IWJ代表の岩上安身です。
元米国防副次官のスティーブン・ブライエン氏が、14日、ゼレンスキー大統領がワシントン訪問して米連邦議会からウクライナ支援を引き出そうとして失敗に終わったことについて、米国によるウクライナ支援は事実上来年以降に先送りされたが、問題は支援資金だけに止まらない、と指摘しました。
ブライエン氏は、バイデン政権は、資金援助以外の「ウクライナ支援」として、米国が直接ウクライナ軍の指揮系統に介入しようとしている、と暴露しました。
ブライエン氏によると、バイデン政権は、現役の米軍将校であるアントニオ・アグート・ジュニア中将を、ウクライナのヴァレリー・ザルジニー総司令官に代わってウクライナ軍の指揮系統の頂点に置き、ウクライナ軍に「ホールド&ビルド(維持と構築)」戦略を指揮させることを目論んでいます。
現役の米軍将校がウクライナ軍の指揮系統の頂点に立てば、ウクライナ軍は、米軍そのものです。ウクライナからすれば、国を乗っ取られたも同然です。ブライエン氏は、「ウクライナ紛争を米国の戦争に変えるリスクがある」と指摘、ベトナム戦争で米軍将校を「顧問」として南ベトナム軍に派遣し、ベトナム戦争を引き起こした挙句、敗北した歴史との類似性を指摘し、「悪手」だと批判し、「この先には、大きな波乱が待ち受けている」と警告しています。
米陸軍の将官部隊の幹部レベルの人事管理を担う、将官管理事務所によると、アントニオ・アグート・ジュニア中将の肩書きは、12月22日から「ウクライナ治安支援グループ司令官、アトランティック・リゾルブ作戦、ドイツ」とされています。
- Lieutenant General Antonio A. Aguto, Jr. (USA)(General Officer Management Office)
アグート中将が、ウクライナに派遣される、という情報は、『ニューヨーク・タイムズ』が12月11日付でスクープしました。
『ニューヨーク・タイムズ』は、「米国とウクライナ、反転攻撃失敗後、新たな戦略を模索」という記事で、ゼレンスキー大統領のワシントン訪問の失敗に関連して、「米国とウクライナの軍事指導者らは、キエフの運命を立て直し、同国の対ロシア戦争への支援を促進するため、来年初めに実行開始できる新たな戦略を模索している」と報じました。
「米国はウクライナに対する対面での軍事アドバイスを強化しており、三ツ星将軍をキエフに派遣して、現地でかなりの時間を費やしている。米国とウクライナの軍当局者らは、来月ドイツのヴィースバーデンで開催予定の一連の軍事演習で、新たな戦略の詳細を詰めたいと述べた」。
この米軍の、事実上のウクライナの属国化に、ドイツも一枚噛んでいる、ということは見逃せません。この先進んでいけば、ウクライナ軍はウクライナの国軍ではなく、実質、NATO軍の下部組織と化してゆくことが、予測されます。
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