岩上安身は2024年2月7日、東京経済大学の早尾貴紀教授にインタビューを行った。
「ガザ攻撃における植民地主義の視点」というテーマで行われたこのインタビューでは、2024年1月にハマスが公表した「我々の主張~アルアクサ洪水作戦」の要点や、フランス『リベラシオン』紙による、10月7日の「ハマスによる虐殺」の検証報道を紹介し、南アフリカによる国際司法裁判所への提訴と、その仮裁定に対する報復のような、米欧日などによる国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への拠出金停止について、早尾教授に話をうかがった。
また、インタビューの後半では、イラン出身の米コロンビア大学教授ハミッド・ダバシ氏が、2023年10月7日以降に発表した、パレスチナ問題についての4つの論説について、早尾教授に詳しく解説していただいた。
ダバシ氏は、現代のドイツにおける「知の巨人」である、ユルゲン・ハーバーマスらが、イスラエルとの連帯を表明したことに対し、「ガザのおかげでヨーロッパ哲学の倫理的破綻が露呈した」と、厳しく批判している。
ヨーロッパ、特にドイツのレイシズムは、幼い頃、ヒットラー・ユーゲントだったハーバーマスだけでなく、ナチスの党員となり、ナチスに加担したハイデガー、そしてなんと、エマニュエル・カントにまでさかのぼる。カントは、理性は、ヨーロッパ人だけがもつもので、黒人にはない、というレイシズムそのものの発言をしていた、とダバシ氏は糾弾している。
「非ヨーロッパ人を本質的に『退化した』『不自然な』『快楽に堕した』『怪物的な』『醜悪な』『横暴な』『みじめな』『無知な』、そしてとりわけ『グロテスクな』ものとして特徴づけることによって、カントはもはや『ヨーロッパ人と非ヨーロッパ人との間で』相互浸透する余地を一切認めず、次のように断言している。『黒人(ニグロ)の大工』が行ったことは『考慮に値することかもしれないが、要するに、こいつは頭の先から足の先まで黒かったのであり、それは彼の言ったことが愚かであった明らかな証拠となる』と」。
※ハミッド・ダバシ(2018年)『ポスト・オリエンタリズム』作品社(早尾貴紀、本橋哲也、洪貴義、本山謙二翻訳)
詳しくは、ぜひインタビューの全編動画を御覧いただきたい。