IWJ代表の岩上安身です。
「米軍は第2列島線まで撤収すべき」と論じるジェニファー・カヴァナー氏が、10月19日、再びグレン・ディーセン教授のインタビューに出演しました。番組のタイトルは「ジェニファー・カヴァナー:なぜ米軍は第1列島線から撤退すべきなのか」です。
- Jennifer Kavanagh: Why the U.S. Should Pull Back From the First Island Chain(Glenn Diesen、2026年10月19日)
https://youtu.be/I3uiRv_HsGI
番組は、東アジア情勢を主題として、米軍が第1列島線から撤退した場合、東アジアで何が起こるかに焦点を当てた内容になっています。
ディーセン教授は、カヴァナー氏の論文の「弱点」として、日本の核武装の可能性について質問しました。まさに、小泉防衛大臣の「タブーなく、核についての議論をすべき」という発言が、行われたタイミングです。
ディーセン教授は「私にはひとつの弱点が見えるからです。例えば、米国が日本への安全保障支援を削減した場合、その空白を埋めるために、日本が核兵器の開発に踏み切るかもしれないという点です」と、米軍の撤退は日本を核武装へ向かわせ、東アジアで核拡散を引き起こすのではないか、との懸念をカヴァナー氏にぶつけました。
カヴァナー氏は、「米軍は第1列島線から撤退すべし」という主張に対し、多くの反論があった理由を「一方で、米国が、アジアにおける相互防衛の義務を削減すべきだとか、撤退すべきだと言うのは、はるかにタブー視されています。人々はこれを、まるで『降伏』のように、つまり自発的な後退を『降伏』と見なし、米国の衰退を受け入れることだととらえたのだと思います」と説明しました。
カヴァナー氏は、そのようにとらえる人々は、米国の「空白」にすぐさま中国が進出すると考えているが、中国はそうしないだろうし、日本や韓国がすぐに中国の影響圏に入ってしまうのではなく、「バランス」を取ろうとするだろう、との見解を示しました。
その上で、カヴァナー氏は、ディーセン教授が指摘した日本の核武装の懸念について否定せず、世界的に核拡散に向かう傾向が見られるため、むしろ「核保有国が増えた世界をどう管理していくかに焦点を当てるべき」だと述べています。
「しかし、特に日本が過度に軍事化してしまうのではないかという懸念はあります。核兵器を追求するでしょう。そして問題は、中国がどう動くか、です。中国が、例えば予防的に、日本が核兵器を保有するのを阻止したり、過度な軍事化を阻止しようとしたりすることで、戦争が引き起こされるのか? それとも、日本が自国の安全保障を守るために、あまりにも攻撃的になりすぎて、そのせいで戦争が引き起こされるのか?
私は、報告書の中でも認めているように、日本の安全保障上の不安に対処することは、非常に重要な課題だと考えています。その理由から、私は、この地域における他のいかなるコミットメントよりも、はるかに緩やかなペースで、日本に対する米国のコミットメントを段階的に縮小すべきだと主張しているのです。
私は、一般的に核拡散に向かう世界的な傾向が見られると考えているため、実際には、ヨーロッパ諸国や、アジアの一部の国々が、今後10年から15年ほどの間に核兵器を保有するようになると予想しています。
それに対する私の見解としては、今こそ、核拡散を阻止しようとするよりも、核保有国が増えた世界をどう管理していくかに焦点を当てるべきだということです」
中国との火種になりかねない台湾に米国は干渉するべきではない、第2列島線まで下がって、中国との不測の軍事的対立の発火を回避すべきというカヴァナー氏の主張からは、好戦的なタカ派ではなく、無用な対立を避け外交的手段で対立の緩和を求めるハト派のようにも聞こえるのですが、カヴァナー氏は米軍が撤退した後、日本が中国の脅威に対抗して核武装したいならすればいい、と認めているようにも聞こえます。そういう点で、カヴァナー氏は、米軍の現実力の「弱さ」を直視しているという点ではリアリストですが、従来のハト派/タカ派という2分法ではくくれない論者であるといえるでしょう。
カヴァナー氏の議論は、ワシントンでは周縁的なものと見られていましたが、急速に注目を浴び、議論の中心に引っ張り出されています。
その理由のひとつは、イラン戦争によって、米軍の脆弱性が露呈したことであり、それを踏まえていること、特にイランのとった針ネズミ的なミサイルとドローンを用いて、近隣の諸国の米軍基地を叩く戦略は、中国が用いるであろうA2AD戦略そのものであり、東アジアで有事となれば、湾岸諸国の米軍基地が打撃を受けたように日本列島を含む第1列島線上の米軍基地が壊滅的な打撃を受けるであろう、という「現実」に立脚しており、説得力があるからです。
カヴァナー氏は、東アジア諸国と米国の安全保障上のパートナーシップはより限定的なものにして、米国による安全保障の保証をやめるべきだと主張しています。
その理由は、第1に、同盟国が自国の防衛費を支出して自国の安全保障を賄うというインセンティブを歪めてしまうからであり、第2に米国の後ろ盾を当てにする同盟国が相手国に挑発的な姿勢をとり、米国を中国との軍事的な対決に巻き込もうとするからだと、日本の高市政権を事例として説明しています。
カヴァナー氏「第2に、それ(米国が安全保障の保証を同盟国に与えること)は同盟国に、 米国の軍事力なしでは実際には裏付けられないような外交政策を採用させることが多いと思います。高市政権下の日本は、その良い例だと思います。彼女は、中国に対して非常に攻撃的で挑発的な姿勢をとっていますが、もし米国の安全保障の保証が後ろ盾になっていると思っていなければ、彼女がそのような姿勢をとるかどうかは定かではありません。
ヨーロッパのバルト諸国やポーランドなどでも、同様のことが見られます。イスラエルでも、同様の現象が見られます。ですから私は、安全保障の保証というのは非常に逆効果だと考えています」
日本の高市政権や、ヨーロッパのロシアに隣接する国々は、「米国の威を借りる狐」であると、カヴァナー氏は見破っているのです。
ディーセン教授も、ロシアに対して非常に挑発的な態度をとり続けるバルト3国の政治家を例にあげ、「これはもっと広範な問題だと思います。つまり、安全保障を米国に『外注』してしまうと、戦略的思考も同時に『外注』してしまうのです。そして、これまでそれほどの戦略的思考が行われてこなかったのは、まあ、米国の安全保障の傘の下で暮らすのが快適だったからでしょう」と、同意しつつ、述べています。高市政権に至るまで、戦後日本に、「対米追従」以外の、独自の「戦略的思考」が存在しなかったことは言うまでもありません。
2025年10月21日、高市早苗氏が内閣総理大臣に就任して以来、日本と中国の関係は悪化の一途を辿っています。その発端は「台湾」でした。
2025年11月7日、高市総理は衆議院予算委員会で、「台湾を完全に中国・北京政府の支配下に置くようなことのためにどういう手段を使うか。(中略)やはり戦艦を使って武力行使を伴うものであれば、こうれはどう考えても存立危機事態になり得るケースであると私は考える」と答弁し、中国の強い反発を招きました。
日本は、台湾との間で集団的自衛権を認めていませんし、日本がこれまで中国との間で積み重ねてきた外交では、「ひとつの中国」を認めています。
日本が「参戦」するとしたら、米軍が中国との戦争を決断し、米軍が攻撃された場合にのみ、集団的自衛権が発動されるのであって、台湾それ自体を中国から守る相互同盟条約などは結んでいませんし、中国と台湾の関係が緊張しても、存立危機事態として認定する根拠にはなりません。中国は発言の撤回を求めましたが、高市総理は1年が経とうとするのに、まだこの発言を撤回していません。
実は物議を醸した上記発言の前から、高市総理は「台湾」問題で、中国を挑発していました。
高市氏は総理就任の10日後、10月31日、韓国でのAPEC首脳会議にあわせて、習近平国家主席と初の日中首脳会談を行いました。
しかし、その同じ日、高市総理は、APECに参加していた台湾代表・林信義氏との2ショット写真をSNSにアップし、翌11月1日にも「11月1日、台湾を代表してAPEC首脳会議に参加している林信義氏とお会いしました。日台の実務協力が深まることを期待します」とのコメントをつけて、『X』に林信義氏との2ショット写真を再度アップしたのです。
これに対し、11月1日、中国外交部報道官は「日本の指導者がAPEC会合中に台湾当局者との会談を強くアピールし、SNS上で大々的に宣伝したことは、一つの中国の原則、日中四つの政治文書の精神、そして国際関係の基本規範を著しく侵害するものだ。これは『台湾独立』勢力に重大な誤ったメッセージを送るものであり、その性質と影響は極めて深刻である。中国はこれに断固として反対し、日本に対し強い抗議と厳粛な陳述を行った」と述べています。
このような前哨戦があった上での「存立危機事態」発言でした。
米国もバイデン政権下の2022年8月2日、ナンシー・ペロシ下院議長が、現職の下院議長としては25年ぶりに台湾を訪問するなど、繰り返し中国を挑発してきました。しかし、それでも中国が台湾へ軍事侵攻した場合に米国が軍事介入するかどうかを、あえて明確にしないでおく「戦略的曖昧さ」を外交・安全保障上の政策として採用してきました。日本も同じく台湾問題について「戦略的曖昧さ」を米国と共有してきました。
高市総理の「存立危機事態」発言は、日本だけではなく、米国の「戦略的曖昧さ」を揺さぶりかねない発言でもあります。カヴァナー氏は、高市総理が「米国の軍事力なしでは実際には裏付けられないような外交政策」を採用し、米国を対中国戦争に巻き込もうとしていると警戒しているのです。
カヴァナー氏は、これ以上、米国は「戦略的曖昧さ」という政策を続けるべきではない、と主張しています。
カヴァナー氏「実は、戦略的曖昧性は持続不可能だと思います。つまり、台湾に対する米国の立場は持続不可能であり、変更すべきだと考えています。
ですから、『第2列島線(への撤退)』という論文で、私が提言していることのひとつは、戦略的明快性という立場への転換ですが、それは逆の方向性、つまり『米国は台湾を軍事的に防衛しない』と明言するというものです。もし紛争が起きたとしても、米国は介入しない、と」
カヴァナー氏は、「台湾が、日本への侵攻、あるいはフィリピンへの侵攻のための良い発進拠点になるとは、私は思えません。ですから、台湾がこの地域の軍事バランスを根本的に変える可能性は低いでしょう」と述べ、台湾問題に介入することは米国の国益にはならない、と主張しています。
カヴァナー氏は、中国と台湾の統一は、米国にとって存亡に関わる脅威にはならないが、「台湾をめぐる中国との戦争は、米国にとって存亡に関わる脅威になりうる、と述べています。
カヴァナー氏「その戦争がもたらす代償について、現実的に考えるべきです。ご存知のように、米国の元海軍提督達は、台湾をめぐる戦争への『参戦コスト』として、2隻の空母が海底に沈むことになると認めています。これは戦争全体のコストではなく、参戦コスト、つまり戦争の初期費用に過ぎないのです。
米国の死傷者は数万から数十万に上るでしょう。さらに、数十隻の軍艦が沈没することになるでしょう。さらに、数百機の米軍機が失われることになります。もちろん、中国側の犠牲も決して小さくはないでしょう。確かにそうなるはずです」
カヴァナー氏は、トランプ政権の東アジア政策について、矛盾する方向性の「2つのアジア政策がある」と指摘しています。
カヴァナー氏「一方では、政治レベルでの緊張緩和を追求しており、『健全な平和』や『建設的な戦略的安定』について語っています。しかし、運用レベルでは、依然として、軍事的抑止力にかなり多額の投資を行っています。つまり、従来通りのやり方が続いているわけです」
カヴァナー氏は、そのために、中国を警戒させると同時に、米国の同盟国を不安にするという「両者の悪い面ばかりが混在した」危険な状況に、東アジアと米国が置かれていると分析し、「だからこそ、実は最近、台湾問題よりも、中国と日本の関係が悪化する傾向について、より懸念しているんです。というのも、たとえ台湾がより短期的なリスク要因だとしても、中国と日本の関係こそが長期的なリスク要因だと考えているからです」と述べました。
今回の、ディーセン教授によるカヴァナー氏へのインタビューには、東アジア情勢と日本、特に高市総理の動きに対する興味深い指摘が多く含まれています。ほぼ全文を仮訳でお送りしますので、ぜひ御覧ください。
カヴァナー氏の論文「アジアに向けた『第2列島線』戦略」は、『IWJジャーナル』でもご紹介しました。ぜひ、あわせてお読みください。
※米国の政治学者が、米国の軍事的関与と展開を、第1列島線から第2列島線へとシフトさせるべきだと提言!(前編)(IWJジャーナル、2026年9月15日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20260915#idx-2
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/55749#idx-2
- 米国の政治学者が、米国の軍事的関与と展開を、第1列島線から第2列島線へとシフトさせるべきだと提言!(後編)(IWJジャーナル、2026年9月22日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20260922#idx-3
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/55757#idx-3
また、『IWJジャーナル』では、8月2日、グレン・ディーセン教授のインタビューに出演した際の、東アジア情勢に関連する部分をご紹介しています。
- 「米軍は第2列島線まで撤収すべき」と論じるジェニファー・カヴァナー氏が、「日本のような国が、中国との軍事的競争をモデルとしている限り、決して安全を確保することはできない」と明言! 東アジア情勢で最も懸念されるリスクは、悪化し続ける日中関係と指摘!(IWJジャーナル、2026年10月13日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20261013#idx-3
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/55778#idx-3
以下、カヴァナー氏の、グレン・ディーセン教授のインタビュー2回目の全文を掲載します。
ジェニファー・カヴァナー:米国が第1列島線から撤退すべき理由
グレン・ディーセン
2026年10月19日
ジェニファー・カヴァナーは、「ディフェンス・プライオリティーズ(Defense Priorities)」の上級研究員兼軍事分析部長であり、ジョージタウン大学安全保障研究センターの客員教授でもあります。
カヴァナーは、中国との戦争を回避するために、米国が第一列島線から撤退すべきだと提唱した自身の政策論文について論じ、なぜそれがこれほど強い反響を呼んだのかを解説します。
グレン・ディーセン教授(以下、ディーセン教授と略す)「皆さん、お帰りなさい。今回はまた、『ディフェンス・プライオリティーズ』のシニア・フェロー兼軍事分析部長である、ジェニファー・カヴァナーさんをお迎えしています。
再び番組にご出演いただき、誠にありがとうございます」
ジェニファー・カヴァナー氏(以下、カヴァナー氏と略す)「お招きいただき、ありがとうございます」
ディーセン教授「あなたは政策提言書を執筆し、米軍の駐留を中国からさらに遠ざけるべきだ、つまり第1列島線から第2列島線へと移動させ、米中2つの大国との間には、一定の距離を置くべきだという主張を提示しましたね。
そして、これが信じられないほどの反発を招いたと私は指摘しましたが、あなたの主張の概要を説明していただければと思います。
また、東アジアにおける『2つの列島線』について、ご存じない方のために、まずその説明から始めていただけると助かります」
カヴァナー氏「私の論文の目的は、アジアにおける米国政策をめぐる議論の方向性を変えることでした。欧州や中東における米国の軍事的存在について、米国がどうすべきかという活発な議論が行われています。
しかし、アジアに関しては、私の見るところ、その議論はあくまで周縁的なものに留まっており、イランで得られた教訓や、それがアジアにおける米軍の役割にどのような影響を与えるかについて、真摯に向き合っていないのです。
また、アジアにおける米国の国益が何であるか、そして破滅的な結果をもたらすであろう中国との戦争のリスクについても、十分に検討されていません。それが、この論文の(執筆の)目的でした。
まず、アジアにおける米国の国益とは実際に何なのかという点を論じるところから始め、それを2つに限定して定義しました。
米国本土への脅威からの防衛と、市場へのアクセスを確保すること、つまり、米国が経済的地位を維持できるようにすることです。それらの国益を確保するために、アジアにおいて実際にどのような軍事的な要件、どのような態勢が必要なのかを慎重に検討しています。
私の主張は、実際に必要な規模は、現在展開されているものよりもはるかに小さいということです。私の見解では、現在の米国の態勢は、いわゆる『第1列島線』──日本、フィリピン、台湾、場合によっては韓国も含まれる──に大きく依存しており、 米国はこの第1列島線に沿って約8万人の軍隊を配置しています。私の主張は、米国の国益を守るために、実際にはそこに軍隊を配置する必要はないということです。
実際、そこに軍事的存在を集中させることは、米国にとっていくつかの非常に否定的な影響をもたらします。
第1に、私の見解では、(米軍の第1列島線へのプレゼンスは)中国との戦争リスクを高めるということです。米国の政策決定層における論理は、米軍の駐留が抑止力になるというものです。つまり、フィリピンや日本にこうした軍隊を配置し、さらには台湾に数百人の訓練要員を駐留させることで、中国からの侵略を防いだり、中国が自国周辺地域で強硬な姿勢を取るのを防いだりできるというわけです。
私の見解では、この前提には、実際には何の根拠もなく、むしろ、中国の行動を注意深く観察すれば、その逆の現象が見て取れます。
つまり、米国が存在感を強め、第1列島線に沿って新たな兵器プラットフォームを増強するにつれて、中国も軍事力増強を加速させているのです。中国はより強硬な姿勢を見せ、軍事演習の頻度も増やしています。このように、エスカレーションや『安全保障のジレンマ』の悪循環が生じており、否定的な影響を及ぼしています。
もう1つの問題は、万が一何かが起きた場合や、何らかの誤算が生じた場合、脆弱な場所にこれほど多くの部隊を配置している状況では、米国が紛争に巻き込まれずに済むことは極めて困難だということです。
この第1列島線への展開の根拠の多くは、台湾防衛にあります。これは、米軍上層部の多くの人々が、アジアにおける米国の力の要として掲げてきたものです。
『もし、台湾と中国が統一されたとしたら、これは死の鐘となるだろう』、『これは、米国がこの地域から追い出されることを意味する』、と。
私はこれに反対ですが、その理由については、論文の中で詳しく述べました。
(第1列島線まで米軍が後退することで)中国が得る軍事的優位性は、それほど大きくないと私は思います。中国は、経済的なメリットをいくつか得るでしょう。それについては、もう少し詳しく掘り下げてみてもいいかもしれません。しかし、これは必ずしも中国に地域覇権をもたらすわけではありません。実際のところ、間違いなく、中国に地域覇権の足掛かりさえも与えることはないでしょう。
つまり、私の主張は、米国は中国と台湾の統一に伴う結果には対処できるが、台湾をめぐる中国との戦争の代償には対処できない、ということです。したがって、米国が台湾を防衛しない、いや、防衛する必要がないと一度認めてしまえば、これほど多くの軍事力を前線に展開することのリスクや、中国との戦争の危険性を高めるという事実を認識すれば、この第1列島線への駐留は理にかなわなくなるのです。
そして、パズルの最後のピースは、イランで何が起きたかを振り返ることだと思います。そうすれば、第1列島線沿いの米軍基地がいかに脆弱であるかがわかります。
つまり、ペルシャ湾沿い、中東地域においてです。そこで、『これは、第1列島線沿いの基地の生存能力や防衛可能性について、何を示唆しているのだろうか?』と考えざるを得ません。もしイランが、ペルシャ湾の(湾岸諸国内の米軍)基地を米軍にとって使用不能にできるのであれば、第1列島線沿いの基地が中国との戦争において役立つなどと、本気で考えることができるでしょうか?」
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