鹿児島から訴える川内原発再稼働の不当性――市民らが原子力規制庁と院内交渉・集会 2014.12.11

記事公開日:2014.12.24取材地: テキスト動画
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(IWJ・細井正治)

※ 12月24日テキストを追加しました。

 再稼働阻止全国ネットワークが12月11日(木)、参議院議員会館の講堂で、原子力規制庁との院内交渉集会を開催した。

 伊藤祐一郎鹿児島県知事による根拠がないままの川内原発再稼働への「同意」をはじめ、九州電力が実施を明言した火山観測点設置、「証明できなければ廃炉」と言われた岩石学調査を行っていないことなど、いまだにある多くの問題点が浮き彫りになった。

 川内原発の地元鹿児島からは、共催の「反原発・かごしまネット」代表の向原祥隆さん、「鹿児島反原発連合」の松元成一さんらが参加。原発立地の浜岡原発がある静岡や、女川原発がある宮城、また宮崎や熊本などからも計52名が参加した。

 対する原子力規制庁からは中桐裕子・原子力規制部安全規制管理官(PWR担当)付補佐(総括担当)、渡邊桂一・同上(地震・津波安全対策担当)付補佐(企画担当)、村田真一・同上(BWR等担当)補佐(企画担当)3名が出席した。

■ハイライト

  • 日時 2014年12月11日(木) 13:15~
  • 場所 参議院議員会館講堂
  • 主催 再稼働阻止全国ネットワーク

肝心の「根拠」「データ」がない

※以下、交渉に先立って行われた事前集会での発言要旨を掲載します

司会「今回の発端は先月11月7日、鹿児島県議会と知事が再稼働に同意、問題発言した。その後も工事計画、保安規定の審査が毎日のように行われているが、報道されていない」

たんぽぽ舎・山崎久隆さん「九電は何しろデータ空白が多い。結果を出す手前、根拠が不明。『企業機密』というが、お手盛りで都合よく加工しているのではないか、と疑われて当然。これでは情報公開になっていない。つまり追試、検証、信用できず非科学的。

 第二に、事故の想定が甘すぎる。典型的なのは蒸気発生器の細管の高温ラプチャー、クリープ破断。福島原発事故の2号機同様。たとえ格納容器が壊れなくても放射能汚染を放出してしまう」

鹿児島県知事「同意」会見は「安全神話」に逆戻り

※以下、規制庁との交渉での発言要旨を掲載します

――(伊藤 祐一郎知事発言「命の問題は発生しない」について)川内原発は事故が起きても5.6テラベクレル(7日間)だけで、命の問題など起こらず、30km圏の『同意』どころか避難計画も不要、などと伊藤知事は言ったが、正しいか

中桐裕子・管理官補佐(以下、中桐・敬称略)「知事発言にコメントする立場にない。ただし、5.6テラベクレルを超える事故が絶対に起きないとは言えない。もう「安全神話」に陥らないよう自戒。避難計画については内閣府の原子力防災会議のほうで確認したということでコメントは控える」

――原子炉技術者の後藤政志さんは、「この九電の想定は、あくまで格納容器が壊れない前提。メルトダウン、メルトスルーの時、水冷するが、ヘタすれば水蒸気爆発が起こる」と懸念。起こらないというなら、その根拠は?

 また、水素は18%になったら燃やして減量できるのだというが、どうセンサーで計測できるか? 濃過ぎたら逆に大爆発の危険もある。 中桐「新基準では、事故発生から冷却までの流れを、かなり細かくシークェンスごとに、水素濃度も算出させ、濃度ムラ、燃焼装置自体が発火源になる危険性や、濃度分布、事業者がどう確認するか、についても議論されている」

――「だから、その根拠は?」

 中桐氏は、中身については答えられないとし、議事録上「確認」されたという項目を繰り返した。

「説明できていない、あなたたち自身が理解できていないから」

――どれぐらいなら爆発する、ここまでなら大丈夫だからとか、もっと具体的に。冷却されていかないと格納容器の上部に水素が溜まっていく。それで爆発する。メーターが日本の原発に付いているのか。

中桐「メーターがどこに付いているとか、実験をどこまでしているのか、資料が今ないが、シミュレーターでは計算されている。水素濃度が上がったら、小さく燃焼させ低減させる対策を、基本設計として今回採り入れたので、法律で5年猶予とかはない」

――それらは全部電動か? ならば全電源喪失でダウンし、復旧時に火災が起こるパターン?

中桐「今資料がないが、重大事故、SBO(ステーションブラックアウト、全電源喪失)でも、最低限の操作ができるよう非常用電源、水も確保している」

――それではダメ。福島原発事故を踏まえ、SBOが起き、電源、人手がなくても原子炉が自己制御的に、安全に推移する設計が基本。そうでなければ認可してはいけない。

中桐「水蒸気爆発については大規模実験が一部行われ、知見があり、事業者が対策をとるとの議論が行われている。シミュレーションコードが開発され、格納容器の破損確率の論文を参照し、事業者が実機のデータを当てはめ確認している」

――いつどこで誰がしたのか。まったく納得できない、説明できていない。あなたたち自身が理解できていないから。

司会「予定時間が過ぎているので次に移るが、知事発言と規制委の明らかなズレを再確認した」

川内原発の工事計画認可と保安規定の審査状況、今後の再稼動までの見通し

中桐「九電が補正を9-10月、断続的に出したが、基本方針を落としこむ段階で設置変更審査時の議論と整合的でなかったり、起動条件でも記載不備などで遅れ、1号機が12月第二週まで、2号機がその後2、3週間遅れ、その後、保安規定再補正も提出の予定」

――工事はまだやっていないか? 中桐「福島原発事故後、旧保安院、安全委員会の指導や、事業者が自主的に緊急対策をしてきており、それらの工事は、規制委としてはあえて止めず、使用前検査で確認する」

――本来、審査書合格→工事計画(施工方法・日程・場所)認可→着工のはず。勝手に(工事を)やっていたら後で検査できない。全部やり直しになる。取り消した例はあるのか? 検査はいつ誰がするか。事後では目視しかないと思うが。

中桐「基本的には検査官。使用前検査で一つ一つ確認する。事業者自らの検査結果を間接的に検証するものも含め、検査方法も担当が検討中。

 あくまでも基準は、個別の原発ごとでなく、そもそも既成現存の原発に対し、最新の知見が出て来次第、随時見直していく。定期検査も法定で、川内原発の場合は途中までなので残った項目も必要だが、それが終われば再稼働を止める法的規制はない」

基準が決まらないまま先に再稼働する ?!

渡邊桂一・管理官補佐(以下、渡邊・敬称略)「現在、噴火が川内原発におよぶ確率は相当に小さいと判断、その上で、それが今後も続くか検討。稼働を止め、退避させるのは事業者の経営判断とは別に、規制当局としてやらねばならず、その統一基準を作る」

――決まっていないのに原発を先に稼働させるのがおかしい。仮に再稼働させた場合、核燃料は退避まで5年は冷やさなければならないと田中委員長も言っているが、鹿児島大学の井村隆介先生は5年以上前に予測などできないと言っている。また、姶良(噴火)は2-3万年以内に確実に起こると。

 川内原発を再稼働したら最大あと30年だが、その後の核のゴミの置き場も未定で、百年ほどプールされると確率が200分の1に高まる。藤井先生は『膨張しない、そのまま沈み込む、兆候が見えない時もある』と言っているし、1年前に見えても遅い。それなのに、再稼働しながら考える、というのはあまりにひどい。

 渡邊「規制委としては、地下マグマの状況とか、従来の地球物理学の研究蓄積を踏まえ、運用期間中に巨大噴火が起こる確率は充分小さいと考えている。GPSだけでなく、微小地震だとかも考慮し、九電も自分たちで観測点を設置すると言っているし、気象庁など公的観測網も含める」

――火山モニタリングは誰がやる? 渡邊「九電もやるが、規制局としても監視していく。検討チームに専門家も参加いただき、今後議論していただく」

事故対応できるのはいつまで? どこまで?

(…会員ページにつづく)

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