【2】実は世界では石油が余っている? しかし、石油流通のためにホルムズ海峡が開放されない限り、世界経済は危機に直面する! 岩上安身によるインタビュー第1236回ゲスト JOGMEC調査部長・原田大輔氏 2026.9.8

記事公開日:2026.9.30取材地: テキスト動画独自
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(文:IWJ編集部)

特集 中東
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 原田氏によると世界が消費する石油は、1日あたり1億バレルで、毎年365億バレルの需要がある一方、世界の石油備蓄は、日本を含めて通常およそ80億バレル前後、80日分、3ヶ月弱の期間しか、保たない。

 原田氏は、3月には石油価格がいったん高騰したものの、4月以降は落ち着いており、70ドルを割り込み、60ドル台ということもあったと述べ、それは「備蓄の放出」が奏功したというよりも、トランプ大統領の「覚書を」という一言の影響だった、と述べた。

 そして、トランプ大統領の一言が石油価格を安定させた背景を、「実は今、世界では油が余っている」からだと説明した。

原田氏「これはなぜかというと、実は今、世界では油が余っている。

 これは、IEAも来年の予測を出しているんですけれども、実は足元で、去年の原油価格を思い出していただくと、(2025年)12月で、60ドルまで下がっちゃったんです。なぜかというと、どんどん(石油を)出そうとしている国がたくさん出てきている。アメリカもそうなんですけれども。

 これが今、ぐっと(ホルムズ海峡という)チョークポイントを抑えているだけで(石油が出てきていないが)、バンと、イランと何か起きれば、どんどん(石油が)出てきてしまう(ために、石油価格が)暴落するだろうということが、今、わかっているんですね。

 足元で、例えば足りない、日量で2000万バレル、20%が止まっているんですけれども、来年にはですね、500万バレルプラスになってしまう」

 未曾有の石油危機を迎えている今、「世界には石油が余っている」とは驚きである。原田氏は、OPECを脱退したUAEが、今後、増産へと向かうだろうと予測している。

 原田氏は、世界の石油供給の20%にあたる2000万バレルもの原油が止まっているにも関わらず、石油価格が90ドルあたりで落ち着いている現在の状況を支えているのは「トランプ大統領の一言」であり、実際には「根拠がない」と述べている。

原田氏「それには、安心感として、『世界には油はあるんだ』と。チョークポイントが解決すれば、あっという間に流れる。

 それを握っているのはトランプ大統領なんだと。

 (石油価格を落ち着かせているのは)この意識ですね。この市場の意識です。これは私の意識というよりは、市場の中で、『トランプ大統領が何かすればあっという間に片付く問題だよね』ということがあるんですね」

 日毎に発言が変わるトランプ大統領への期待で、石油価格が支えられているとしたら、その根拠はきわめて脆弱なものだと言わざるを得ない。

 UAEが石油を増産しても、ホルムズ海峡が開放されなければ、その石油はペルシャ湾から出られない。現在は、ホルムズ海峡を通らないフジャイラ港から細々と輸出されているが、事実上「止まったまま」なのである。

 ホルムズ海峡がイラン戦争勃発前のように開放されたわけでもなく、湾岸諸国から石油が供給されるもうひとつのルート、紅海からバブ・エル・マンデブ海峡を通行するルートも、サウジアラビアとイエメンのフーシ派の争いのために、平常通りの通行はできなくなっている。

岩上「地政学的(リスク)というのは、全然去ってないんじゃないかなと思うんですけど」

原田氏「去っていないんです。

 今、油の価格も落ち着いている。90ドルで落ち着いているのは、その根拠がある意味ない。

 トランプ大統領が何かをしてくれるだろうと、スーパーマンが現れてくれるだろうというものに近いものがあると思いますね。

 ですから、これがいつか、これは時限的なものでですね、どこかで切れてしまう可能性があるというのは確かだと思いますし、バブ・エル・マンデブ(海峡)も、実際、今ほとんどのタンカーが通ってないんです」

 原田氏は、現在も湾岸諸国から原油は、スエズ運河を通ってアフリカの希望峰を迂回するルートで輸出されているけれども、かつての日量2000万バレルには達していないし、新ルートの開拓にも数年はかかるため、「直近で考えた時に、まさにリスクというのはまったく霧散しているわけではなくて、この(石油)価格がどう上がってもおかしくないでしょうし、やはりイランとイスラエルそれからアメリカがどう動いていくのかというところを見ていかないと(いけない)」と、述べた。

岩上「簡単に、UAEにはいっぱい(原油が)あるから、今だぶついているので来年あたりにはうまくいくだろうとか、そういう楽観論は、本当の地政学的なリスクを考えると、楽観論としては言えないということではあるんですね。

 あることはある、あることはあるけれども、ではそれが果たしてアメリカの態度、イスラエルの態度次第では、イランも硬化するし、態度硬化した時にはそんなものは、安泰で、市場に出てきますよとは言えないですよね」

原田氏「言えないと思います」

岩上「今、凪の状態にあるんだと、非常にリスキーで、しかもこれは一時期の凪の状態であって、ずっと永続はできない。

 備蓄が尽きるまでの間、時間稼ぎしているに過ぎないんだということを我々は本気で自覚する必要がありますよね」

原田氏「それは、その通りだと思いますね。今、危機にあるというのは、霧散しているわけでは、まったくないということですね。ホルムズ海峡が解放されない限り、世界経済というのは、沈降していってしまう可能性が常にあるということだと」

 YouTubeメンバー限定動画では、日本の隣国であり、世界有数の資源国であるロシアとの関係について、日本が対露制裁に参加している理由、現在も続いているサハリン2からの原油輸入、将来的な可能性などについても語っていただいた。

 会員向け完全版では、岩上安身が、中東危機におけるイスラエルの拡大主義的な動向、トルコ・サウジ・パキスタンのメッカ防衛協定、北方領土問題、そして岩上安身が20代の終わりに、ロシア取材で「お前達には主権がないから、お前達と話してたってどうしようもないんだ」と言われ、ショックを受けたエピソードなどが披露されている。

■【2】エッセンス版

  • 日時 2026年9月8日(火)16:00~
  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)

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