「中央構造線が何回も動いているのは明らかなのに、電力会社や国は原子力発電所を作り、さらに再稼働をする」――岡村眞氏講演会「南海トラフ巨大地震の最新情報と伊方原発」 2015.2.28

記事公開日:2015.3.5取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(テキスト・スタッフ:関根かんじ)

※2017年5月10日、テキストを追加しました。

 政府の地震調査委員会は4月27日、「全国地震動予測地図」の2017年版を公表した。今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が、2016年版の公表値に比べ、太平洋の南側を中心に微増した。

 調査結果によると、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が最も高いのは、千葉市の85%だった。横浜市と水戸市の81%、静岡市の68%が続いた。東京は47%、大阪は56%、名古屋は46%だった。

▲今後30年間に震度6以上の揺れに見舞われる確率(平均ケース・全地震)(「全国地震動予測地図2017年版の概要」にIWJで加筆)

▲2016年との比較(「全国地震動予測地図 2017 年版の解説」より)

 一方で、原発再稼働の動きが加速し、日本政府が真剣に巨大地震襲来に備えているとは言い難い現状が浮き彫りになる。

 「東北大震災の津波は、決して想定外ではなく、想定しなかっただけのこと」――。

 2015年2月28日、愛媛県松山市で岡村眞(まこと)氏の講演会「南海トラフ巨大地震の最新情報と伊方原発」が開催された。高知大学特任教授で、内閣府中央防災会議「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会」委員、内閣府「南海トラフの巨大地震モデル検討有識者会議」委員も務める地震地質学者の岡村氏は、この日の講演の中で、電力会社や国の、地震や津波に対する認識の甘さを幾度となく批判した。

 岡村氏は、「地震は災害ではない。人間が災害にする」と語り、東日本大震災では、その認識のなさが避難を遅らせ、甚大な被害を招いたと指摘する。また、会場に駆けつけたジャーナリストの広瀬隆氏も、急遽マイクを握り、西日本の人たちの原発事故への認識の甘さに苦言を呈した。

 岡村氏は、「小さな揺れでも、地震の揺れが長ければ長いほど、津波の規模は大きくなる」とし、「南海トラフ大地震は四国全域が震源域だ。東北大震災では地震発生後の1分間で、石巻が1メートル5センチ、女川で1メートル50センチ、地面が下がった。瀬戸内海の海岸線の場合も、地盤が下がってから津波が来ることを知っておいてほしい」と警鐘を鳴らした。

 広瀬氏は、伊方原発3号機のMOX燃料の危険性について警告した。「MOX燃料は、通常の燃料と比べて、12センチのコンクリートも貫通する中性子線が約1万倍、ガンマ線は約20倍。使用済みMOX燃料は、地下に埋められる温度に下がるまでに約500年かかり、ずっと貯蔵プールに保管する。愛媛の方々は、これを受け入れていることをもっと自覚してほしい」と声を大にした。

※2016年8月12日、伊方原発3号機(MOX燃料)が再稼働した。鹿児島県の川内原発、福井県の高浜原発に続き、新規制基準下では3番目の再稼働となった。

記事目次

■ハイライト 岡村眞氏

■ハイライト 広瀬隆氏

  • 主催あいさつ 古茂田知子氏(愛媛の活断層と防災を学ぶ会代表)
  • 講演 岡村眞氏(高知大学総合研究センター防災部門特任教授、地震地質学)
  • 質疑応答/話 広瀬隆氏(作家)/質疑応答
  • 閉会あいさつ 渡部伸二氏(愛媛の活断層と防災を学ぶ会事務局長)
  • 日時 2015年2月28日(土)13:30~
  • 場所 コムズ(愛媛県松山市)
  • 主催 愛媛の活断層と防災を学ぶ会

中央構造線が、今まで何回も動いているのは明らかだ。東北大震災の津波は、決して想定外ではなく、想定しなかっただけ!

 主催者の挨拶ののち、岡村眞氏が登壇し、開口一番、「日本最大の活断層、中央構造線断層帯が、今まで何回も動いているのは明らかだ。しかしながら、電力会社や国は『1万年間、動いていない』として原子力発電所を作り、さらに再稼働をする」と憤りをあらわにした。

 続いて、40メートルもの津波が押し寄せたスマトラ島沖地震(2004年)、最大30メートルの津波を記録した北海道南西沖地震(1993年)、明治三陸地震(1896年)の前例を挙げ、「リアス式海岸では、30メートル以上の津波が来るのは決して想定外ではない」と強調。「津波は想定外」とした東電の言い訳を糾弾した。

▲岡村眞(まこと)氏

 また、「経験したことがない」という言葉に対しても、気象観測が始まってわずか100年程度でしかなく、地球の歴史から見ても、そういう事象に遭遇するのは当然だとし、「東北大震災の津波は、決して想定外ではなく、想定しなかっただけのこと。私たちは自然に対する謙虚さをなくしていた。社会全体に蔓延していた安全神話があった」と戒めた。

 今回の原発事故は、社会のあり方を根底から問い直すことになった、と話す岡村氏。「経済成長の限界、世界情勢の急激な変動の中、どう生きるか、どんな社会を作るのかが試されている。学者はわかっていることだけを言い、わからないことには口を閉ざす。そうではなく、わからないことは、はっきり『わからない』と言うべきだ」と口調を強めた。

松山市や伊方原発の真下を走る中央構造線は、1000年で8メートルほど動き、力を溜め込むこともわかってきた

 岡村氏の専門である地震の話題に移り、「何が大地震の引き金になるかは、まったくわかっていない。60年前、マグニチュード9.5というチリ沖大地震があったが、将来も(大きな地震が)必ず起こることには変わりない」と説明。南海トラフ大地震に関しては、「東北で起きたことが、関西以南で起きたらどうなるか、と話しているにすぎない」とした。

 東北大地震で動いた断層は、北が青森と岩手、南は茨城と千葉付近で動きが止まったようだが、どこまで割れたかは明らかになっていないという。

 「地震はマグニチュードが増えても、揺れには上限がある。だが、津波の高さは際限がない。松山市や伊方原発の真下を走る中央構造線も、1000年に8メートルほど動いていて、最近は、力を溜め込むこともわかってきた。

 ある区域では1000年間も動いていないところもあり、注意が必要だ。震源が海底の遠いところだと、地震の揺れは水平に動くが、これが震源近くになると上下動の激しい地震になる。建物は上下動に、より弱い」と警鐘を鳴らした。

地震は災害ではない。人間が災害にする。震度7でも、上から物が落ちてこない運動場の真ん中にいれば死ぬことはない

 岡村氏は、電力会社で活断層の危険性を話すと「科学的根拠がない」と非難される、と明かす。

 「彼らは過小評価された資料に固執し、決して他を認めようとしない。亡くなった福島第一原発の吉田 (昌郎)所長は、『正しく地震や断層の危険を理解したら、日本には原発は作れない』と言っていた。マスメディアも勉強せず、記者会見で聞いたことを鵜呑みにし、客観的な記事を書こうともしない」と憤懣を口にした。

(…会員ページにつづく)

アーカイブの全編は、下記会員ページまたは単品購入よりご覧になれます。

一般・サポート 新規会員登録単品購入 300円 (会員以外)

関連記事

「「中央構造線が何回も動いているのは明らかなのに、電力会社や国は原子力発電所を作り、さらに再稼働をする」――岡村眞氏講演会「南海トラフ巨大地震の最新情報と伊方原発」」への3件のフィードバック

  1. うみぼたる より:

    広瀬隆さんのお話を聞いて、フクイチ3号機はMOX燃料を使っていたのですから、汚染水も1,2号機の汚染水とは内容が違うと思うのですが、汚染水は各原発ごとに分けて浄化と保管をしているのか、それとも混ぜてしまっているのか、
    疑問を持ちました。

  2. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    【愛媛】岡村眞氏講演会「南海トラフ巨大地震の最新情報と伊方原発」(動画) http://iwj.co.jp/wj/open/archives/236157 … @iwakamiyasumi
    後半には広瀬隆さんの講演もあります。伊方が抱える危機に愛媛県民が気付いてほしいな。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/577249144621789184

  3. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    「中央構造線が何回も動いているのは明らかなのに、電力会社や国は原子力発電所を作り、さらに再稼働をする」――岡村眞氏講演会「南海トラフ巨大地震の最新情報と伊方原発」 https://iwj.co.jp/wj/open/archives/236157 … @iwakamiyasumi
    東日本大震災の津波は、決して想定外ではなく、想定しなかっただけのこと。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/985115532020953090

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です