2013年5月25日(土)13時30分から、愛媛県松山市の男女共同参画推進センターコムズで、「長沢啓行講演会『伊方原発は地震に耐えられるのか』」が開かれた。長沢啓行氏は、7月に施行予定の原子力規制委員会が定める原発の新規制基準と、伊方原発の耐震安全性に言及し、「伊方原発の再稼動に反対する」と訴えた。
(IWJテキストスタッフ・富田/奥松)
2013年5月25日(土)13時30分から、愛媛県松山市の男女共同参画推進センターコムズで、「長沢啓行講演会『伊方原発は地震に耐えられるのか』」が開かれた。長沢啓行氏は、7月に施行予定の原子力規制委員会が定める原発の新規制基準と、伊方原発の耐震安全性に言及し、「伊方原発の再稼動に反対する」と訴えた。
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「一昨年の東日本大震災の恐ろしさを知るわれわれとしては、伊方原発は果たして、新安全基準の下で大丈夫なのか、という視点で問題提起していく」。登壇した長沢氏は、こう宣言してスピーチを始めた。
まず、地球の外殻図などを会場のスクリーンに映し出し、地震発生のメカニズムを解説した。その後、1995年に起きた阪神・淡路大震災を話題にし、「あれは、マグニチュードが7.3の中規模地震だった。その中規模地震でも、甚大な被害が発生した。当時、地震学者は『警告できずに、申し訳ない』と、総懺悔の状態だった」とした上で、これとは対照的な態度だった原発推進側の地震学者の認識の甘さに言及した。「彼らは『原発の施設は(地震が起こっても)絶対に大丈夫、何かあったら原発施設に逃げなさい』の一点張りだった」と明かした。
90年代後半から2000年代初頭にかけて、日本各地に発生した地震から得た教訓を生かす形で、2006年には新耐震設計指針が策定された。長沢氏は「学者たちが危険視してきた活断層では地震は起こらず、それ以外の場所でマグニチュード7以上の地震が頻繁に起こった。それを受けて、活断層の評価手法が変更された。その変更された評価手法を、日本の原発施設にも適用していたら、その時点で、日本のすべての原発は停止していたかもしれない」と語り、世界中に多大な影響を与えた『フクシマ・ショック』は未然に防止できた可能性があったことを示した。
スピーチの終盤、長沢氏は「伊方原発の再稼動は、危険である」と訴えた。理由として、四国電力が設計上想定している570ガルという地震時の最大の揺れ加速度は、2008年の岩手・宮城内陸地震や(約4000ガル)、2004年の新潟県中越地震(2000ガル超)に比べて極端に低いこと、この7月に施行予定の原発の新規制基準は、津波対策は強化された半面、揺れによる同時多重故障が想定されていないことなどを挙げ、「福島原発事故のような事態を起こさないために、伊方原発は再稼動させるべきではない」と力を込めた。