原発から脱却し地域経済の再生を 村田武氏講演 2013.2.23

記事公開日:2013.2.23取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・花山/奥松)

 2013年2月23日(土)13時30分から、愛媛県西予市の宇和文化会館において「原発から脱却し地域経済の再生を 村田武氏講演」が開かれた。愛媛大学社会連携推進機構 教授の村田武氏が、「再生可能エネルギーと地域経済再生」をテーマに掲げて講演し、「地域経済の再生には、食料とエネルギーの自給を考える取り組みが必要である」と語った。

■全編動画

 村田氏は、冒頭で原発事故子ども・被災者支援法に触れ、「昨年6月に議員立法で成立しているが、基本方針をしっかりした内容で示し、被災者の被曝を避ける権利を確立させることが課題である。まず、支援対象地域と被災者の定義を決めることが重要だ。追加放射線量が年間1ミリシーベルトを超える地域すべての住民を支援対象とすべきではないか。これは20キロメートル、30キロメートル圏内だけの問題ではない」と主張した。

 そのうえで、「私たちも伊方原発が事故を起こしたら、福島県民と同じように捨てられる。したがって、伊方原発を廃炉に追い込まないといけない。福島県民の救われない状況を見ることは、愛媛県民の明日を見ているのと同じことである。 原発事故子ども・被災者支援法の基本方針を、国会の責任で作らせなくてはいけない。福島県民だけでなく、全国民の力で行なわなければならない」と指摘した。

 原発から脱却して新しいエネルギーに向かう取り組みとして、村田氏は高知県檮原町を紹介し、「600キロワットの風力発電設備を2機設置し、年間2740万キロワットアワーの発電量、売電収入は年間3200万円になる。この収入で風車基金を作り、太陽光発電設備や木材ペレットストーブ、小水力発電導入、森林整備などに投資している。また、全国で住宅の太陽光パネル設置の補助金が1番高いのが檮原町である」と話した。そして、檮原町議会が伊方原発の再稼働を行わないことを求める意見書を提出していることを、「再生可能エネルギーで先行することで、原発問題への理解が議員の中で深まった結果である」と語った。

 続いて、脱原発が日本より進んでいるドイツに関して、「ドイツの脱原発への動きは1970年代から始まった。福島原発事故によって原子力発電のリスクは大きすぎることを学び、2011年7月に原子力法を改正。2012年に残る8基の原発を2022年までに順次止めていくことを決めた」と説明した。そして、こうした脱原発の動きを受け、エネルギー自給事業を行っている、バイエルン州のグロスバールドルフ村の取り組みを紹介した。「この村は、人口950人、250戸の集落で、農家は14戸しか残っていない。このような小さな村で、農民の組合を中心に再生可能エネルギーを利用するプロジェクトを推進し、太陽光発電、バイオガス発電事業を興した。バイオガス発電では、メタンガスを発生させる原料となるとうもろこし栽培農家にトン当たり35ユーロを支払い、さらに投資に対する配当が10%を超えている。こうしたプロジェクトにより、村内の電力生産は760万キロワットアワーとなり、消費電力量160万キロワットアワーの475%、熱エネルギー生産は288万キロワットアワーで消費量320万キロワットアワーの90%に達し、エネルギー自給につながっている。また、村内の雇用の安定性が増し、若い世代に故郷の村に将来性があることを感じさせている」と話した。

 最後に村田氏は、地域経済再生について、「原発は札束で立地しているために、原発依存からの離脱が難しく、地域住民の自立の力を生み出すことにはならない。再生可能エネルギーをベースにした地域づくりで、食料とエネルギーの自給を考える取り組みが必要である」と語り、檮原町やグロスバールドルフ村から本気で学ぶことが必要だ、と訴えた。

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