「山本太郎議員は国会で、川内原発に弾道ミサイルが直撃する可能性について質問した。政府は回答を拒否したが、戦争法案では、中国からミサイルが飛んで来るぞと脅している。本当に中国の脅威があると信じるなら、原発撤去を訴えないといけないはず」──。
岩上安身は、安倍政権が中国の脅威を強調して安保法制を進める一方で、原発が被弾した際の対策もないまま、川内原発を再稼働させたことを、「戦争をやるのに被害を想定しないのはおかしい」と力説した。
2015年8月16日、東京・港区のIWJ事務所にて、FoE Japanの満田夏花氏、フクロウの会の阪上武氏、原子力市民委員会事務局の水藤(すいとう)周三氏を迎えて、IWJとFFTVとのコラボ企画第2弾「桜島は序章に過ぎない!? 『充電』された姶良カルデラの脅威! 日本全土を襲う巨大噴火と川内原発再稼働の『愚』」が行われた。
後半は、原発の高経年化対策の不備、川内原発再稼働をめぐる意思決定プロセスの問題、そして現在、国会で審議中の安保法制とアメリカの覇権戦略という視座から、「原発×戦争リスク」について論じていった。
阪上氏は、原発推進と戦争法案には政策の矛盾があると指摘。「本当に原発を稼働させるなら、周辺国との平和を確立することが大前提だ」と述べ、 満田氏は、「原発推進の人たちは、安保法制でも、中国と北朝鮮の脅威を信じて、安倍さんに共感してしまうのではないか」と懸念を示した。また、水藤氏は、再処理工場や高速増殖炉の危険性に触れて、「そのリスクを無視して、『国民を守る』なんて二枚舌です」と断じた。
- ゲスト 満田夏花氏(FoE Japan)/阪上武氏(フクロウの会)/水藤周三氏(原子力市民委員会事務局)
- 日時 2015年8月16日(日)17:00〜19:00
- 場所 IWJ事務所(東京都港区)
再稼働のスケジュールに合わせる原子力規制委員会
岩上安身(以下、岩上)「原発の高経年化対策制度及び運転期間延長認可制度のテーマに移ります。ある原発メーカー技術者は、再稼働は絶対無理と言い切った。常識的に考えても、ずっと止めていたものを動かすなんておかしい、と。しかし、公表できないと言われてしまいました」
阪上武氏(以下、阪上・敬称略)「川内原発は老朽化の問題もあります。1号機は32年目になりました。国の制度では、高経年化対策制度で、30年目と40年目に検査することになっています。まず、30年目に電力会社で劣化を調べ、長期保守管理計画を策定します。
国がそれを審査し、保安規定の変更申請に盛り込んだものの認可を受けます。認可された段階で30年目を迎え、その先の保安検査で変更を反映させなければならない。国がそれらをチェックするシステムになっています。
申請は1年前にやらなければならず、現在、特例措置で半年前でもいいとされ、九電は半年前に出したが認可が間に合わず、8月5日に認可された。30年を超えてしまった理由は、新適合審査が同時並行で進んでいたこと。もうひとつは、540ガルから620ガルに引き上げられた基準地震動の変更だった。規制庁は原子炉の停止時の評価を出すように指示。それで認可するとし、再稼働するなら補正申請を改めて提出させることにした。
川内原発は半年前、運転を前提とした申請をした。つまり、停止時の申請を飛ばした。規制庁は無認可との警告を発せず、30年をまたぐ前日、『条文には30年前までに申請をすればよいとある。だから、法令を満たしている』と判断した。このように、九電の都合に合わせて解釈を変えてしまったのです」
原子炉等規制法違反でも誰も咎めない
阪上「それならば、事業者は申請だけをすればよく、内容は関係なくなってしまい、認可制にした意味がない。さらに、基準に抵触する可能性もある。高経年化対策実施ガイドでは、長期保守管理を運転開始後30年を経過する日に始める、と決まっている。そうなると、認可を受けていない違反状態になるわけだが、その指摘もない。
菅直人氏が、無認可で再稼働はありえるのかと尋ねると、規制庁は、高経年化対策の充実のための手続きを定めたもので、運転を妨げるものではないと答えた。老朽化した原発を運転をすると、中性子が当たって脆くなり、力が加わり腐食が進むのですが……。
規制庁は、九電の手助けをしているとしか思えない。原子炉等規制法(保安規定)にも、『運転を始める前に認可を受けなければならない。変更する時も同様』と明記してあるが、規制庁は、『これはスタート時のことだ』と言って逃げている」
岩上「メチャクチャに詭弁を弄していますね。誰か、裁判にしないんですか」
満田夏花氏(以下、満田・敬称略)「私たちが騒ぎ立てたので、彼らもヤバいと思い、8月5日ギリギリにスピード審査で認可したんです。このままでは裁判に負けると思ったのでしょう」
阪上「再稼働については、30年をまたぐ前日に、『保安活動は引続き行なわれている。中性子脆化と低サイクル疲労では急激に悪化することはない。引続き、冷温停止状態が続くと判断』と。彼らは、原子炉が止まっていれば無認可でもいいと思っている。
田中俊一委員長は、稼働するなら、補正申請をすれば適合性審査をするのでいい、という見解だった。規制庁の中でも、表向きは『認可と運転は関係ない』と言いながら、内実はマズいと思っているのではないでしょうか」
岩上「形式的な話だけではなくて、実際問題、検査をしたら、脆弱な部分や金属疲労などが見つかる可能性はある。検査とは、そのためにやるんでしょう。早期発見すれば、それはそれで安心できる。悪いところを治せばいいのであって、いい加減にやられては困りますよね」
原発も、原子力規制委員会も、規制庁も、劣化している
阪上「認可がすべて終わったと報道されたあと、鹿児島の高木章次さんが老朽化の認可が残っていることを見つけ、県庁に申し入れをして問題になりました。私たちも規制庁に指摘して、再稼働をストップさせようとしたら、規制庁はバタバタと認可を出してしまった」
満田「審査は、九電自身がするので甘くなる。それを規制庁が鵜呑みにして、認可した
IWJがいくら多弱を応援したところで、所詮は多弱なんです。
訳もなく多弱ではないのですね。