【御嶽山噴火】桜島噴火の前兆の可能性も!? 現在の火山予知の限界「モニタリングで川内原発周辺の巨大噴火を予知するなど夢物語」と火山学者・小山真人氏が緊急直言 2014.9.29

記事公開日:2014.9.30取材地: テキスト動画独自
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(取材・記事:原佑介)

 27日、前触れなく、突如として噴火した御嶽山。多くの登山客を巻き込み、29日午後8時時点で死者10名、心肺停止者が26名出ており、現在も自衛隊の救助は続いている。IWJは29日、火山学者であり、静岡大学防災総合センター副センター長で同大学教育学部教授の小山真人氏に緊急インタビューを行った。

 規制委は、九電の「火山の噴火をモニタリングで予知できる」とする主張を認めた。川内原発の再稼働へ向けた準備は着々と整いつつある。菅官房長官は29日、予期せぬ御嶽山の噴火を受けた上で、「(川内原発の再稼働に影響は)ないと思う」と発言した。楽観的にみえる国や事業者らの危機管理を、火山の専門家はどう見るのだろうか。

■イントロ

  • 日時 2014年9月29日(月) 12:00頃〜
  • 場所 国立静岡大学教育学部附属浜松小学校(浜松市中区)

「水蒸気噴火がマグマ噴火に発展する可能性も?」火山のメカニズムとは

――私たちは火山の知識がほとんどありませんので、初歩的なことからうかがいたいと思います。今回の御嶽山では、噴火の約2週間前に地震活動が活発化しましたが、気象庁は前兆現象と判断できず、予知できなかったといわれています。今回の噴火は、突然のものだと思いますが、「噴火のメカニズム」というのはどういったものなのでしょう。突然前触れなく噴火するものなのか、お聞かせ下さい。

小山「今回の噴火は水蒸気噴火といって、地下水が突沸したような、いきなり沸騰して爆発したという種類のもの。噴火のメカニズムのうちの一つです。他には、本格的な噴火は、マグマのガスが発泡して浮き上がり、マグマそのものが出てくるというものです」

――どれくらいの頻度で我々の生活に影響するような噴火が起きうるのでしょうか。

小山「火山によりますが、御嶽山に関しては、マグマが出てくるようなものは数千年に1回。今回のような水蒸気噴火は数百年に一回は起きてきたみたいですね」

――これからまだしばらく噴火が続くという話もありますが、それはまだ一連の噴火が収まっていない、ということですか?

小山「そうですね。79年の噴火のときは一発で終わったみたいですが、こういう噴火は繰り返す場合もありますので、今後どうなるかはわかりません。繰り返す場合もあります。

――水蒸気噴火よりもマグマ噴火のほうが、被害が大きいということでいいですか?

小山「そうですね。そっちのほうが本格的な噴火ということになりますので結構怖いですが、今回の噴火がそこに至るかはわかりません」

――今回の水蒸気噴火がマグマ噴火に発展する可能性も?

小山「もちろんあります。1991年の雲仙普賢岳(うんぜんふげんだけ)の噴火(※)のときは、その半年くらい前から今回のような水蒸気噴火が始まって、度々起きて、ついに翌年のマグマが本格的に地表に姿を見せた。その後何年か続くわけですね。御岳の歴史をみれば可能性少ないが、そういう可能性も今のところ残っています。

 91年の雲仙普賢岳では、最初に小規模な噴火が始まりました。その前にやっぱり地震活動があり、翌年の5月にマグマが姿を見せ、火砕流の噴火に至る、という一連の流れがありました」

(※)1990年11月から噴火活動を再開した雲仙普賢岳は活発な活動を続け、1991年6月3日、噴火開始後最大規模の火砕流が発生し、死者・行方不明者43人の被害をもたらした。噴火活動は長期化し、土石流や火砕流等により家屋、道路、農地等に甚大な被害をもたらした。内閣府HP参照。 http://www.bousai.go.jp/kyoiku/kyokun/kyoukunnokeishou/rep/1990-unzenFUNKA/index.html

――雲仙普賢岳の場合は前兆をつかみ、予知できていたということになるのでしょうか。

小山「雲仙普賢岳の場合は上ってくるのが見えていましたので、そういう意味ではある程度予知できていましたけど、マグマが出てくるかどうかは、水蒸気噴火が始まった段階ではわかりませんし、火砕流が繰り返すことになるともわかっていませんでした」

――今回の水蒸気噴火だけでも降灰や火山ガスなど、大きな被害が発生しています。これらはどのような身体的な影響をもたらすのでしょうか。

小山「今回の噴火は、噴火としては小規模なんですが、それがたまたま登山者の目の前で起きてしまったということで非常に不幸な事件だったと思います。どんな噴火でもある程度熱いものが吹き出す現象ですから、熱による被害は出ます。水蒸気噴火ですからそれほど高熱ではありませんが、かなり熱い思いをしたという方がいらっしゃいます。熱いものが吹き出してきますから、巻き込まれると火傷をし、肺や気道をやられる場合があります」

――御嶽山は活発な火山、という位置づけになる火山なのでしょうか。

小山「数年に一回は地震を起こして、そのうちのいくつかは小規模な噴火に結びついています。79年以降は活動的だったと言えます。しかし、79年以前は有史以来、活動記録がみつかっていないので、79年以降に目を覚ましたといえます」

――それまでは火山として認識されていなかったということですか?

小山「いえ、活動記録はありませんが、活火山として認識されていました。きちんと新鮮な噴火の地形が残っているという点で注目され、79年以前から『活火山リスト』に載っていました。こういう火山はほとんどなく、御嶽山と伊豆東部火山群は、有史以降の活動がありませんでしたが、活火山と認定されていました。その辺は先見の目がありましたね」

――御嶽山で大きな噴火の可能性は?

小山「あるかもしれないが、それが見通せないですね」

――噴火は不確かなものですか? 今の科学でも?

小山「そうですね。なにも異常な現象がおきていなければ、次にいつ目覚めるかは分からないです。どこの火山でも一緒です。地下で進行している何らかのプロセスを、私たちは直接見ることができないので、地表で感じる異常現象がなければ分かりません。マグマだまりで起きていることを直接見ることができなければわかりません」

――なんの反応もなく、急に爆発するようなケースもあれば前兆がある場合もある?

小山「マグマが大量に上がる場合は、周りの岩石を押し上げて登ってくるので、それなりの前兆がある場合が多いです。地殻を押し広げて上ってくるのときの「バリバリ」と割れる地震や、地面の膨らみと伸び、そういったものは、大規模噴火の前には観測された例がいくつかあります。必ずではありません。

 有珠山の2000年噴火はその例です(※)。地震が起こり、地殻が伸びたので事前の警報が出せて避難させることができました。噴火の規模は御嶽山よりもはるかに規模としては大きいですね。実際にマグマが地表近くまできましたから。同じ火山でも、必ず噴火が予知できるわけではありません。予知できない噴火をするものもあります。警報のシステムもありますが、それは予知できた場合にのみ有効であって、予知できない噴火では警報は出せません。

(※)※2000年3月31日、有珠山からマグマ水蒸気が爆発。近くの国道は、地盤の隆起と断層により破壊され、通行不能となり、洞爺湖温泉街まで熱泥流が流下。西山川に架かる2つの橋が流失した。火口に近い地域では噴石や地殻変動による家屋の破壊が多発し、広い範囲で地殻変動による道路の損壊が発生した。3月29日に気象庁から緊急火山情報が出されたことで、壮瞥町・虻田町(当時)・伊達市の周辺3市町では危険地域に住む1万人余りの避難を噴火までに実施する事ができた。(洞爺湖町HP参照)

御嶽山の今後「噴火が収まっていけば幸運なケースだが、水蒸気噴火を繰り返す可能性も」

――御嶽山では今も救助活動が続いていますが、 今後、どうなるとお考えですか。

小山「噴火が収まっていけば、幸運なケースです。しかし水蒸気噴火を繰り返す可能性がありますので、 今は非常に用心しながら救助活動をするしかないと思います。

――噴火したときの救助活動の対策はどれくらいできているものなのですか?

小山「きちんとした対策はできていないですね。雲仙普賢岳の時の経験はありますが、火砕流は雲仙普賢岳のときは400度くらいあり、非常に危険でしたが、今回はそこまでの温度はない。今回は高くても100度くらいなので、ある程度、温度の対策があれば救助活動は続けられると思います。ただ、山頂に装甲車とかの装備をあげるのは、(地理的な問題で)難しいと思います。

――日本が火山大国であることは素人の僕でも知っている事実ですが、日本にはどれほどの火山があるのでしょう。我々はどのように警戒すればいいのでしょうか。

小山「気象庁によって110の火山が活火山に指定されています。身近な活火山に気を付ければいいと思います。110という数は多いほうです。カムチャッカには200 、インドネシアにも100いくつかありますが、日本も活火山が多い国の一つです」

――小山先生は『富士山大噴火が迫っている』という本を出し、警鐘を鳴らされています。江戸時代中期の1707年(宝永4年)には宝永大噴火(ほうえいだいふんか)がありました。噴火の49日前にはM8.6超の宝永地震が起きて、引鉄となっていますね。今、南海トラフの東海大地震が警戒されていますが、富士山の噴火の危険性を教えてください。

小山「富士山は歴史をみても10回は噴火している活発な火山です。宝永の噴火以降、何もない、おとなしい時期にあるかと思います。奈良・平安時代は50年に一回のペースで噴火していました。中世以降は数百年に一回の頻度になっています。(宝永噴火からすでに300年が経っているので)そろそろ噴火が起きてもおかしくありません。

――富士山が大規模噴火したら、どのような被害が出るのか、シミュレーションを教えて下さい。

小山「ハザードマップが2004年につくられ、公表されています。地元の自治体に配布され、それをもとに避難計画の作成が最終段階に入っています。富士山噴火は色々なパターンがあります。

 例えば溶岩を流すもの、宝永噴火のように大量の火山灰を空高く吹き上げ撒き散らすもの、雲仙普賢岳のように火砕流を起こすものなど、パターンに応じて、どこまでが影響範囲かはシミュレーションや経験則からハザードマップにし、公表しています」

――宝永大噴火規模のものが、東海大地震で起きた場合、都市機能はどうなるのでしょう。新幹線も通っていますし、住民のみなさんも住んでいます。首都圏だって近い。

小山「宝永噴火みたいなものは富士山でも珍しいので、次にああなるかはわかりませんが、仮に宝永噴火と同じような規模であれば、まずは物流や交通はストップします。かなりの影響が出ると思います。宝永噴火は、基本は火山灰を大量に吹き出したものなので、火山灰では人は死ぬわけではないので、火山灰を避ける丈夫な建物に避難すれば避けることができます。

 ただ、木造の建物だと、だいたい30cm積もれば屋根が抜けます。火山灰は重いものですから。そういう場所では、事前に予測できた場合、頑丈な建物へ避難させなければならない、ということになっています。

――では、事前に予測できた場合、ハザードマップに従って避難すれば大惨事にはならない、ということですか?

小山「それは火山灰に限った話です。溶岩流も流れる速度が遅いので、避難すれば助かります。建物などは燃えてしまいますが、人命に関わり、すぐに避難しなくてはいけないのは、『火砕流』と、『融雪型泥流』です。(融雪型泥流とは)富士山は雪が積もっている時に噴火が起きると、水が大量に溶け、一気に麓まで土石流などが流れてくるというものです。これが非常に危険です。火山灰が10cm以上積もった山の麓にいる人は、土石流を警戒しなければならない、ということです。10cmはちょっとした噴火でも積もることがあります。噴火の規模が大きければ、土石流のようなものが物流に影響を与えることはありえます」

――今、話の前提にしたのは、東海大地震と富士山噴火の複合災害です。ハザードマップで予測できていないことも起こりうるのではないでしょうか

小山「ハザードマップですべてのことが網羅できているかというとわかりません。できる限りの知恵は尽くしていますが、想定外のことは起こりうると思っていいし、ハザードマップに含まれなかった『頻度の小さい現象』もあります。『山体崩壊』という現象が、今のところ『想定外』になっています。

 (山体崩壊とは)富士山のような高くそびえる火山は噴火や地震で大規模に崩壊し、麓を土砂崩れのようにして覆ってしまうことがあります。富士山の10万年の歴史の中で5000年に一回は起きています。最近では2900年前に実際起きています。地質学的にみれば最近です。頻度が小さいから、という理由でハザードマップには入れていませんが、私は入れるべきだ、と主張してきました。次のハザードマップの改訂には山体崩壊に関しても避難計画を立てていけるかと思います。

 頻度が小さいからといって何もしなければ3.11のようなことになる。それを3.11で私たちは学びましたよね。よく誤解されていますが、「頻度が小さい」といっても、『頻度が大きい』ものから順に起きていく、という意味ではありません。次は頻度が小さい現象が起きるかもしれない。その時にお手上げにならないようにするのが私は本当の防災だと思っています。今起きれば完全にお手上げになります。事前に対策が打てるものはやるべきです。

 アメリカのセント・ヘレンズ山の山体崩壊が起きたとき、前兆が観測できました。富士山でも観測できるかもしれません。防げない現象なので、逃げる手立てを立てておく、ということですね。

「モニタリングで巨大噴火を予知できる」という規制委の欺瞞

――川内原発についてお聞きしたいと思います。原子力規制委員会は、海外のとある一つの論文を持ちだして、鹿児島の桜島で「巨大噴火が起こる可能性は十分に小さい」と結論づけ、さらに「モニタリングを行うことで巨大噴火を予知でき、さらに予知してから噴火までに核燃料を搬出する十分な時間がある」と判断しています。

 事業者の九州電力は、巨大噴火の早期の段階であるマグマ供給時の地殻変動や地震活動を観測することで「モニタリング」を行う計画であると主張し、再稼働しようとしています。このような状態で再稼働にGoサインが出ることについて、先生のご見解をうかがえますか?

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「【御嶽山噴火】桜島噴火の前兆の可能性も!? 現在の火山予知の限界「モニタリングで川内原発周辺の巨大噴火を予知するなど夢物語」と火山学者・小山真人氏が緊急直言」への3件のフィードバック

  1. 猫公爵 より:

    つい先日、NHKスペシャル「巨大災害4・火山大噴火」を視ました。

    今、桜島の下には地下5kmに巾1kmの、地下8Kmには巾5kmのマグマ溜りがあって、前者は桜島の真下、後者は鹿児島湾の真下にあることが地震波トモグラフィーで分かっているそうです。

    大噴火は想定内であるべきです。九州電力は無責任な再稼働申請を直ちに中止すべきです。

    1. 猫公爵 より:

      NHKスペシャル「巨大災害4・火山大噴火」の内容の追加です。

      地盤上昇を計測すると、大正大噴火を起こした直後、激しく地盤沈下したが、年間1cmずつ上昇し、起こした元の水準まであと少しで達する。よって、桜島の大噴火は既定路線とのこと。

      5年以内かどうかは分かりませんが、10年以内には確実に起こるのではないでしょうか。

  2. 居残り佐平次 より:

     心肺停止が20数名いるという、不思議な報道になっているのは、最終的に死亡を診断できる医師が現地に入っていないということであり、現実的には心肺停止=死亡ということですね。亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。
     
     今回の噴火による事故は、そもそも火山噴火予知連絡会も地震予知連絡会も、信頼できる予知能力なんて持っていないことを再確認させてくれました。さらに川内原発再稼働と結びつけて考えてしまいますね。

     産経新聞の報道ですが、安倍首相が自衛隊に災害派遣出動を指示した、と。それは形のうえのことであって、現実的には長野県知事が災害の規模から必要性を判断をして、自衛隊に災害派遣要請をするわけです。要請が来ればそれを却下するはずはありません。まるで安倍さんが陣頭指揮を執っているかのように報じるあたりがさすがです。

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