本記事は、「IWJ検証レポート~米国の有識者が米中の国力逆転を認めたアリソン・レポートの衝撃!」の第4弾で、「アリソン・レポート」「Tech(技術)」編の「量子情報科学」の章の仮訳を掲載する。なお、第1弾と第2弾、第3弾は本記事末尾でご案内する。
米ハーバード大学ケネディ行政大学院(ケネディスクール)のグレアム・アリソン氏が中心となって作成し、2021年12月7日に発表されたレポート「The Great Rivalry: China vs. the U.S. in the 21st Century(偉大なるライバル 21世紀の中国vs.アメリカ)」(以後、『アリソン・レポート』)は、米国が、中国との対比で自らの技術と軍事を冷静に自己評価した重要なレポートである。
グレアム・アリソン氏とは、どのような人物で、米国の軍事・諜報・安全保障の分野で、どれだけ影響力をもつ人物であるか、ハーバード大学に留学中、アリソン氏の謦咳に接した経験のある外務省の元国際情報局長の孫崎享氏は、岩上安身のインタビューに応じて、以下の動画でアリソン氏について語っているので、ぜひ、参照していただきたい。
アリソン氏には、『米中戦争前夜』(2017年、ダイヤモンド社)という著書が日本でも日本語訳され出版されている。米国との国力の比較通じて、中国の実力を知ることができる好著だが、この『アリソン・レポート』は、それに続く続編のような性格をもっている。
米国が中国の技術水準と軍事水準をどう見ているのか、また、今後、米中覇権競争が技術と軍事という中心的な領域でどう競いあっているのかを見極めるための必読の文献である。
この「量子情報科学」の章では、科学技術の革命的な進歩をもたらす可能性のある量子情報科学(QIS)でも、中国が米国に追いつき、凌駕しつつある様子を伝えている。
例えば中国は量子情報科学の特許申請数で、米国の2倍以上、投入資金も米国の4倍である。そして、中国の光量子コンピューターや量子プロセッサーは、米グーグルの超伝導量子コンピューターより「100億倍速い計算」を達成し、「100倍難しい問題」を解くなど、具体的成果で米国を次々と抜き去っている。
特に安全保障の要である量子通信分野について、米議会の委員会は「中国は現在、米国を抜いて量子通信の世界的リーダーとなった」と報告。中国が世界初の量子通信衛星を打ち上げ、世界初の統合量子通信ネットワークを構築していることから、わずか2、3年で、米国は中国政府と軍の通信を盗聴できなくなると予想されるなど、中国の優位性を示す例は枚挙にいとまがない。
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