氏は、「原発は、古くなれば各所が痛むのは自明。(老朽化した原発に接する折は)リスクがそれだけ高まっているという前提に立つべきだ。特に配管類は、中に水が流れているため腐食や減肉、あるいは割れが生じるが、その度合いの評価にはバラつきが出る。したがって、評価は部分的なものであってはならない」と力説した。
満田氏は、「古い原発は検査自体が難しいのに、規制庁は今、九電が7月3日に出した補正申請を、わずか1ヵ月でスピード審査し、それに関しては現地検査を行わないようだ」とした。規制庁は4月に現場検証を実施しているが、補正申請がなされた後の、さらなる現場検証は行われていない。
規制庁には「ここまでやった」との誠意が見えない
九州電力と日本政府は、川内原子力発電所の再稼働を行いました。刑事的には、殺人予備罪に該当します。未必の故意が認められます。古い原子炉の容器は、熱中性子にさらされて、原子番号の変化によって、ムラを生じ、温度が低くなれば、ガラスの様に壊れ易くなるのです。 民事的には、無主物でも、事故でまき散かされた放射能は、電力会社と日本政府に責任があります。そうで無いなら、国民は、ゴミをどこに捨てても良いことになります。また、政府は、因果関係を隠すため、癌登録法、特定秘密保護法を同じ日に成立させました。我々は、不幸にして無くなった被爆者の解剖所見を積み上げ、彼らに、対抗すべきでしょう。しかし、情報を正しく広め、天皇象徴共和国日本を選挙を通じて実現し、誤ったマスコミ、行政を抜根的に改革するのが早道でしょう。